やるかやられるかの世界を生きる~統合失調症である私のサバイバル術その⑱~お告げ
前回まで
私の中にちいさなちいさなリカバリーの芽が芽生えたときのエピソードを前回ではお話ししました。
やるかやられるかの世界を生きる~統合失調症である私のサバイバル術その⑰~こころの支え|せっと|note
私の中に芽生えたリカバリーの芽はどのように育っていくのでしょうか?
今日まで続いているあゆみの最初の一歩を踏み出した時のお話を今回はしていこうと思います。
再び歩き出そう
デイケアに通って1年近くたったころでしょうか、このころになると若干デイケアにも退屈な思いを抱くようになっていました。
そのうち「もう自分は働けるのではないか」、「ふたたび仕事に就けたらいいな」、なんてことを考えるようになりました。
どんな仕事に就くか、前職と同じ販売やサービス業を、なんてことをぼんやり考えつつ求人情報を眺めているうちに、自分の中に突然ひらめきのような、ちょっと大げさかもしれませんがお告げのようなものが浮かんできました。
「福祉の仕事もある意味サービス業ではあるよな・・・」
そしてこの考えの裏には、当時から福祉業界は人手不足であるということは耳にしていたので、自分のようなブランクがあったり、病気を抱えていたりといった経歴の人間でも雇ってもらえるかもしれない、といった淡い期待もありました。
と同時に、もしかしたら福祉の仕事なら自分の病気の経験も仕事の中で活かせるのかもしれない、彼ら彼女らにより近い存在として仕事ができるのではないか、なんてこともぼんやりと思っていました。
「とても素晴らしい発見をした」、みたいにも思え自分の中で進軍ラッパが鳴り響いたような感覚になったのをよく覚えています。
当事者経験を武器に
今でこそピアスタッフと呼ばれる、自らの病気や何らかの当事者経験も活用して仕事をする方々が徐々にではありますが増えてきてはいますし、認知度も日々増してきてはいます。
しかしながら今から15年以上前である当時はまだ彼らのような方々の活動もそれほど活発ではなかったでしょうし、知られてもいなかったのではないでしょうか。
もちろん私もそのような方々がいることやそういった働き方があるといったことも知るわけもなく、全くの自分の勝手な思い込みでしかありませんでした。
結果として今に繋がっていますのでよかったといえるのですが、ずいぶん無謀な考えであったのかもしれませんね。
それでも自分の中では「これしかない」、みたいに希望の光を見つけた思いでした。
私は福祉の仕事、障害福祉の仕事に就こう、なんてことを決心しました。当事者経験も使いながら支援の仕事を行う、これは絶対に有効であるに違いない。当事者経験があればより利用者に近いところで支援の仕事ができるしそのような働き方をすることはとても画期的なことかもしれない、多分そんな人はほかにはいないのではないか、という風に考えました。
また、もしかしたらそのことで一発逆転も可能かもしれない、といったちょっとよこしまなこともひそかに考えていました。
資格を取ろう!
この時、いろいろ調べるうちに、社会福祉士、精神保健福祉士といった、福祉の専門資格があることを知りました。
そこでわたしは最終目標として精神保健福祉士の資格を取得して福祉の仕事に就くことを目指そうと思いました。
そのうえで精神保健福祉士でありながら統合失調症である自分の経験も用いれば、自分と同じように病気を抱える方々のサポートができるようになる、多分いわゆる普通の支援者より病気の人たちの気持ちをより理解することができるようになる、という風に考えました。
今回はここまで。自分の中で目標が定まりました。ここが現在まで続くキャリアの出発点になっています。
ここから順風満帆にリカバリーの旅路を歩んでいくことができるのか、はたまたさらにいばらの道が続くのか・・・。
また次回以降にお話ししていきたいと思います。