君がくれた夏 -Dedicated to Ran -
夏が終わりました。
もっとその瞬間が続いてくれることをずっと願っていました。
コートに立って躍動する姿をもっともっと見ていたかった。
だけど終わりは突然にやってくるもの。
そう決勝トーナメントでは負けたら終わってしまうもの。
コートにボールが落ちた瞬間、私の頭の中も真っ白になりました。
勝ちを掴むかもしれないと頭を掠めていたので。
残念ながら、この日、彼に、彼らに勝利の女神が微笑むことはありませんでした。東京オリンピックの金メダリストのフランスチームは最後の最後に粘り強さと勝負強さを私たちに見せつけるかのように試合を締めくくりました。
リアルタイムで見ていた時、悔しさにすぐに画面を閉じたので気づかなかったのですが、試合が終わった後の振る舞いを見ると、藍くんの瞳には涙がこみ上げていたのかもしれません。ユニフォームで涙を拭っているように見えました。
彼を労ってくれたたっちゃん、佐藤くん、宮浦くんの姿が画面に映っていましたが、彼らもその気持ちを感じ取っていたのでしょうか?
こういう時、現地に居られない寂しさを感じます。
カメラが切り取ったシーンしか見られないのは残念です。
⇩ちょうど10:00くらいのところを見てみてください。
現地で見ることは叶いませんでしたが、世界選手権を通じて素晴らしいパフォーマンスの数々が飛び出しました。
まるでびっくり箱のように、試合ごとに成長して、違う側面を出すようなそんな勢いに何度も驚きました。
きっとここに立つまでにたくさんの努力をしてきたんでしょうね。
コーチがSNSで語ったこの言葉が胸に刺さります。
もちろん、何を言ったところで、負けたは負け。
でも負けにはいろんな意味があるし、ただの負けにするかどうかはその後の振る舞い次第です。
コーチの言葉を日本語に訳すなら「Quaterfinalsに行くにふさわしいチームだった(行けなかったけど)」というニュアンスになると思うのですけど。
コーチがそう思ってくれるチームもとても誇らしいですよね。
代表シーズンが始まる前、彼がどんなパフォーマンスを見せてくれるのか心配する声が上がっていたのを見て、私が書いた記事からコメントを引用します。そう結果なんて蓋を開けて見るまで分からないんです。
心配はいりませんでした。
ブラジルとの親善試合でコートに立ったその日から、手に入れたものを全て見せてくれたその姿に感動すら覚えました。
彼も次のオリンピックの舞台に立ち、メダルを手に入れたいと切望している一人なんだろうなと。
VNLのブラジルラウンドで活躍し、コロナで隔離され、それでもイタリア戦では勝利を決めるブロックを見せてくれました。でも、帰国の遅れの影響で大阪ラウンドでは出場回数も減ってファンをヤキモキさせましたよ。
思えば全てが順調だったわけでもなかったのでしょうね。
そんな中でVNL FINALでキャプテンを欠いた時から彼の振る舞いがちょっとずつ変わってきたようにも思いました。
それを強く強く感じたのは沖縄の紅白戦でした。
「リーダーシップをとる」と口に出したことをちゃんと実践しようとしてるように見えました。
怪我で現地に来れなかったキャプテンの動画を見上げるその表情の中には何か決意のようなものがあったのかもしれません。
そして、世界選手権。
藍くんにとっては初めての大会で私にとっては辛い記憶が蘇る大会でした。
チームが一つになれなくて苦しい結果になった大会の記憶はひとつひとつ塗り替えられていきました。
勝った試合も、
負けた試合も、
どの瞬間も見逃しちゃいけないと思える姿でした。
春高で名前が知られて、ここに来るまでたったの2年半くらい。
君がくれた今年の夏の思い出も最高でした。
見るたびに強くなっていくその姿に説明する語彙を失うほどに。
日々、成長し続ける姿は龍神NIPPONの未来を変えてくれることを期待させてくれます。
今回の世界選手権で目標に辿り着けなかった悔しさがどのくらい藍くんを高みに連れて行ってくれるのかと考えると見てる方は悔しさをちょっとだけ忘れてワクワクします。
キャプテンが言うように勝つ経験もとても大事だと思います。
でも、私が見てきた龍神NIPPONというチームは世界で勝ちきれなかった悔しさを糧にここまで登ってきたチーム。
きっと、ここから先、頂の景色を見るためには今までとは違う体験が必要なんでしょうね。
悔しい敗戦の直後にも、彼からも「強くなる」という言葉が飛び出していました。
頼もしいですね。
次に代表のユニフォームを着る試合を観れるとしたらそれは6月。
もう10ヶ月ほどしかないんですよ。
なのにきっとまた驚かされちゃうんだろうな、その進化や成長に。
チームが強くなって、強豪国に勝つ龍神NIPPONはもちろんとっても楽しみだけれど、藍くん自身がどんな選手になっていくのかもとても楽しみなんです。
ありがとう、本当に最高の夏でした。
来年のVNLで、OQTで活躍して、また熱い夏の思い出をくれるのかもしれません(厳密にいうとOQTは秋だけど)。
その経験を手に2024年のパリで結果につながって、最高の夏がやってくることを願ってやみません。
次はどの舞台でそのプレーを見せてくれるのか、とても、とても楽しみです。
See you soon at the next stage.
夏は楽しいけど、夏の終わりはいつもなぜか切ないんですよね。
なんでだろう。
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