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マロンクリームちゃんへの熱い想い〜愛は気まぐれ、ファンタジア〜

マロンクリームちゃんが好きだ。
それはもう、破茶滅茶に好きだ。
ピューロランドでマロンクリームちゃんの新しいグッズが出たらすべて買うくらいには、マロンクリームちゃんのことが好きだ。大好きだ。

SANRIOはうさぎが強い。
天下のマイメロディちゃんに加え、ウィッシュミーメルちゃんの勢いはとどまるところを知らないし、平成リバイバルの流れに乗ってウサハナちゃんのプッシュも始まった。

マロンクリームちゃんは、過去にサンリオキャラクター大賞1位を獲得したこともあるベテラン枠。

ベテラン枠すぎて、親友のネズミさんの名前がなんとシナモンくんだ。親友とのセットで売り出すことが完全に不可能である。シナモンといえばあの白い犬だ。白くてお耳の長いシナモンはうさぎではない。犬だ。

私を深く知る人なら、「コイツいつもマロンクリームちゃんの何かしらを身に着けているよな」となるが、そんな人は極めて少数だ。
せっかくなので、どうして私がマロンクリームちゃんのことを特別に愛しているかを記そうと思う。

『マロンクリームのラブファンタジア』

過去にピューロランドで上演されていた、マロンクリームちゃんが主役のショー。DVDにもなっている。私はこのショーで育ち、大人になって観返すタイミングがあり、新たな味わいを知り、メロメロになった。

主演の割に何もしないマロンクリームちゃん

『マロンクリームのラブファンタジア』なんてタイトルなのだから、マロンクリームちゃんが一大スペクタクルを繰り広げる……そう思うアナタは大きな勘違いをしている。マロンクリームちゃんは、主演の割に何もしない

物語は突然始まる。
マロンクリームちゃんとおさるのもんきちくんのお友だちである、ハンスお兄さんとベルタお姉さんが、もうすぐカップルになるという瞬間からスタートだ。
マロンクリームちゃんが突然私たちにアルバムを見せ、彼らとの友情を語りだす。「この人間たちは誰?」なんて思っている暇はない。マロンクリームちゃんがお友だちだと言うのだから、お友だちなのだ。紹介してもらえてありがたいのだ。

ハンスお兄さんには、コンプレックスがある。貧しいのだ。しかし、金塊を見つけた。金塊を加工して金のマスクにし、それを売って大金持ちになったあかつきに、ベルタお姉さんに告白をしようと思っている。そしてベルタお姉さんもハンスお兄さんのことが好きなので、マスクの完成を待っている。

金塊を一緒に探して大冒険するクダリとかは、特にない。金塊は劇の序盤に、もう既に存在する。ハンスお兄さんが当然のように金塊を見つけている

もうすぐ金のマスクが完成し、これで二人はハッピーエンド。その瞬間に私たちを立ち会わせようとしてくれるマロンクリームちゃん。
そんなマロンクリームちゃんから、あり得ない言葉が出てくる。

「二人が結ばれてハッピーエンド……なんて、ちょっとつまらない。何かを乗り越えてハッピーエンド、の方が盛り上がるわ!」(意訳)

この舞台の作家か?! いきなりメタ発言か?? 友だちの恋が結ばれるのだから、なんの障害も必要ないだろう?! 彼女は何を言っているんだ?!
もう私は、マロンクリームちゃんから目を離せない。

物語を作ったり触れたりしたことのある人生なので、彼女の言い分は分からなくもない。しかし、今まさに恋が成就する二人を観に行きますよ〜という前説の段階で、こんな発言をしてしまうのは……すっっっっっっごい、クリエイティブ精神の持ち主なんだね(オブラートに包みました)。

それをイタズラ好きの森の妖精二人が聞いている。「あら、ちょっと困難があったほうが盛り上がるのね、フフフ」なんて笑っている。そんな不穏な空気の中、私たちは客席に通され、本編が始まる。

妖精が暴れ倒す

『マロンクリームのラブファンタジア』なのに、物語を掻き乱すのはとにかく妖精の二人だ。
ハンスお兄さんは完成した金のマスクを被ったら人格が変わってしまい、ベルタお姉さんへの愛を忘れてしまう。
ちなみに妖精はハンスお兄さんを拐かす。ハンスお兄さんはベルタお姉さんのことを蔑ろにし、妖精に夢中となる。

しかし妖精は場をさらに混沌へ陥れる。
眠り薬からの惚れ薬だ。
その場にいる全員を眠らせ、「目が覚めて、最初に目に入った人を好きになる薬」を全員に浴びせる。
ベルタお姉さんは妖精がコスプレした怪鳥に惚れてしまう。突然のコスプレした怪鳥に振り落とさてはいけない。
マロンクリームちゃんはベルタお姉さんに惚れてしまう。もんきちくんはマロンクリームちゃんに惚れてしまう。ハンスお兄さんはもんきちくんに惚れてしまう。
あーもう、滅茶苦茶だよ。
妖精、やりすぎだろ!

もんきちくんがヤバい

実は、もんきちくんは爆弾発言をしてから眠りにつく。

「僕、ベルタさんのことが好きでござる」

はァ?????
何を言っているんだこのサルもんきちくんは???
はァ?????
ハンスお兄さんとベルタお姉さんの恋を応援するショーだろ????
それを私たちに見せてくれるショーだろ???
好きなの??? どうして今になって言うの??? どうして惚れ薬の力を借りて、あわよくば両思いになろうとしているの???
何だコイツ〜!!!!!

そうして私の心をかなり逆撫でたもんきちくんは、惚れ薬の結果マロンクリームちゃんにメロメロとなってしまう。
マロンクリームちゃんに抱きついて、「気持ち悪い!」と遠慮なくフラれる。
個人的にはスカッとジャパンなシーン。

友情の関係にあると思っていた友だちが、実は恋愛感情を抱いていて、しかも急にハグしてきたら、かなり嫌だけれど、それにしてもマロンクリームちゃんも友人に対して「気持ち悪い!」とは……! アナタ結構辛辣だね……!(※そこも好き)

しかもハンスお兄さんは、もんきちくんに惚れてしまう。もんきちくんは「僕、男でござる」と突っぱねる。
僕、男でござる??????
今のSANRIOで、そんな表現はしない
惚れ薬のせいでマロンクリームちゃんがベルタお姉さんに恋してしまうが、その際もベルタお姉さんは「私、女よ!」と拒否した。
????????
まだピューロランドに入園したら手に入れられるDVDなのだが、私がいちごの王様なら、発売禁止にしている。
同性同士の愛を茶化しているからだ。
今のSANRIOでそんなことは許されない。社員も嫌だろうし、SANRIOのファンも嫌がるだろう。
昔のショーであるし、もう今のSANRIOはそのような表現はしないので、「これをダメだと思える風潮の中で生きられるようになって良かった」と考えることにしている

そういうわけで、おそらく再販はないだろうから、本当に観たい人はサンリオピューロランドのレジコーナーの近くの棚を漁ってほしい

何故か当時のピューロランドはマロンクリームちゃんともんきちくんのペアを推しており、『光のパレード・イルミナント』でも、同じトロッコに乗っている。
私は『イルミナント』も大好きなので、DVDを観ながら、「でも気持ち悪いって思っちゃった相手だよなあ」なんてぼんやり考えてしまう。
しかしイルミナントは、マロンクリームちゃんも、もんきちくんも、とにかく衣装が大天才だから、そんなことを気にしてはいけない。
それに、二人はプロなのだ。『ラブファンタジア』の出来事をパレードまで引き摺らないから、きっと大丈夫。

そもそも場を荒らしまくった妖精が悪いのだし……! ベルタお姉さんへの恋心を突然告白するもんきちくんには、ちょっとだけ何だテメェ?と思ってしまう気持ちもあるが、ハンスお兄さんとの恋を応援する気持ちも、ちゃんとあるし……!

意外すぎる解決方法

恋の矢印が滅茶苦茶になってしまって、一体どうなっちゃうの〜?
そんな場面で、マロンクリームちゃんは気が付く。
「私のせいだわ! 私が何かを乗り越えてハッピーエンドのほうが面白いなんて言ったから……!」
確かにマロンクリームちゃんの発言がキッカケではあるが、絶対に妖精が悪いから、そんなにも自分を責めないでほしい。

ここでマロンクリームちゃんが妖精を倒すとか、説得するとか、そういうのは、ない
本当に、一切ない

ではどうやって解決するのか。

妖精が飽きる

というか、妖精のイタズラが度を超えたので、木のおじさん(※フェアリーランドシアターなので当然、木も喋るし花も歌う)たちが「この辺にしておけよ」と釘を差し、それで妖精が冷める

妖精が飽きてリセットの呪文(歌)を歌って、元通り

恋の熱に浮かされていたが、妖精の歌によって正気に戻った皆は、本当の愛に気付く。
そしてハンスお兄さんとベルタお姉さんは、金のマスクを捨てる決意をする。
「こんなものを作ったからいけないんだ! 貧しくとも愛があれば、それで良いじゃないか」みたいなことを言って、捨てる。
捨てなくても良くないか? だって、妖精が全部悪いんだから……。金のマスクを捨てるより、あの妖精たちを森から追い出すほうが有意義では……?
とにかく、妖精がイタズラして、すったもんだあって、妖精が飽きて、オシマイ。

?????
私も大人になって観返したときは、そう思った。
しかしこのショーのテーマソングに、こんな一節がある。『愛は気まぐれ♪ファンタジア♪』
我々は、妖精の気まぐれを見せられたのだ。
そういうショーなのだ。

『マロンクリームのラブファンタジア』なのだが、とにかく妖精が話を展開していくのだ。
フェアリーランドシアターで上演されているのだから、フェアリーが話を展開しても、文句は言えない。

マロンクリームちゃんが好き!

今まさに、成就しようとしている恋を前にして、「そのままハッピーエンドなんてつまらない」と言ってのける、クリエイティブ精神に溢れたマロンクリームちゃん
友人だと思っていたもんきちくんから求愛されて、「気持ち悪い!」と突っぱねる辛辣なマロンクリームちゃん

パリの郊外で生まれて、お裁縫が得意なお淑やかなうさぎの女の子……そんなイメージをすべて破壊する、『マロンクリームのラブファンタジア』

惚れ薬で恋をしている最中のもんきちくんの言葉を借りるなら、「ああ愛しのマロンちゃん!」だ。

『マロンクリームのラブファンタジア』がなければ、私はきっとマロンクリームちゃんをここまで応援していなかっただろう。

短調ベースで進む曲が、サビだけ長調に変わるところは気持ちが良いし、妙にメロディが耳に残るので、私だけでなく妹も母もテーマソングを歌えてしまう。
物語のヘンテコさを粒立ててしまったのであまり記せなかったが、曲がとても素敵なことは間違いがない。

マロンクリームちゃんの内面に迫る新しい何かを、いつか期待したい。
彼女は他のSANRIOキャラクター同様、「KAWAIIだけ」ではないのだ。

今年こそキャラクター大賞で20位以上に入りたい(一個人のリアルな目標)ので、投票の時期が来たらこのnoteのことを思い出してほしい。

マロンクリームちゃんに清き一票をよろしくお願いします!

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小川
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