デス妻のエディに想いを馳せる
ちょっと前にAmazonプライムで「デスパレートな妻たち」が追加課金無しで配信されていた(残念ながら今は課金有りになってしまった。。)。
だから全8シリーズ約250話?を全部観ていた。その中で心に残ったお話を一つ。
妻たちの暮らすウィステリア通りで若い女性を狙った通り魔事件が起きるんだけど、その犯人エディの視点を描いた話がとても切なかった。
彼は母子家庭で育っていて、母親は彼のやることなすこと否定するいわゆる「毒親」だった。
小さい頃から人格を否定されて育つエディと、デス妻たちとの関わりが描かれている。
幼少期にはセレブ妻のガブリエルの家に、母親に構ってもらえない彼が遊びに行っていた。ガビーとエディは仲良くなるが、夫に迷惑がられ、ガビーは仕方なく彼を追い返してしまう。
高校生になった彼はバイト先でスーザンに出会い、趣味で書いた絵を褒められる。スーザンは美術教師をしているため、彼の絵の才能に気付き、彼を支援しようとする。優しくしてくれるスーザンにエディはほのかな恋心を抱き、彼女の絵を描くけれど、スーザンが別の男性と結婚することを知ってその絵を破り捨ててしまう。
料理研究家のブリーは、園芸のバイトとしてエディを雇っていた。ブリーは無邪気に恋愛の素晴らしさを彼に説明し、女の子には花を持って告白するといいと説く。家庭でコミュニケーションの経験を積んできていなかったエディは、女の子との付き合い方が分からず、買春を持ちかける女に花束を渡し、「バカじゃないの」と笑われてしまう。
そんなエディの不遇さに唯一気付いたのが酒飲みの母親に苦労させられた経験のあるリネットだった。彼の家庭の異変を感じ取り、自分も5人の子ども達を持つ母だが、彼を自宅に預かることにした。
その中で印象的なシーンがある。
自分を預かってくれるリネットに深く感謝するエディだけど、リネットの息子達が(反抗期だからか)母親に横柄に接する様子を見て豹変。彼らに掴みかかって殴ろうとしたのだ。
彼女の息子達からしてみれば、急に居候が殴りかかってきて訳が分からなかっただろうけど。
私にはエディの気持ちがすごく分かった。
「自分は母親に恵まれず否定ばかりされて育ってきたのに、お前らはリネットみたいな優しい母親に恵まれてるくせに母をぞんざいに扱うとは何事だ!」
そんな彼の心の叫びが聞こえてくるようだった。
結局エディは自分を侮辱してきた女を母親も含めて殺してしまう。
だけど、もし彼がリネットのような母親の元に生まれていたら、殺人鬼にならずに済んだのかもしれないな、と思うと、同じ毒親育ちの人間として、とても切ない想いになった。
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