「Google流資料作成術」読書抜き書き
イントロダクション
p.6 データにはストーリーがあります。しかし、ツールだけではそれを読み解くことはできません。そこで、情報のアナリストであり、コミュニケーターでもあるあなたが、視覚的かつ文脈的にストーリーを表現する必要があります。この本を読めば、ただデータを見せるだけから、データを使ってストーリーを語れるようになります。
p.15 データを使ってストーリーを語るための6つのレッスン
コンテキストを理解する
相手に伝わりやすい表現を選ぶ
不必要な要素を取り除く
相手の注意を惹きつける
デザイナーのように考える
ストーリーを伝える
p.16 ソフトウェアの種類は関係ない。この本で学んだテクニックを活用する際にツールに慣れていないことが制約にならないようツール自体をきちんと学ぶ時間もとるようにしましょう。
p.18 真っ白なページを想像してください。そこに何か追加するたびに理解するための認知的負荷を相手にかけることになります。
p.18 「形式は機能に従う」。そのデータで相手に何をしてほしいか(機能)を考え、つぎにそれを実現するための表現(形式)を選ぶのです。
p.20 データビジュアライゼーション、そしてデータを使ってコミュニケーションは、まさに科学と芸術の交わるところにあります。
第1章 コンテキストを理解する
p. 21 データをうまくビジュアル化する秘訣は、いきなりデータに触れないこと。まず、コミュニケーションをとることになったコンテキスト(文脈・背景)を理解する必要がある。
分析には「探索的分析」と「説明的分析」がある。探索的分析とは、データを理解し、何を他人に伝えるかを理解するためのものです。
100の異なる仮説を試したり、100の異なる方法でデータをぶんせきしたりして、たった1つか2つの重要なことを見つける作業です。しかし、分析した結果を相手に伝えるときには説明的分析に切り替える必要があります。発見した1つか2つの重要なことを、相手に具体的にストーリーを伝えるのです。
p.22 説明的分析を見せるべき場所で、探索的分析を見せるという間違いをおかすことがよくあります。データを相手に伝えるべき情報に変換していないのです。
説明的分析をするにあたって明確にしておきたいこと。
誰に伝えるか
相手に知ってもらいたい、またはやってもらいたいことは何か
主張を伝えるために、どのようにデータを活用するか
誰に・・・「利害関係者」や「興味を持っているすべての人」のような一般化したターゲット設定は避ける
何を・・・あなたが伝えようとしていることを、相手が自分に関係あることとして受け止め、聞きたいと思ってもらうにはどうすればいいかを考えます。あなたがデータを解釈し、その内容を人々に伝え、行動へと導く立場にいます。一般的に、データを下に何かを伝える人は、自分の分析に基づく発見や提案に対して、自信のある態度であることが求められます。具体的なアクションを提案することが適切でない場合は、アクションに向けた議論に誘導しましょう。行動を求めるなら、相手はそれに従うかどうか意思決定を求められる。
p.27 スライドはテレプロンプター(読み上げる文章を映し出すスクリーン)ではありません。よいプレゼンテーションをするには内容を暗記することです。それには、とにかく練習が必要です。スライドに情報を詰め込まず、話すときに必要なものだけを載せる。
プレゼンテーションで準備すべきこと
各スライドで伝えるべき重要なポイントをノートに書き出す
声に出して言いたいことを言う練習をする
友人や同僚に模擬プレゼンテーションを行う
p.27 理想的には、ライブプレゼンテーションと文書やメールで使う資料は全く異なるものであるべきです。実際には、期限やその他の制約から、これらのニーズを両方満たす資料を作成します。
p.31 コンテキストを確認するための質問
どのような結果となれば成功と言えますか?
限られた時間しかない場合、あるいは1文だけしか相手に伝えることができない場合には、何を伝えますか?
→コミュニケーションの準備をする前に、依頼者が期待する結果を知っていれば、よい資料を作りやすくなります。
p.32 「3分ストーリー」と「ビッグアイデア」
背景にあるのは、プレゼンテーションの結論は1段落、究極には1文にできる、という考え方。何が最も重要で、何が省略できるかを把握しましょう。
「3分ストーリー」
3分しか時間がなかったら、相手に何を伝えるか。ストーリーが明確かどうか、きちんと説明できるか確認する方法。上司に突然、何の作業をしているのか聞かれた場面や簡単に内容を説明したい場面に活用できる。
「ビッグアイデア」
3分ストーリーをさらに簡潔に1文でまとめたもの。ビッグアイデアの3つの要素。
あなたの独自の視点を明確にしている
何が危機にさらされているかを伝えている
完全な文章である
p.34 「ストーリーボード」で資料の骨格を先に作る。
ストーリーボード(絵コンテ)を使えば、コミュニケーションが目的にあったものかどうかを、早い段階で確かめられます。ストーリーボードを作る最大の秘訣は、「プレゼンテーションソフトを使わないこと」。コンピュータをつk立って何かを作ると、作ったものへのこだわりが生まれる。この不必要な作業にこだわりを避けるために、まずはローテクで始めましょう。
第1章まとめ
内容を作り込む前に何を伝えたいのか簡潔にまとめておくと無駄な作業がなくなり、資料の内容は確実に目的にあったものになります。内容を作成する前に立ち止まって考えると、作業が遅れるように感じるかもしれませんが、実際には時間を節約することになります。
第2章 相手に伝わりやすい表現を選ぶ
p.38 著者の考える12種類の表現
単純なテキスト
散布図
表
折れ線グラフ
ヒートマップ(色分け図)
スロープグラフ(坂グラフ)
縦棒グラフ
横棒グラフ
積み上げ縦棒グラフ
積み上げ横棒グラフ
ウォーターフォールグラフ(滝グラフ)
面積グラフ
p.42 表は読むもの
表は、異なる興味を持った人たちが、それぞれ自分の興味のあるところを見るのに適しています。表をプレゼンテーションやレポートで使うときは、たいていの場合、もっと良い方法で表現できるはず。表を作るときに心にとめておきたいのは、データを主役にすること。薄い色の罫線もしくは、真っ白な背景にそれぞれの要素を適度な間隔で配置すると良い。
p.45 グラフは4つ押さえれば十分。(点グラフ、線グラフ、棒グラフ、面積グラフ)
p.51 棒グラフが始まる基準線はつねにゼロである必要がある。
p.53 読み手の目は、グラフの相対的な高さを比べる。
p.54 このルールは線グラフには適用されません。ただし、ゼロ以外の基準線を使用する際は、読み手にそれが明確に伝わるようにし、小さな変化や差が強調されすぎないように注意。
p.58 ウォーターフォールグラフは積み上げ縦棒グラフを作り、必要ないセグメントを透明にすると作れる。
p.59 横棒グラフはとても読みやすい。カテゴリーが横書きになるため。
p.60 通常、人は左上から見始め、「Z」状にジグザグ降りていく。
p.68 第2縦軸はできるだけ使わない。
代替案1:直接ラベルをつける。
代替案2:縦軸を2つに分ける。
第3章 不必要な要素を取り除く
p.71 何もないコンピュータの画面に要素を1つ加えるごとに、相手に理解するための負荷(認知的負荷、Cognitive Load)を与えることになります。
p.72 認知的負荷とは、新しい情報を得るために必要となる脳のはたらきのこと。
ビジュアルコミュニケーションでは、認知的負荷は極めて重要。認知的負荷は、相手がほとんど意識しない受け止め方を決めるものであり、相手にメッセージが伝わるかどうかを決めるもの。過剰または無関係な認知的負荷を作り出す原因をクラターと呼ぶ。クラターとは、スペースを取るばかりで、何の理解もうながさないビジュアル要素のこと。資料を必要以上に複雑に見せてしまう。
p.73 資料が複雑に見えると、相手が理解しようとしてくれなくなるリスクがあります。その時点で、コミュニケーションが成立しなくなってしまいます。それは絶対避けなければなりません。
p.73 「資格認知のゲシュタルトの法則」
「近接」・・・物理的に近くにあるものを、同じグループに属するものとしてとらえる傾向がある。
「類似」・・・類似の色、形状、サイズ、向きを持つ者同士を、同じグループとしてとらえる。
「囲み」・・・物理的に一緒に囲まれているものを同じグループとしてとらえる。
「閉合」・・・自分の頭の中にある構造に当てはめることを好む。
「連続性」・・あるものを見たとき、人の目は最も自然な形を追求し、それが明らかに存在しない場所でも、勝手に連続性を作り出す。
「接続」・・・線などで物理的に繋げられているオブジェクト同士を同じグループの一部とみなす。
p.79 よくできたデザインは、人に負担を感じさせない。
p.81 整列
中央揃えのテキストはできるだけ避けたほうがいい。左もしくは右に整列させるかは、ページ上のほかの要素とのバランスを考慮して決める。各要素とホワイトスペースが水平方向と垂直方向の両方できれいに並んでいる状態を作るようにしましょう。
p.82 表やグラフでは左の一番上に文章(タイトル、軸ラベル、凡例など)を置くと良いでしょう。
p.83 ホワイトスペース
空白があるからといって、データを追加してはいけません。特定の目的があるときにのみデータを追加しましょう。
p.84 ホワイトスペースを残すためのガイドライン
余白には、テキストや画像がないようにする。
スペースを埋めるために、画像を引き伸ばすようなことはしない。
画像は、内容にふさわしいサイズにする。
p.85 「コントラスト」で読み手の視線をコントロールする。
明確なコントラスト(メリハリ)は、どこに注目すればいいかを読み手に示すサインになります。
「鳩でいっぱいの空に鷹を見つけるのは簡単だが、鳥の種類が増えるにつれて鷹を見つけるのが難しくなる」
第4章 相手の注意を惹きつける
人がどのように情報を処理するのかを理解すれば、より効果的にコミュニケーションをとることができます。
p.100 人は「脳」でものを見る。
p.100 映像記憶・短期記憶・長期記憶が果たす役割
無意識的視覚情報→映像記憶→短期記憶→忘却 or 長期記憶(言語記憶、視覚記憶)
p.104 無意識的資格情報は驚くべき、パワフルなツールです。戦略的にこれを活用すれば、相手が認識する前に見せたいものを見せることができるのです。
p.106 無意識的視覚情報 は、以下の2つのことを行うのに有効
相手の注意を意図するところに、すばやく集める
情報に視覚的な優先順位をつける
p.112 探索的分析では、無意識的視覚情報の使用は避けるべきです。しかし、説明的分析では、すでに相手に伝えるべき特定のストーリーがあるはずです。そのストーリーを明確にするために、積極的に無意識的視覚情報を活用しましょう。
p.113 相手の注意させるポイントを決めるときによく使う方法は、すべての要素を一度グレーにしてしまうこと。
p.117 デザイン上の選択は偶発的なものであってはいけます。つねに明確な意思決定の結果である必要があります。
p.117 図やグラフをグレーで作り、注意を引きたいところに目立つ色を1つ使います。基本色はグレーです(より強いコントラストを作り出せるため)。相手の注意をひく色としては、青をよく使います。
p.117 色の使い方について具体的なルール
控えめに使う
統一性をもたせる
色覚障害について考慮する
色が伝えるトーンに注意する
ブランドカラーを使うべきかどうか
p.124 ページ上の配置は自然に
p.126 第4章まとめ
ビジュアルコミュニケーションにおいて無意識的視覚情報は控えめに戦略的に使えば大変強力なツールとなります。
第5章 デザイナーのように考える
「形式は機能に従う」
データビジュアライゼーションにおける形式と機能とは、データを使って相手に何をしてほしいか(機能)を考え、そしてそれをできるように視覚(形式)化することです。
p.128 アフォーダンス:どのように情報を扱えばよいか?(行為の可能性・意味)
視覚的なアフォーダンスを利用すれば、相手に情報をどのように扱えばよいかを示せます。
重要なものを強調する
気を散らすものをなくす
情報に明確な「視覚的階層」をつくる
p.132 重要な部分を強調する一方で、必要のない要素もなくしましょう。「足すべきものがなくなったときではなく、減らすものが何もなくなったとき、それが完璧になったとわかる」
p.133 何を強調するかよりも、何を減らし、何を強調しないかがときに重要。
p.133 気を散らすものを見つけるには、コンテキストとクラターの両方を考える必要があります。クラターは、図の中でもスペースを取っているわりに、新たな情報を含んでいないもの。コンテキストは相手に内容を理解してもらうのに不可欠なもの、多すぎず、少なすぎず、適切な量を示すことが求められます。
p.133 気を散らすものを識別するための、具体的な方法
すべてのデータが等しく重要なわけではありません
詳細が必要でない場合、要約しましょう
これを削除することで何が変わるだろうか、と自問しましょう
必要だけれども、メッセージに関連のないものは、無意識的視覚情報に関する知識を使って目立たないようにしましょう
p.139 アクセシビリティ:誰でも理解できるか?
アクセシビリティのコンセプトは、デザインは多様な人々に使用できるものでなければならない、というもの。
必要以上に複雑にしない
言葉をうまく活用する
p.140 相手を動かしたければ、必要以上に複雑にしない。「読みにくいものは、行動に移すことも難しい」
p.141 図表を適度に複雑に見せないようにするためのヒント
読みやすくする
整理する
簡単な言葉を使用する
不必要に複雑な情報は取り除く
p.142 すべての図表はタイトルを必要とし、すべての軸がタイトルを必要とする。相手に伝えたい結論があるならば、言葉で表現しましょう。
p.143 スライドに書く「アクションタイトル」
何かの提案や、相手に知らせたいことがあるのであれば、それを書くためにタイトルスペースを使う。
p.147 審美性:そのデザインは美しいか?
一般的にデザインを美しくするために時間をかければ、相手がより集中して資料を見てくれるようになり、メッセージが伝わる確率が高まります。
p.149 データビジュアライゼーションにおける美しいデザインのポイント
色使いを工夫する
配置に注意を払う
空白を活用する
p.152 統一された色使いで、要素がきちんと整列しており、空白がうまく活用されて初めて、秩序あるデザインができあがる。
第6章 モデルケースを分解する
(割愛)
第7章 ストーリーを伝える
p.171 演劇ストーリーの構造は「三幕構成」。物語には明確な「始まり、中間、終わり」がある(アリストテレス)。現在では一般に「設定、対立、解決」。
p.172 事実の羅列だけの物語はつまらない
人々を説得するには、2つの方法がある(ロバート・マッキー)。
理性に訴える従来のやり方
ストーリーを介するやり方
ストーリーは相手の関心とエネルギーを喚起し、考えと感情を一体化させる。ストーリーはまったく新しいレベルで相手を巻き込むことができるので、創造力を使って、時間をかけて考えるだけの価値がある。
p.174 ストーリーを作成したあと、もう一度熟考し、自問する。
「そのストーリーを信じますか?」
「その苦悩は誇張しすぎでも、ぼかしすぎでもないか?」
「真摯なストーリーですか?」
p.176 始まり:設定を伝えてコンテキストを構築する
ストーリーを構築するうえで、答えられるようにすべき質問
設定:いつどこでそのストーリーが起きているのか?
主人公:誰が行動の主体なのか?
アンバランス:何が変わったのか?なぜそれが必要なのか?
バランス:何が起きてほしいのか?
解決策:どのように変化をもたらすのか?
p.177 中間:相手の可能性、行動の必要性を説明する
p.177 ストーリーを構築し、相手を納得させるために活用できるアイデア
関連する背景情報を増やし、状況や問題について議論を発展させる
外部のコンテキストや比較するものを組み込む
問題を説明するための例を示す
問題を示すデータを入れる
アクションがとられなかったり、変更がなされなかったりした場合、どうなるのか明確に示す
問題に対処するために取りうる選択肢を提案する
あなたが提案する解決策のメリットを示す
なぜ相手が意思決定や行動を起こすべき立場にあるのかを伝える
p.178 コミュニケーションに含めるものを考えるときは、つねに相手のことを最優先にしましょう。彼らは何と共鳴し、何が同期となるのかについて考えてみてください。相手を動機づけるものを見つけたら、それに合わせてストーリーを組み立ててください。
p.179 終わり:何をしてもらいたいか「行動」を呼びかける
p.186 ストーリーが明確かどうかを確認する4つの方法
水平ロジック
垂直ロジック
逆ストーリーボード
第三者の目
第8章 さあ、全体をまとめよう
(割愛)
第9章 ケーススタディ
(割愛)
第10章 最後に
p.252 次にすることは?
ツールを習得する
試行錯誤し、フィードバックを求める
十分な時間を費やしましょう
よい例をを通してインスピレーションを得る
楽しんで自分のスタイルを見つけよう
p.264 おさらい
コンテキストを理解します
効果的な表現を選択します
不必要な要素を取り除きます
意図するところに注意を向けさせます
デザイナーのように考えます
ストーリーを伝えます
p.266 さあ、データを使ってストーリーを語りにいきましょう!
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