More Than Words - Chapter 2 Tatsu & Ran -
番宣の中ではっきりと藍くんは世界選手権の「Best4」と口にしたのを聞いて、そこまで来たかとびっくりした反面、ちょっと感慨深げな気持ちになりました。
このチームが世界選手権に向かうときに決めた共通の目標なんだとストンと腑に落ちたからです。その目標をもう無茶だとも、無謀だとも、ビックマウスだとも思いません。
彼らは本気でパリでメダルを取ることを狙っていると思います。
そこに辿り着くために今年をどう過ごすか、どこまで世界ランクを上げるのかなどは指揮官と選手とじっくり話がされているのだといるチームだということはそれぞれのインタビューや記事になっている言葉からひしひしと感じています。
今、このチームの真ん中に「たつらん」がいます。
人生に「IF」は存在しません。
それでも、もし東京オリンピックが2020年に行われていたら、パンデミックがなかったら、彼らの「今日」は全く違ったものになっていたことだけは想像がつきます。
年の近いふたりですが、先を走っていたのはたっちゃんの方。
洛南カルテットと呼ばれた高校時代は2年で春高準優勝、3年で春高を完全試合で優勝。アンダーカテゴリーで必ずメンバーに選ばれていたのも彼の方でした。
洛南高校に阻まれて春高に出れなかったのが2年までの藍くん。
塁くんが3年生、藍くんが1年生の時の京都予選は手に汗を握る試合でした。
スコアを見るだけでもすごい。
1セット目を25-23で洛南がとった後、2セット目は43-41で東山が壮絶なデュースの末にとって、3セット、4セットは洛南がとったものの、点数はどちらも25-23でした。
こんな試合、なかなか見れないと思います。
どれだけ京都が激戦区だったかを物語る試合の一つ。
その後、洛南カルテットが卒業した後の春高で優勝したのは藍くんが3年生になった東山高校。
彼らもまた1セットも落とすことなく春高を優勝したチーム。
なのに二人が目指していた東京オリンピックは前代未聞の延期。
二人とも代表に選ばれたものの国際舞台にたつチャンスもないまま過ぎてしまった時間でした。
その年の終わりには無観客でインカレが行われ、決勝戦は早稲田vs日体大。
春高の京都予選で激しく戦った二人は大学に場所を移して、ネットを挟んで向かいあい、結果は早稲田の4連覇で幕を閉じました。
二人の立ち位置が変わったのはオリンピックシーズン。
石川祐希の対角のポジションに立ったのは藍くんの方。
これは二人の能力の差というよりはチームとしてのバランスだと私は今でも思っています。
藍くんが得意とする守備が石川祐希の対角には必要だったから。
結果としてオリンピックでも、アジア選手権でも藍くんの方がコートに立った時間は長くて。
でも、彼らにとっては東京オリンピックは彼らのバレーボール人生の終着点ではなく、新たに始まる大きな冒険の始まりだったのでしょう。
冒険に必要な武器を手に入れるために藍くんはイタリアで、たっちゃんはVリーグで自分を磨き続けました。
そして、2022年シーズンを迎えて、お互いに強くなった姿をコートで存分に見せてくれています。言葉にできない辛いこともたくさんあるのだと思うのだけれど、どんな状況でも前を向いて今を楽しもうとするのがふたりに共通している資質かなと思ってます。
今はいろんな場面で、互いに抜きつ、抜かれつつ、バレーボールを楽しんでいるのかなと。
今年のチームは真剣勝負に向かっている時もとても楽しそうです。
「強くなければゲームを楽しめない」と言ったのが誰だったかもう忘れちゃったけれど、彼らはゲームを楽しめるほどに力をつけて来たのだと思っている。だから、ちょっとくらいのビハインドだったらひっくり返してくれると信じて応援できます。
パリオリンピックにたどり着いた時にどっちがメインでコートに立つのか、もしかしたら二人とも立つのか、立てないのか、今は誰にもわからないけれど。
同じ京都という場所で高校生活を送り。
同じバレーボールという競技を選んで。
高校や大学でライバルとして戦ったり。
代表としてチームメートとして戦ったり。
そんな同じ時間軸で二人が活躍する今という時間にここに存在しててよかったと思う。彼らが大きな目標に辿り着くその日まで一緒に活躍してくれたらいいなと願うばかり。
お互いがいることで、より強くなれる、そんな素敵なふたり。
彼らを見ていると「ダイヤモンドはダイヤモンドでしか磨けない」がピッタリ。
最高のダイヤモンドの原石たちがお互いをより輝かせている。
大きな一歩を明日からの世界選手権で踏み出すはず。
彼らの成長が未来の龍神の可能性を無限大に広げていくのだと信じて疑わない。
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