#19 特別支援教育:卒業後の雇用①(特例子会社)
現在、障害者雇用についての理解を深めるため、インターネット上の情報を収集しています。
卒業後の進路を考えていく上で、多様な視点をもっておく事は非常に重要です。
雇用については厚生労働省が管轄する分野のため、自身理解が及んでいない部分もあります。
そのような溝を少しでも深めていきたいと考えての投稿です。
今回は特例子会社についてリサーチをしました。
特例子会社
1.特例子会社の概要
障害者の雇用に特別な配慮をし、障害者の雇用促進のために設置される、厚生労働省が認可する会社です(図1)。
障害者雇用率制度においては、障害者の雇用機会の確保(法定雇用率=2.3%)は 個々の事業主(企業)ごとに義務づけられています(厚労省)。
厚生労働省によると、令和4年度6月時点で、579社が特例子会社として指定されています。
2 業務、待遇、福利厚生等
一定の水準があるとはいえ、企業によって様々であると思われます。
ここでは、丸紅オフィスサポートという特例子会社に焦点を充てて見ていきます。
丸紅オフィスサポートは、本社が東京都千代田区にあり、親会社に丸紅株式会社をもつ特例子会社です。
主な業務内容については、
ビルクリーニング業務を一例とすると、
・勤務時間は、8:00〜16:15
・給与は、高校新卒が15万円、大卒・中途・同程度が19〜26万円
・昇給は年1回、賞与が年2回
・完全週休2日制
年収ベースでは高校新卒が250万前後、大卒等が300〜420万円前後と思われます(賞与を年4.5ヶ月とした場合)。
なお、上記企業以外の給与については正確な情報が不足しているため、厚生労働省の平成30年度障害者雇用実態調査から引用します。
知的障害者の平均賃金は11.7万円、うち30時間以上の労働者が13.7万円となっています。
賞与が年2回ある場合、年収ベースでは200万円に届かない程度でしょうか。
ただし、この調査は特例子会社に限定していない点に注意が必要です。
仮に最低賃金を時給1050円で考えた場合、労働時間が1日8時間、月22日の場合では年収が約220万円となります。
昇給があること、事業所内に支援体制がある事を踏まえれば、単純にアルバイトによって生計を立てるよりは良い環境である事には違いありません。
補足:すべての特例子会社に昇給や賞与があるかは、その会社ごとに異なるため、一概には言えないものです。
次項にもある通り、特例子会社の職場の定着率は比較的高く、長く働く事を想定して構築されているものと考えられます。
3 職場への定着率
慣れない仕事をこなし、業務内容が合わない事で何度も離職するといった事は、本人にとってかなりの負担であり、避けたいものである事は間違いありません。
本項に関しては、野村総合研究所の調査を引用しています(以下、野村総研と呼ぶ)。
野村総研によると、特例子会社の人員構成と離職者数から1年間の離職率(定年退職を除く)は2%程度に留まっています。
特例子会社は賃金ベースでは決して高くないと思われますが、職場の定着率としては高い事が確認できます。
また、職場定着率が高くなる要因として考えられる点としては、
・雇用上の成果指標に職場への定着状況をおいている企業が多い
・障害の特性に合わせて業務内容を調整している
・勤労へのモチベーションを保つ配慮を行っている
などが挙げる事ができます。
感想として
前提として、今回はメモ的なリサーチに終始してしまった点、特例子会社の一例として丸紅という大企業を取り上げた点で、十分な理解に繋がっていない事に注意が必要です。
その上で、今回のリサーチを通した感想をいくつか述べていきます。
1 日々の指導との関連
ICT活用能力を高める、清掃技能の向上を図るといった活動は学校における特別支援教育ではよく行われる内容ですが、職業との関連が非常に強い事を再認識します。
また、特別支援学校に限らず、小学校・中学校、又は高等学校においても、省庁といった枠組みを超えて、障害者雇用との関連を意識しながら日々の指導にあたる事が非常に有用である事も感じました。
2 指導員、専門的知識を持つ者の重要性
これは野村総研の調査でも見られたものですが、
特例子会社において「指導員の確保が重要である」に「とてもそう思う」「どちらかといえばそう思う」との回答は全体の91%となっており、人材が重要なテーマとなっていると思われます。
教員においても同様で、特別支援教育に対する高い専門性をもった教員が不足している事が現在もおな指摘されています。
今後も特別支援教育、障害者支援・指導といった領域は広がりをもつものと思われます。
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