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ワタリドリ -世界選手権 予選リーグ突破-

追い風 届けるよ
僕等一心に羽ばたいて
遠い過去を 背負ってた
あなたを未来へ運ぶよ

「ワタリドリ」by Alexandros

日本とキューバが最後に国際試合を戦ったのはOQTで負け倒した後のWL(今のVNLの前のフォーマットの国際試合)でした。
その時、私はアイスショーを見に神戸に行く予定を立てていたところに無理やりWL観戦の日程を押し込んだんですよ。
移動が忙しかったことはとてもとてもよく覚えています。
フルセットで負けた試合でした。
OQTで怪我をした祐希くんは帯同してたのだけれど、関係者席で静かに観戦。
スタメンを調べたら、S関田、OP健太郎、WS米山、WS柳田、MB健太郎、MB山内、L永野という布陣でした。
もうそれが6年前。
でも、ミドルとセッターは今と変わらなかったんだなということには感慨深げです。(参考:https://www.jva.or.jp/international2016/worldleague/)

そして今回は世界選手権で予選突破をかけてキューバと戦うことに。
日本が含まれる国際大会であまり見ないこともあって自分にとっては未知のチーム。
どんなチームか知りたくてChallenger Cupやブラジル戦を見て、勝機があるチームだなと思ってて。
その前のブラジル戦でのチームのうまくいかない感じを見るまではあまり心配してなかったのですけど。

勝たないと決勝リーグに進めないかもしれない崖っぷちで、龍神NIPPONが見せてくれたパフォーマンスは、今シーズンこのチームが強くなったことを証明するような闘い方でしたね。
キューバのサーブがあまり決まらなかったことにも助けられましたが、なかなか西田くんも、祐希くんもサーブがいつものような勢いにならない中、着実に点を取ってくれたのはMBの二人、特にこの日の太志くんはスパイクで、ブロックでガンガンと点を奪い取る頼もしさを見せてくれました。

シモンというミドルが相手コートに立ちはだかる中、クイックを、パイプを通し続け、ボールを託していた関田くんのプレーはブラジルとの戦いを吹っ切るような勢いでしたし。

長くコートから離れていた祐希くんは最後の方がきつそうでしたけれど、3枚ブロックがついても、コンディションがベストでなくても今できる最高のプレーでポイントをもぎ取る姿はやっぱりこのチームのキャプテンなんだなと。

でもキューバを含むこの世界選手権の3戦でその戦いぶりに心を動かされたのは藍くんでした。
VNL前半は安定したパフォーマンスを出していてその成長ぶりに驚いていましたが、フィリピンラウンドでコロナにかかってまさかの隔離、コート上での怪我、日本ラウンドには帰国が遅れてチーム練習に参加できず、大阪での出番も少なめでした。
今年の成長は感じていたもののも、たっちゃんとのスタメン争いは厳しくなるだろうなと感じていていまして。
そんな中で、祐希くんの怪我の影響もあって、テストマッチから対角で戦い続けたたつらん。

この二人がこのチーム強さを支える二人になったことは本当に嬉しくて。
この対角はずっと未来の姿と思ってたけれど、思っているよりも早く形になるかもしれないと思い始めてます。

藍くんがどんなボールでも上げようとするその姿はもう涙ものでした。
彼がボールをきれいにあげるときはコートに余裕ができるし、落ちたかもしれないと思うボールをともくんと共に上げ続けるのを見て、バレーボールはボールを落とさなければ勝機が生まれるスポーツだったなということをもう一度、思い出したり。
課題と言われたブロックでもいい位置どりで止めたり、ワンタッチとったりできるようになってきたよね?
(なぜ、あのブロックポイントがつかないかは誰か教えてくださいw)

とにかく昨シーズン、そのいきなりの成長ぶりに私たちを驚かせた彼は全てにおいて、過去の自分を超えるようなそんなパフォーマンスを見せ続けています。彼もまた行きたい場所に一歩でも近づくように日々努力し続けてきたんだろうなと思わせてくれます。
恐ろしい20歳。
まだまだ成長できる。

キューバ戦で一番、私のテンションを上げてくれたのはたっちゃんでした。
祐希くんの様子を見ながらもう少し早い段階で変えてくるかな?と思いましたが、ブランさんがカードを切ったのは4セット目の前半でキューバに先行されていた時。
そのタイミングでコートに送り出されることが、たっちゃんもブランさんに信頼されるプレイヤーに育ったのだという証拠のようでした。
コートに入って、すぐに効果的なサーブで相手を崩したのを見て、ハートが強いわ、彼もと思ってました。

祐希くんがコートを去ると悲壮感しかでない時期もありました。でも、キューバ戦ではたっちゃんが入ってきて、追いついて、追い越して、そしてセットを取り切って。
こんな難しい場面で交代して、やるべきことをやれる彼もまたこのシーズンに恐ろしい進化を見せてくれた一人だったかもしれません。
頼もしすぎて、言葉を失っていました、最後は。
彼もまた結果で人を納得させてきた人。

そんな全員の集中力の高い試合展開で身体能力の高いキューバを下し、プール2位で決勝リーグへ。

チームが目標にしているベスト8まであと一つ。
なのに神様はそこそこ残酷なカードを用意してまして。
なんと、トーナメントの1戦目でフランスと当たるという。

長いこと勝ったイメージのない相手です。
最後に勝ったのは、冒頭に振り返った2016年、OQTの時にフランスがオリンピックが決まっていて戦力を落として戦った時でした。

あれから長い時間がたって、日本のチームメンバーも戦い方も進化しました。お家芸のように言われるフェイクセットも祐希が得意とするネット際の点の取り方も、フランスの選手がルーツです。
そしてブラン監督はフランスの人ですし、次のオリンピックはフランスです。
彼らの戦い方を熟知して、パリオリンピックまでに彼らを凌駕するチームに仕上げろとまるで神様が告げているような采配だなと思いました。

どれほど願っても、あの時に1セット取れてたら、あの1セットを落としてなかったら、もう少し点を取れてたら、は違う世界線にあるもの。
対戦が決まったフランスはいつか追い越さなければいけないチーム。
ここで勝って強さを証明したいですよね?(もちろんフランスがすごく強いことは知ってます。でも気持ちは気持ち)。
きっと選手はどんな相手でも勝つつもりで挑むはずです。
あと、私にできるのはいつも通りの全力応援だけ。

決戦の日は日本では9月6日(火)4:00からです。
強くなったことを目の当たりにしたいから勝って欲しいという気持ちもありますけれど、試合に負けることがこのシーズンの龍神NIPPONのシーズンが終わってしまうことも寂しくもあります。
この強くて、かっこいい日本代表チームを1分でも長く見続けたいと切に願います。


ありもしないストーリーをいつか描いてみせるよ

「ワタリドリ」 by Alexandros


この曲は2016年、OQTの後、鬼リピして聴いた曲です。
いつかきっとワタリドリノのようにこの龍神NIPPONが舞い戻ってきて、
誰も信じないような「ありもしないストーリー」を描き、強くなることを願っていました。

彼らは確かに強くなった。
だからあと一歩、前に進もう。
見たことのない景色を見よう。

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