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映像を使うことで地域を活性化できるのか?


「百聞は一見に如かず」という言葉があるように、映像は言葉を超えた力強いメッセージを届けることができる。近年、その力を地域活性化に活用する動きが活発化している。美しい自然、歴史や文化、人々の温かい交流など、それぞれの地域が持つ魅力を効果的に発信することで、観光客誘致、移住促進、特産品販売促進、地域ブランディングなど、多岐にわたる効果が期待できるからと考えられる。

映像による地域活性化の成功事例:岐阜県飛騨市に見る「聖地巡礼」効果

2016年に公開されたアニメーション映画「君の名は。」は、美しい風景描写が話題となり、舞台となった岐阜県飛騨市には多くのファンが訪れた。これは、映像の持つ「場所の魅力を体感させる力」を証明する好例と言えるでしょう。飛騨市では、この流れを地域活性化に繋げるべく、映画の舞台となった場所を巡る「聖地巡礼マップ」を作成するなど、積極的な情報発信を行った。その結果、観光客数は増加し、地域経済の活性化に大きく貢献した。

以前には「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」で埼玉県秩父市が聖地としてとても人気になり、海外の人も訪れた。

映像が貢献できる多様な分野:地域の魅力を多角的に発信

映像は、観光促進だけでなく、様々な分野で地域活性化に貢献できる。例えば、伝統文化の継承や地域産業の魅力発信、防災意識の向上など、その可能性は無限に広がっている。

  • 伝統文化の継承: 祭りの様子や伝統工芸の制作過程を記録し、後世に伝えることで、地域の文化を守り育てていくことができる。

  • 防災意識の向上: 過去の災害の記録や防災訓練の様子を映像化するこで、住民の防災意識を高め、地域全体の防災力を強化することに繋がる。

効果を最大限に引き出すために:地域住民の想いを込めた映像制作を

映像による地域活性化を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要がある。

  1. 地域住民の理解と協力
    映像制作を通して、地域の魅力を再発見し、地域への愛着を深めることが重要。そのためには、地域住民が主体的に関わり、自分たちの地域をどのようにPRしたいのか、どのような未来を描きたいのか、といった想いを共有することが不可欠である。

  2. ターゲットを明確にした戦略:
    誰に、何を伝えたいのかを明確にすることで、より効果的な映像を制作することができる。例えば、観光客向けには美しい風景や観光スポット、移住希望者向けには生活環境や地域コミュニティの魅力を伝えるなど、ターゲットに合わせた情報発信が重要。

  3. 他メディアとの連携:
    インターネットやSNSを効果的に活用することで、より多くの人に情報を届けることができる。また、イベントなどリアルな場と組み合わせることで、映像だけでは伝えきれない魅力を体験してもらうことも有効である。

映像はあくまでもツールの一つであり、それ自体が目的ではない。地域の魅力を最大限に引き出し、地域活性化につなげていくためには、地域住民一人ひとりが主体的に取り組み、地域の魅力を発信していくことが重要。映像制作を通して地域の魅力を再認識し、地域住民が共に未来を創造していくことで、真の地域活性化が実現すると考えられる。

よく「映像を作ってPRすると移住が増える!」などの人口流入としてのツールとして多く語られるが、私見としてはそんなことはほとんどないと感じる。でなければ、人口の増減率がプラスになっているのが東京都(総務省統計局調べ)だけというのはおかしい。そのため、映像は「一度訪れてみようかな?」と考えさせる独自の観光資源のPRに最適だと考える。


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