台湾に行く(その③高雄ほか)
高雄駅に着いたのはお昼前。
駅は都会的だ。
まずはスーツケースを預ける。
コインロッカーよりも安い行李房を使う。
これは台湾鉄道が主要駅で提供している荷物の一時保管サービスだ。
身軽になったところで昼食へ向かう。
高雄駅から徒歩5分くらいの場所にある阿成炒飯専売店だ。
カラスミ炒飯を食べられるということでこの店にした。
予定通りにカラスミ炒飯、あとはハマグリスープを注文した。
カラスミは、人生で初めて食べる。
水分が上手に抜かれたタラコといった感じ。
噛むと程よい塩気と旨味。
炒飯はパラパラ。
とても美味しかった。
ハマグリスープは貝の出汁が出ている。
アサリ汁のような琥珀色。
合わせて入っている刻み生姜と相性もよい。
お腹いっぱいになったので、高雄駅に戻る。
宿は高雄空港の近くだが、まだお昼なので更に台湾鉄道で南下(方角的には東)してみる。
向かうは屏東である。
大きな川を渡って高雄から屏東へ。
屏東の空は霞んでいた。
駅は高架化されており、割と新しそうだ。
駅前の光復路を東へ。
突き当りに建物があり、NETと書かれている。
台湾のユニクロ的なお店らしい。
腹痛のためにトイレを借りた。
トイレは2階にあり、男女共用の洋式が2つ。
トイレットペーパーは流せないので隣のごみ箱に入れるタイプ。
結構な古さであり、トイレを借りただけだがユニクロとの差を感じた。
屏東観光夜市が催される道を通り抜ける。
屋台の周りにバイク修理の個人店が林立する風景には慣れない。
日本とは大きく衛生観念が異なっている。
個人的に、バイク修理のホコリが舞っている屋台で食事はできない。
空気が悪い。
その中を淡々と歩く。
気を取り直してセブンイレブンに入る。
美味しそうなお茶を買ってみる。
1本300円程度で比較的高級だが、茶葉が容器に入っており、茶こしも付いている。
コンビニの目の前にあった屏東公園で休憩する。
ベンチに座っているとリスが数匹現れた。
エゾリス以外でリスを見るのは初めてだった。
お茶屋さんに行ってみる。
台灣茗茶はお婆ちゃんと犬一匹で営業している店だ。
茶葉を売っているらしい。
お婆ちゃんは英語も日本語もダメらしく、中国語とジェスチャーでコミュニケーションを試みてくる。
犬は私の靴の匂いを嗅いで、私からそっと距離を取った。
お婆ちゃんは私とSさんに椅子に座るように伝えた。
ところが私が椅子に座ろうとする前に、そのポジションには先ほどの犬がいた。
どいてくれないので、私は別の椅子に座った。
お婆ちゃんは実際にお茶を淹れて味見させてくれた。
台湾茶は淹れ方が日本茶と大きく異なっているようだ。
3種類ほど味見した後、一番美味しいと思ったお茶を買った。
150gで約2300円だった。
店を出た後も、口の中には台湾茶のいい香りが滞留していた。
美味しいコーヒーを飲んだ後と同じ。
好きな時間。
元気を取り戻して歩く。
日本統治時代の建物が多く残る通りに出た。
将軍之屋という観光案内所に入る。
案内担当のおじいちゃんは、私たちが日本人であることを認識するとハイテンションになった。
そして張り切って私たちを連れ回し、その観光案内所となっている建物の説明をしてくれた。
彼の父は日本列島に10年間住んでいたことがあるそうだ。
何かとても嬉しそうに案内して、気が済むとそのまま去っていった。
台南でも見たが、台湾では日本統治時代の全てを否定している訳ではない。
日本統治時代に近代化が一気に進行したと考えているらしい。
そんな歴史が続いた先に今の台湾がある。
一方日本では、GHQが占領していた建物をそのまま使って、「その歴史をうたい文句に」観光名所に仕立てようとは考えないはずであり、この点は大きな違いがあると感じた。
駅の方に戻る。
途中で中山黄昏市場があった。
こちらは、地元の市場だった。
金沢や函館の観光地化した見世物ではなく、現地の人の生活の一部。
氷で冷やされている青ざめた頭付のニワトリ、豚の頭、刺身用の魚、果物、実に多様な品が並ぶ。
その中でもすぐに食べられそうな肉まんを購入した。
底は揚げ焼でパリパリ。
それ以外の皮はモチモチ。
具は肉汁たっぷりで熱々。
価格はコンビニの肉まんと同じくらい。
良い買物だった。
次に現れたのは屏東慈鳳宮だ。
日本の寺や神社に比べて派手な外見。
真っ赤である。
平日日中だが、人は途切れない。
地元の方が祈っていた。
その作法も日本の寺や神社とは異なる。
何か3つの積み木のようなものを3回投げてから手を合わせていたようだ。
その後、大和ホテルという如何にも日本統治時代の建物を通り過ぎて、屏東駅まで戻ってきた。
夕食は、更に南にある街で取る。
潮州まで台湾鉄道で向かう。
潮州駅に着いた時にはとっくに日が暮れていた。
潮州駅も高架化されており、綺麗だった。
また、この駅は便器にトイレットペーパーを流せるらしい。
恐る恐る試してみると問題なかった。
安堵した。
高雄から離れるほどにローカル感が出てくる。
こじんまりとした街の雰囲気。
日本語はもう耳に入ることはない。
駅から500m程で担仔面に到着。
ここで3品注文した。
なんと、メニュー表左下に刺身もあったが、ここでは止めておいた。
麺はあっさりした味付け。
のっている肉みそと合わせて食べると丁度良い味。
牡蠣のスープは、しっかり貝の出汁が出ている。
牡蠣の身は小ぶりだが、噛むとしっかり知っている牡蠣の味がした。
そしてお浸し。
やはり、野菜は美味しい。
削り節も嬉しい。
しっかり腹を満たしたので、高雄まで戻る。
辺りは真っ暗だ。
眠っていた。
高雄まであっという間だった。
サクッと駅前に小籠包を食べに行く。
創意小篭湯包では店主が大声で電話していた。
しばらくすると注文できた。
蒸すこと10分弱、熱々の小籠包が運ばれてきた。
皮はモチモチ、具はジューシー。
冷えてきた屋外で食べる。
刻み生姜も合わせて頬張る。
口の中で肉汁が広がる。
やけどしそうになるが美味しい。
満足したので高雄駅からMRTでホテルまで向かう。
高雄のMRTはドイツ製だった。
中々の混雑率だが、加速はスムーズ。
終点の1つ手前。
高雄空港の最寄駅から徒歩10分程。
本日の宿に到着した。
高雄國際會館には翌朝高雄空港を利用する人が宿泊するのだろうが、私たちは翌日桃園まで移動する必要がある。
ということで、明日の段取りを確認して早めに就寝した。