年末年始にも間違いなく読むであろう本。
年末年始にみたいもの、
そのお題でコルクの人たちでバトンを回してます。
私で、3日目。つまり3人目。
続々おすすめが増えるので、気になる方はどうぞこちらへ。
クリスマスの連休は岐阜の姉の家にいこうとしていて、お正月は実家で家族と過ごす私。
家族といるとずっと誰かしら話をしているので、大長編というよりも気軽にひらけて気軽に閉じれるものを選ぶことに。本当は好きな小説とか絵本の話がしたかったのですが、わたしの鞄にはいっている率も相当に高いエッセイを選書しました。
巴里の空の下オムレツのにおいは流れる(著者・石井好子)
これは食べものが好きなフランス住まいが長かった日本の歌手が、ただただ食べ物について考えたり話したりしているだけの本です。
まだ家庭での洋食というものが珍しかった時代に『暮しの手帖』で連載されていて、海の向こうの卵料理であった「オムレツ」をふわふわの食感と香ばしい香りが気になってたまらないように描くなどして、1963年に単行本がでるとベストセラーに。今でも書店に並び続けるロングセラーエッセイ。(わたしが母から引き継いで持っている本は1967年に刷った19刷。)
例えば、しゃぶしゃぶだとこういった風。
ぐらぐら煮立ったお湯の中に、肉の一片を箸でつまみ、しゃぶしゃぶっとニ、三回ふると肉に火が通って白っぽくなる、それをたれにつけて食べるのだが、熱い肉は、香りの高いたれにつけると、ちょっとひえて口あたりも柔らかく、じつにおいしい。
お肉の色の変化や、口の中で甘く広がる香りまで頭の中で再現されていって、お腹がぐうぐう鳴ってきます。
玉ねぎがとろとろに煮えたオニオングラタンスープを香ばしくオーブンで焼き上がる様子など、レシピごとの魅力がリアルでついつい台所に立ちたくなる。
食が細いけれど、食べ物のことばかり考えているわたしにはうってつけの本です。
酔った時なんかはたまに音読しています。
(装幀もすきなのだけど、持ち歩きすぎてもうボロボロ。日焼けしてるわ、表紙が外れそうだわ…)