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TO THE TOP -10 years later 11 2021年の東京 1-

2021年5月。
イタリアで実施された無観客のVNLに向かうメンバーを発表した時のバレー界隈の騒然とした感じ今も覚えています。

東京オリンピックが延期され、最終的には2021年夏に無観客で実施されることになりました。持っていたチケットは払い戻しされましたが、いろんな気持ちが渦巻いていました。東京という身近な場所で行われたにもかかわらず、映像でしか見れないなんて、なんてついてないんだろうと思いました。

2021年の代表キャプテンとして祐希さんが選ばれたと聞いた時、漠然と波乱の予感がありました。何かが大きく変わるだろうと。普通だったらオリンピックは4年おきに行われます。でも、東京オリンピックが延期したことで、間は3年間。
東京で目標を達成することだけではなく、パリオリンピックにつながるためのメンバーを選抜しなければいけないという難しい課題を抱えたチームが選んだ選択がでした。

中国との親善試合、そして紅白戦。
そこには自分が想像していたよりもはるかに壮絶なOH争いがありました。中国との試合は東京オリンピックの会場の有明アリーナでしたが、そちらは無観客でした。ようやく祐希さんを除く選抜メンバーを私が初めて目の当たりにしたのは高崎で行われた紅白戦でした。それは私にとって、2019年W杯以来の代表チームの現場でした。

もしかしたら、OHの人選は2019年とはごっそり変わるかもしれない予感がそこにはありました。柳田さんは紅白戦にしか出ませんでしたし、福澤さんはどちらの試合にも出ましたが、プレー時間は限定的でした。
とはいえ、最初は新しく選抜したメンバーがどの程度、できるのかを確認したいからだろうくらいに思っていました。

でもコートで躍動する若いメンバーを見て、彼らが必死にそのポジションをとりに行こうとアピールしていることをひしひしと感じました。だからVNLのメンバーに柳田さんが選ばれなかったと聞いた時、ショックは受けたのですけれど、コロナ禍がもたらした1年という時間がいろんなことを変えたんだなと感じていました。

後々、中垣内元監督も2020年に東京オリンピックがあったら、違う結果になっただろうと言ってましたしね。

VNL初戦で藍くんは公式戦で初めて祐希さんの対角に入ってコートに立ちました。その試合を見て、このチームの重要なピースとなるべき人材が見つかったんだと思いました。石川祐希の対角を務める安定感のある守備で貢献できるOH。長年の課題だったポジションのピースを埋める人材がそこにいると。

それはいろんな意味で衝撃でした。
彼はその時、19歳。大学2年生。
祐希さんが2015年ワールドカップで躍動した年、西田くんが華々しく活躍した2019年ワールドカップと同じ年齢です。

春高で見た彼は華奢でまだこれからの選手という印象でした。川合さんが春高の解説ですぐにでも日本代表へ、もしかしたら東京オリンピックにも間に合うかしれないと言った言葉は1年という時間を経て現実のものとなりました。

最終的に東京オリンピックに選ばれたOHで2019年のワールドカップからそこに残ったのは祐希さんだけでした。藍くん、大塚くん、高梨くんという新しいメンバーがそのリストに残ったことはパリオリンピックに向けた伏線でもあったのかもしれません。

(続く)




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