20万円もらう方法-文化芸術活動の継続支援事業-1:ざっくり編
旅する演出家、黒澤世莉です。
文化庁が「文化芸術活動の継続支援事業」(以下、ぶんけい事業)を公示しました。私は20代の若手や地域で活躍している演劇人に、情報が届いていないことを課題だと認識しています。これから数回に分けて、ぶんけい事業についての情報や、どうやってお金をもらったらいいのかをnote上にて紹介していきたいと思います。ターゲットは20代や地域の演劇人ですが、もちろん演劇以外のアーティストや、東京大阪の演劇人も役立ててください。
ざっくり「文化芸術活動の継続支援事業」って何?
「コロナで困ってるアーティストは、芸術活動の経費に10万円から150万円の補助金が貰える、ただし支出の66-75パーセント上限で、自分へのギャラは払えない」みたいな感じです。
以下が公式webへのリンクです。「助成金に申し込んだことあるよ」「行政の書類読むの抵抗ないよ」という方は、直接読んで申し込んでしまったほうが早いかもしれません。第一期は7/31まで申し込み可能です。
「・・・呪文?」「そっとじ」「むりぽ」「ぴえん」という方は、できるだけ分かりやすく説明するようがんばりますので、このnoteを読んでみてください。がんばれ20万円のためだ。
便宜上、いちばん簡単な上限20万円のA-1でお話することが多いですが、A-2やBであれば上限150万円まで申請が可能です。がんばれるかたはこちらをオススメします。
前提の話を聞いてくれ
前提1「日本はコロナの補償はしないよ」
2020年2月末の自粛要請(この日本語も謎だけどそれはまた別のお話)から、5月末に緊急事態宣言が終わるまで、多くの演劇人をはじめとしたイベント業者は自粛に協力してきました。
そんな中、安倍首相は4/14の国会で「直接補償を行うのは現実的ではない」と発言しました。その結果、政府はあらゆる業種に対して「補償はしない」という方針になっています。みんなが選挙で選んだ自民党公明党のみなさん、ありがとうございます。よーく覚えておきますね。
前提2「給付金じゃないよ、補助金だよ」
「特別定額給付金」ってありましたよね?世帯主(なんでやねん)に一人あたり10万円もらえるやつ(もっとよこせや)。某大阪市では7/16に給付率55%だそうですね。世田谷区は人口が多かったので入金が6月頭でしたよー維新の会ってすごいですね。よーく覚えておきますね。(これはまた別のお話)
ともかく、給付金は「何に使ってもいいお金」なんです。自由に使えるお金です。
ぶんけい事業は「補助金」です。ざっくりで書いたとおり「使ったお金のおおむね66−75%」が補助金として受け取れます。これは「用途が決まったお金」ですし「何に使ったかが分かるような資料」が必要です。なので、最初に「2021年の公演に向けて俳優として成長する」とか「12月の公演のワークインプログレスをオンライン配信する」など、事業(というんですね、個人の成長についても)の目的などを決める必要があるます。
また、全額もらえるのは報告書を出した後になります。だから、例えば「PCR検査3回受けて12万円かかった!」という場合、まずはあなたが自腹で12万円払って、報告書を提出した後、文化庁から9万円(補助率75%の場合)もらえる、という感じです。
前提3「申請どおりにもらえるとは限らないよ」
がんばってオンラインで申請しても、文化庁の提示している条件を満たしていないと、もらえるお金が減額になる場合があります。よく読めばいい話ではあるのですが、こういう書類が苦手なわたしは重要なとこをスルーしちゃいがちなので、気をつけてください。
「なんでそんなめんどいことになってるの・・・」と思われると思います。わたしもそう思います。なぜかというと、政府が補償はしないよという方針だから、文化庁はその方針に従わざるを得ないわけですね。
文化庁としてはアーティストを助けたい。でも、政府の方針でアーティストに給付は出来ないし、自粛で起きた損害にたいして補助金を出すことも出来ない。でも出来るだけコロナで困っているアーティストを助ける枠組みを作りたいと知恵を絞ってくれたわけです。「補償ができないなら、将来に対して事業をやってもらって、そこに補助金出せばいいじゃない(その中でごにょごにょ)」というわけです。マリーアントワネットばりのコペルニクス的展開ですね!
そういうわけで、文化庁の人も大変だと思います。政府はめちゃくちゃだし現場のアーティストはうるさくいってくるし。毎晩徹夜でありがとうございますね。。。この先こんな複雑なシステムを組んだがために、複雑な書類を何万件も処理しなきゃいけないんですよね。。。ほんとありがとうございます。というわけで、政府は官僚のみんなに余計な頭と時間を使わせないで済むような、シンプルに協力しあえる方針を立ててくれれば、霞が関も消耗せず、現場のアーティストもよかったのにねえ、という話です。
というのは連載の最後に文化庁への要望という形でまとめるとして、いまは目の前にあるぶんけい事業に集中しましょう。
たとえば何に使えるんだよ
たとえば俳優の山田さんであれば「ワークショップを受ける、プロフィール写真を新しくする、PCR検査を受ける、演劇書籍を買う、演劇DVDを買う」などに使えます。
たとえば劇団主宰の田中さんであれば「中止になった公演の劇場費用、スタッフ費用、小道具費用、オンライン用機材(10万円以下)、アルコール、マスク、アクリル板、フェイスガード」などに使えます。
たとえば照明家のムハマンドさんであれば「コロナ対策研修費用、新規機材導入(10万円以下)、オンライン打ち合わせにかかる費用」などに使えます。
これは分かりやすくするために書いた、あくまで一例です。他にももっともっと色々と使えるので、興味のある方は公式webを確認してください。
なんかさ、動画とかないの?
はいはいありますよ、ちょっと長めなので倍速とかでみてください。公示になってから撮ったライブ配信はこちら。
公示前に出した動画、こっちのほうがちょっとコンパクトです。
さいごに
「そもそもなんでコロナで困ってんのに難解な文章読んで面倒な手続き踏まなきゃいけねえんだよ」
という気持ちはよく分かります。正直、わたしもお役所文章を読むのは超苦手で、劇団時代はプロデューサーややってくれる劇団員に頼りきりでした。行きがかり上、みなさんに情報を広めるため、必死こいて読んでますが、そうでもなければそうそうに諦めていたと思います。
確かに初めての方には難しい部分もあると思いますが、繰り返しになりますが、A-1の20万円であればそれほどハードルが高くないと思います。3日間がんばればできる。それで20万円もらえれば悪くないんじゃないかしら。
わたしは、出来るだけ多くの若手演劇人、地域演劇人にこの情報が届いて、あきらめそうな気持ちを前向きにして、なんとかかんとか演劇活動が続けられて、結果として今後100年の演劇界がもっとゆたかになったらいいな、と思っています。出来るお手伝いはしますので、がんばってみてください。
次回は「誰が対象なの?」「どんな手続や準備がいるの?」というあたりを書いていこうと思います。反応があれば、ねえ。
ちなみに「ぶんけい事業」は、正式名称がいいかげん覚えられないわたしがでっちあげた造語ですので、本note以外では通用しません、通称だと思って誰かに使うとキョトンとされるおそれがあります。
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免責事項
がんばって調べて書きますが、情報が間違っている場合や、変更になる場合もあります。必ず申請前にご自身でよく確認して申請してください。こちらでは申請が通らなかった場合の責任は負いかねますので、あしからずご了承下さい。