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お天道様ノ掴み方- 12

「妖焔(カゲロウ)ヲ響カセテ-」

「・・はい?」
「だから!私は!あの時助けてもらった猫ちゃんなの・・」

冗談もここまでくると、さすがに笑えなかった。

響が猫?何を言っているんだ?

僕はただただ、呆気にとられ、響の発言に、ポカンとしている以上、他に何もできないでいた。

「信じてないでしょ!」
「・・まあ。その、何というかだな・・」
「わかりました。じゃあ・・!」

響はそう言うと、なんと、今着ている学校の学生服を、おもむろに脱ぎ始めてくる。

「?!待てええい!!」

と、僕は、咄嗟に、響きの腕と肩をガッと掴み、同時に、それを静止した。

「何よ」

響は、ジトっとした表情でこちらを見つめてくる。

「何よじゃないだろうお前!何考えてんだ!」
「何よ?信じていないんでしょう?だったら私が、今から、証拠を見せます!」
「わかった!わかったから!だから、その、とりあえず、服を脱ごうとするのだけはやめてくれ!」

と、その時。

-ガチャッ(扉の開く音)

(扉がきしむ音)

「・・」

一瞬の間が続く。

そして-

「あ・・・」
「あらあ〜?お邪魔だったかしらあ・・?」

なんと、それに拍車- いや、輪をかけるかの如く、響の母さんが、白のトレイに追加のお茶とお菓子を持ってきたのであろうか・・その扉を丁度よく、いや、悪く、開け始めたのだった。

いくらなんでも、タイミング悪すぎだろ・・・

「お、お母さん?!んもう!」

-バタンッ!(勢いよく扉を閉める音)

「響い?響ー?もうっ」

僕たちのお戯れだと思われてしまったのかもしれないその光景だけを見た響の母さんは、トントン、トントン・・と、その階段を、降りていく。

・・おお。神よ・・正直、何てことになってしまったのでしょうか・・・

「・・で?お前が、その・・なんだっけ?」
「だから!私は、あの時助けてもらった猫ちゃんなの!」
「・・」

僕は、正直、響の目を見れないでいた。

彼女が猫?あの時助けた・・ why

 しばしの間、静寂が続く。

そして-

「・・それで?言いたいことはそれだけか?」
「え?それで・・?って・・?他に、他に何かないの?普通・・」

いや、そもそもこの状態が、既に普通じゃないんだがな・・

響のやつは、それを尻目にしながらも、僕の、半ば九割は呆れてしまったであろうその表情を見つめては、怪訝な面持ちをしている。

「・・それが本当だとして、何故それを僕に告げる?別に、話さなかったら良いことじゃねーか」
「えと・・それは・・・」

・・いかんせん信用するに足らない響の話しの内容を問い詰めるために、僕はその、質問に、拍車をかけていった。

が、次の瞬間-

「それは儂から説明しようなのじゃ」
「のあああっ?!」

咄嗟に、僕は、響の教科書やら何やらが収められているであろう、僕よりも背の高いその本棚に、背中から豪速球で身を預ける。

「だ、大丈夫?!」
「あ、ああ・・」

なんと、突如、天井から、「スーッ」とその長い金色の髪の毛を、部屋の中腹ほどまでに逆さに垂れ流しながら、おでこから目までを覗かせている彼女- そう「陽ノ光 妖」が、天井をすり抜け、まるでそのタイミングを見計らっていたのかといわんばかりに、現れ始める。

「ゆ、妖・・・?」
「よ!久しぶりなのじゃ!」

僕は、もう、正直、涙を流して笑い出したかった・・・

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