けろっこデメタンになった日
お昼に柔らかいソファーのある
お気に入りの休憩スペースに
ゆきさんと出掛けた。
私の職場はお昼を食べる休憩スペースが各階にいくつもある。
カフェや食堂もあるけどザワザワしているしテーブル席なのでゆっくりできないから、私はいつもソファーのある休憩スペースでお昼を食べる。
ゆきさんは身長が170センチくらいある、ちょっと色黒のスレンダーな女性だ。
私とは対照的に手足も長くて
モデルさんのような体形をしている。
なのに食事は男性並みで、今日もそこそこ大きなお弁当だけでは足りなくてカップラーメンを追加で食べていた。
あんなに食べても太らないなんて羨ましい限りだ。
ゆきさんと食べるのは久し振りだった。気が合うので職場ではよく話をするけど、たくさん食べたいゆきさんはいつもカフェでおかずを注文している。
お弁当にカフェのおかずを追加しないと夕方にお腹がグーグー鳴るらしい。
そのゆきさんと久し振りに
ゲラゲラ笑いながらお弁当を食べ始めていたら、私はどうしたことか急な眠気に襲われた。
まだ食べ始めたばかりなのに、なぜか目を開けていられないのだ。
箸でご飯を口に運びながら、何事もないように頑張って目を開けようとするんだけれど、眉毛だけ上がって瞼が持ち上がらない。
きっと額には凄まじい数の横シワが出来ていたと思う。
ゆきさんに気付かれないように
何事もないようになるべく下を向いて食べていたけど、さすがに私の異変に気付いたゆきさんが「目が、目が、けろっこデメタンになってます~」と言って、身をよじらせて盛大にゲラゲラ笑い始めた。
けろっこデメタン世代の私は
自分がデメタンになっているのを想像しただけで笑える。膝に乗せたお弁当が転がらないように必死で押さえながら、つられて私までゲラゲラ笑い転げた。
ひとしきり笑い終わって落ち着いたところでゆきさんが息を整えて「大丈夫ですか?」と聞いてきた。
私は笑い転げながらも頭の中では、これはゆきさんのエネルギーだなと薄々感じていた。
ゆきさんにそれとなくいろいろ質問したところ、前日に遅くまでかなり深酒をしたということだった。
友人との会話は楽しくて、私も安心して普段からガードを下げている。
そんな最中のまさかの深酒共鳴。
ゆきさんったら、多分まだお酒が残っていたんじゃないだろうか。
お酒の影響はオーラに翌日も残るのでご用心ください。