寄せ集め部隊/激突
「合図だ!行け行け行け!!」
地元の傭兵団の人員が乗り込む。待機していた4人も一緒に走り出す。
しばらくして遠くから銃声や爆発の音が小さく聞こえて来た。煙と炎も見える。
「攻撃開始だ」
援護兵として前線を支えるグリムスさん。
見たことも無い銃を持っていたけど、あれは何だったんだろう。いや、考えるのはよそう。今は目の前の作戦に集中することが一番大事だ。
今回、役割としては俺と松井が狙撃。グリムスさんとノアルが援護、ガリアーノがポイントマン、クフォンが看護兵になっている。
「おい!いたぞ!」
物陰からサングラスをかけた中東風の武装した男が飛び出てくる。
「見つけた、そこか」
すかさず反撃して倒す。
「撃つぞ、マイク。距離を測定」
「あぁ・・・1448!」
「了解、仲間を援護するぞ」
松井が引き金を引いた。凶悪な重量の12,7mm弾が悪人に襲い掛かる。
「狙撃だ、隠れろ!」
狙撃されたとき、相手の位置がわかっていなくて遮蔽物が多いときには大体行動が決まっている。視界から外れるべく隠れる。しかし”対物”ライフルはお構いなし。
「隠れたな。だが、銃身が出ている」
再び発砲。
「これで・・・ぎゃあぁぁあ!!!」
「外したか」
やたらと素早い動きで物陰から物陰へと飛び移る男。
「駄目だ。スコープに捉えているが、警戒心を高めてしまった。そう簡単には顔を出さないだろう。移動するか。見やすい位置がいい」
「そうだな。俺が見張っておく。付かず離れず付いていく」
地元の傭兵たちは、今何をしているのか。と、ちょうど思った時。
「こちらアルファ班、首謀者を確保!!連行します!」
「早っっっ!!!!」
犯人たちは、全員逮捕された。
「くそ!てめぇら、覚えてやがれよっ!!」
「さぁ観念するんだ!こいつめ!あぁ、ありがとうございます。ご協力、感謝します。こいつらはお任せください。状況の確認や調査はこちらがやります」
「役に立てたようで何よりです。こちらは怪我人ゼロです」
「射殺の許可が出ていた凶悪犯も・・・凄い・・・あなたたちに来ていただいてよかったぁ」
一件落着。とにかく、俺たちも傭兵団も怪我人と犠牲者が出なくて良かった。
あの後、握手した手が千切れるくらい振られたりしたけど。
彼らとは友達になった。一緒に悪い企みを破壊できた。
同じ釜の飯を食うと仲良くなれるんだな。諺って、凄い。
使い方が合っているかはわからないけど。
キューバのお偉いさんから報酬金が渡されることになっている。一部の人たちは素性の知れない突然湧いて出たような連中にって反対していたのを押し切ってくれた。
さらに、懸賞金が掛けられていた強盗殺人犯の構成員も倒したらしく、その分のお金も上乗せされた。
俺たちは別にお金が欲しいわけじゃない。
だから、幾らかは貧しい人々に、幾らかは支援に使った。
そして・・・ついにグリムスさんが連れて来た秋田犬。
「三郎だ。大人しく利口なやつだ。本犬に代わって、よろしく頼む」
「可愛いぃぃぃぃ」
「・・・」
「い・・・癒しですわ」
人によって反応はまちまち。
でも、5人の絆は少しだけ深まった。かもしれない。
これからは、5人と1匹だ。
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