急に思い出した、初夏の夜のこと。
一日汗をかいて、熱を持って過ごす、中学最後の体育祭の日。
湘南地方で育ったことの印象的な記憶としてあるのは、この中3の体育祭。
しかも、その夜。
3年生だけは伝統的にその夜打ち上げと称してクラスでご飯を食べに行く文化があって、中学脇のお好み焼き屋さんの座敷を貸し切り、一回家に帰って私服に着替えたところで集合する。
(この、中学の時の私服での集合っていうのはなんともいえない気恥ずかしさと、特別感があって、それだけでぞわぞわするものがあった。)
夜ご飯を食べた後に、ゲーセンにでもいくかとなる。
夜の駅にでて、暗い山道をモノレールの猛スピードで駆け抜けて16分。江ノ島にでる。
ムー大陸(ゲームセンター)でひととおり遊んだ後に、小田急駅前のマックで思い思いに買い物して、海辺で鬼ごっこをする。案の定びしょびしょになりながら、海に投げあいながらくったくたになる。(日中は体育祭をしていたのだから、大した体力だ。若いって凄い。)
基本的にいい恰好をする輩ばかりだったので、UFOキャッチャーで男子が女子にぬいぐるみを取ってあげたりだとか、謎にシェイクを奢ってくれたりだとかする。(しかもひっそりとした特別感と優しさをちゃんと感じさせて)うちの男子はなかなか遣り手だったなと思う。
これぞ湘南、これぞ青春と思える光景は、この夜の他に私は持っていない。