鬼畜将軍VS.人肉食民族
スペインの植民地侵略は虐殺を伴い、かなり残酷なイメージがあった。
その上で「ワイらが未開人を文明化したってん!何が悪い!」なんて最低だと思っていた。
欧米かーの植民地主義の大義名分として掲げられるのがこの「未開人を文明化してやる」思想で、キリスト教の布教と一体となっていた訳だ。
民族自決の観点からするとなんて傲慢で迷惑な思想だろう。
と思っていた。
だけど最近世界の様々な土着宗教を調べていくと、「…それもあながち間違ってないんじゃね?」と思えてきた。
例えば先述のスペインとその支配対象アステカ帝国の例。
アステカの宗教は太陽崇拝で、彼らには定期的に生贄を捧げないと太陽が昇らなくなるという信仰があった。
以下、ちょっと自分の言葉で書くのも憚られるけど。
その儀式とは、ピラミッドのような祭壇の上で生贄の四肢を押さえつけ、生きたままナイフで心臓を取り出し、太陽に捧げるというものだった。用済みとなった哀れな犠牲者は祭壇から転げ落とされ、その肉は解体されて食べられた。神官は生贄の皮を剥いで衣服として纏い生活し、腐った皮を脱ぎ捨てることで再生を表すという。
生きたまま心臓取り出すやつ、確か小学生の頃映画で見て、その恐怖に泣き出したのを覚えている。あれはこの儀式を元にしたものだったのか…。
キリスト教や文明科学が発展したスペインからすると、アステカの文化は野蛮に写り、征服し教育する必要があると思ったとしても不思議はない。スペインの侵略の残虐さも筆舌に尽くし難いものだから、正当化は出来ない。
だが生贄の儀式だって相当の苦痛を伴う殺人・拷問であることには違いない。
鬼畜植民地将軍VS.生贄人肉食民族、みたいな。
どっちもどっち、としか言いようが無いね…。
あと、最近話題になった映画「ミッドサマー」にも描かれていたように、北欧では日本でいう姥捨山のような風習があった。
あの映画はゲルマン民族のルーン文字やケルト民族の生贄宗教ドルイド教等様々な欧州土着宗教の闇部分を寄せ集めたものだったようだ。
ドルイド教はキリスト教以前のヨーロッパの土着宗教で、オークの木の神聖視など自然崇拝と輪廻転生思想を持っていたというから驚いた。
え、それって神道や仏教みたいなもんじゃん…。
生贄はそこまで聞かないけど人柱とかあったようだし。
また、ミッドサマーの元ネタとなったウィッカーマンもドルイド教の生贄儀式を元にしたフォークホラーらしい。
日本神話の天照大神を象徴する太陽崇拝は、古代エジプト・ヨーロッパ・アジア等世界各地の神話において見られる。
世界史を見ていると、宗教はアニミズムから始まって多神教、一神教へと進化するとする宗教進化説を説くのも分かるところはある。
欧米左翼から見ればこういう話は白人至上主義や人種差別を招くから隠蔽したい。
だけど実際には現地住民の方が土着の宗教や文化に虐げられているから西洋化を支持することが往々にしてある。彼らにとっては酷い認知的不協和だ。
日本の欧米礼賛なんてその最たる例だろう。
私がフェミニズムLINEで現地住民の「西側のがマシ」という声を封殺した白人女性達に感じた酷い矛盾もそこにあると思う。
白人の左翼アイデンティティにとって都合が悪い話は現地住民の生の声でも封殺する。それこそ逆に白人至上主義。彼らが強く批判していたキリスト教と同じではないか。
個々の虐殺事件は弾劾されるべきものだが、アステカ人達は今のメキシコを見て、生贄人肉食宗教に還りたいと思うだろうか。
個々の人間は今を生きるしかないものだ。
生の苦しみの声を一切聴こうとせず、原住民族礼賛するだけの左翼では当事者からも見放される。
保守政策に魅力を感じるマイノリティがいるなら、その魅力を否定するのではなく自分達の政策を磨いて行くしかないと思う。そこで都合が悪いからと現実の方を否定するなら、良かれと思って植民地主義を認めたキリスト教と同じだ。
都合の悪い意見を隠蔽しようとする傾向は右翼にも左翼にもあるし、だからこそ両方が存在する必要があるのではないかと最近思うようになった。
対立勢力と常に思想競争の綱引きをしていないとどちらも堕落して腐敗する恐れがあるんだと思う。
だって人間だもの。
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