つぎはぎ (詩)
つぎはぎの記憶に
ぽつりぽつり
空想がまじって
あゝ子どもの頃
たしかに僕ら
小鳥のように
毎日銀河を巡回しました
月のすみに
木の枝と枯れ葉を敷いて
秘密基地をつくり
うまい棒を食べながら
秘密会議を開いては
悪人たちと大戦争
怪獣どもをやっつけて
悪霊どももしりぞけて
僕らが地球の平和を
守っていました
*
海の上を歩く一条の光線
素直でしなやかな
友だち想いのこころ
縁側から見える里山
それらの途方もない片田舎は
全て小さな大宇宙
そのなかでお父さんとお母さんに
守られながら永遠をよろこんでいる僕ら
あゝそうです、僕ら
あたりまえに愛し合っていた夕焼けの日々
何者になっても良い 何者にならなくても良い
ただ透明な朝がおの日々
素直に甘えて、思う存分の愛情をもらって
世界は愛と光に満ちているのだと
素直に思っていたんです
悪意を持つものは誰もいない
指さきは夜空の星を数えているだけ
こぼれて揺れる笑顔は
たとえようもなく無邪気で
つぎはぎだらけの思い出は
いつでもそうやって開かれるのです