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寄せ集め部隊/夢

俺はマイク。アトランタで生まれ育ったどこにでもいる男だ。
何年前だろう。こんなことを始めたのは。
俺はニュージャージーでアルバイトを始めた頃、中学を卒業してから変わりたいって。自分を変えたいと思ったから実家を出て友達と俺の叔父とのシェアハウスで過ごした。
俺は昔から目立ちたがり屋だった。
くだらない事をしてみんなを笑わせるのが大好きだった。小さい頃からみんなの笑顔をみるのが好きだった。
だから世界が平和になって欲しいと思い始めたんだ。
でも、考えが通じない人がいるって知った時は悲しかった。
いや違う。俺は信じる。必ず手を取り合える。同じ人間なんだから。
そう思って必死に勉強して、精神と身体を鍛えて海兵隊に入った。
新天地で頑張ろうと思ったが、上司がきつかった。
すぐ怒鳴るし、殴るし、何かやらかしたら髪を剃られるし。
部下によって贔屓するような上司。
ドラマで見たような変な大人。
そいつが嫌で嫌で。
その後お偉いさんにバレてそいつは辞めた。
でも、俺は自分の居場所がここじゃない気がしたんだ。
どこかもっと、昔からやりたいことを・・・
と怒られる覚悟で総司令官に言ってみた。
そうしたら飛び上がる答えが返ってきたんだ。
「君がやりたいことはわかった。しかし、軍務に関われなくなるだろう?そうしたら欠勤が多くなるし給料も貰えないぞと言いたいが・・・」
わかっていた。無理だということは・・・
「しかしだ。あくまで普通の上官に限る、だ。俺は普通じゃないからな。型にハマった暮らしじゃつまらないだろ」
本当にこの人は、
「おいおい、ここはアメリカだぜ?自由の国だぜ?
人がやりたいことを上の勝手な判断で潰す職場なんて無いよな」
滅茶苦茶なんだ。
「あ・・・ありがとうございます!!」

太っ腹という言葉には余りある、いい意味であり得ない総司令官に感服して嬉しさ一杯で帰ってきた俺。
寝る前には読書。テレビやネットもあるけれど、本には少し違った魅力がある・・・と思う。
語学にも興味があったから、寝室で日本の雑誌を読んでいた時にある一文を見つけた。
「今が辛い人の居場所になりたい、彼らの居場所を作りたい。行き場のない人の、帰ってくる家になるためにできること」を探している人がいた。
俺は両方の拳を強く握りしめてガッツポーズした。
同じことを考えている人が、他にもいたんだ。
俺は、1人じゃなかったんだ!
雑誌の片隅に書かれている、ほとんどの人はすぐにページを捲ってしまうであろう場所に書いてある電話番号に早速電話してみた。
大丈夫かな、日本語勉強中の身だけど、ちゃんと話せるかな・・・
「お電話ありがとうございます、居場所の相談室です」
聞こえてきたのは落ち着いた男性の声。
俺は緊張してるけど、もう言うしかない。
「あの、俺、雑誌を見て電話しました。俺も同じことを考えていて・・・何て言えばいいのかわかりませんが、困っている人たちの居場所を作る手伝いをしてもいいですか?
夢を叶えたくて、海兵隊に入ってもイマイチで、格好悪いんですけど、笑われてもいいので大きなことをしてみたいんです。映画の中のような、くだらないかもしれませんがあなたが笑わないでくれたら嬉しいです。
立て続けですみません。でも俺・・・俺は」
一気に話してしまった。が、受話器の向こうの人物からの返答は、
「笑いません。そこまでの熱意を持つならきっと叶えられるはずです」
電話を切った後は嬉しすぎて、ずっと気分が良かった。
今日は眠れないかもしれないな。

3日後、手紙が来た。彼からだ。この前、また電話で話しをした。そうしたら本格的に交流をしようという事になった。
意外な切っ掛けがあって舞い上がる気分だ。
でもそういう時こそ慎重に行かないと足元をすくわれるんじゃないか。気を付けよう。
一度深呼吸をしよう。
よし、封筒を開けるぞ。

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