やるかやられるかの世界を生きる~統合失調症である私のサバイバル術その⑯~居場所がない
前回まで
入院したものの、入院生活は思っていたものとは違っていました。
やるかやられるかの世界を生きる~統合失調症である私のサバイバル術その⑮~ひとりぼっち|せっと|note
今回はそのような入院生活について、もう少しお話ししていきたいと思います。
孤独な毎日
入院患者さんは自分のほかに20数名いたにもかかわらず、孤独を強く感じるものでした。相変わらず話をできるような人もおらず、無限にあるように感じられる時間を持て余す毎日、毎日時間通りに3食の食事が出され、それ以外の時間はほぼ寝ているかタバコを吸うかするしかすることがない日々であり、さらに閉鎖病棟であったので自由に外出をすることも認められていませんでした。
代り映えのしない毎日の連続で時計を見つめ時間が過ぎるのがこんなにも遅いのかなんてじれったく感じていました。2時間ぐらいたったかなと思うとまだ30分しかたっていなかったりしてひどく落胆することもしばしばでした。
本当はほかの入院患者さんたちとの雑談に混じりたい、誰かと話をしたい、繋がりたいという思いは強かったのですが自分からは話しかけられず、といいますかこのころは人とどのように話をしたらいいのかわからなくなっていたように思います。
接客業をやっていましたので、人に話しかけることは以前の自分にとってそれほどハードルが高い事ではなかったのですが、入院していたこのころはそれが全くできなくなっており、自分が会話や雑談ができなくなっていたことに戸惑いも感じていたようにも思います。
ますます「自分が何もできない人間になってしまった」、という思いが強くなっていきました。
「こんなことを話しかけたらどう思われてしまうのだろうか」、「変な奴と思われてしまうのではないだろうか」、もっと言えば「まわりの人が怖い」、なんてことをいつも思っていました。
逃げ出したい・・・
ここには自分の居場所がないように感じ、安心できる場所ではなかった入院生活でありましたので、ほどなくして退院したいと申し出をするようになりました。
すぐには退院は認められませんでしたが、おそらく3か月くらいたったところで退院が認められました。症状がよくなってきていた、というよりここから逃げ出したい、といった思いの方が強かったように思います。
なので退院し自宅に帰る日も、うれしさのような感じよりやっと逃げ出せた、といったような思いの方が強かったように思います。
自分の状態としてもよくなってきたといった感覚はなく、あいかわらず鉛のようにずしんと重いからだと頭の中は厚い雲で覆われているかのような状態でした。ちょうど家に帰る親の車の中ではラジオで北朝鮮拉致被害者が帰国したことを報じるニュースを中継していて、それをぼんやり聴いていたことが鮮明に印象に残っています。
もしかしたら、帰国した拉致被害者の方々に人里離れた病院から退院する自分のことを重ねて何か思うところがあったのかもしれません。
宙ぶらりんな自分
退院はしたものの、仕事は退職していましたし、すぐにふたたび仕事に就けるような状態でもなく、宙ぶらりんな状態のままの自分でした。
すること、できることといえば実家でテレビを見るくらいでした。といいますか、この時はそもそも仕事をしよう、何かをしようといった気力もわいてこず、ただひたすら身体もだるく、頭も常にぼんやりしていましたのでテレビを見ていたといっても内容は全く入ってこず、本を読んだり、音楽を聴いたりも試すのですが、それらを楽しむこともできないような状態でした。
そんな自分の状態を受け入れることもできずにいて、「こんなはずはない」、という風に思ったり、焦ったり戸惑いも感じていて、かつての自分を取り戻そうと必死に昔好きだった音楽を聴き返したり、片っ端から本を買ったりも試みていました。
しかしながら自分の中に昔感じたようなわくわくしたりときめいたりするような感覚は戻ってこず、さらに絶望を強くしていきました。
何にもない自分
誰とも話さず、会わず、ただ時間が過ぎていくのをぼんやりとやり過ごしているような感じ、同じ年齢ぐらいの人たちやかつての友達たちも社会で働いている中、自分はといえば働いていたり、どこかに通っていたりしたら絶対に目にすることはないテレビのワイドショーや平日午後に放映されている再放送のドラマをぼんやりと眺めるだけの毎日を過ごしていました。
生命が維持できているだけの存在であって、所属先もない、お金もない、友達もいない、趣味や好きだったことも楽しめない、いったい自分は何のために生きているのか、存在する意味がない人間だ、かといってどうやったらこのような日々から脱出できるのかも分からない、これから先ずっとこのように暮らしていくのか・・・なんてことを毎日思っていました。
今回はここまで。次回またお会いしましょう。
いったい私の暗黒時代はいつまでつつくのでしょうか??