保険金の受け取りさき。
運良く入っていた生命保険。
パートナーシップ制度を利用していれば、
受取人をパートナーにできる、という保険会社がいくつかある。
わたしたちはいろいろ考えて
パートナーシップ制度に参加していない。
セクシャルマイノリティー の仲間たちからしたら
なんでやねん!と思われるだろうが、
2人で話し合ってそう決めた。
パートナーシップ制度は婚姻制度とは大きく違う。
法的威力はない。
ただ自治体でまとめましたよの紙を発行してもらう。
その手続きが死ぬほど嫌すぎてやらない(のは私の意見)
婚姻制度がいい、悪いという観点ではなく
わたしと彼女の関係は
自分たちで決められる中で決めようという
ゆるい約束のなかで成り立っている。
それが16年という信頼関係と
周囲の人間関係のなかでつもってできた道だ。
生命保険の受取人はそれぞれ血縁家族になっている。
血縁家族には、お互いの存在を話しており、
このお金は葬儀などの始末のほか、少しでも余ったら、
パートナーに届くようにお願いしている。
家も買わないし、大きな資産もない。
だからできるゆるい関係なのだ。
お金持ちはそうもいかないだろう。
わたしと彼女だけの関係。
どちらかが先に行けば、歴史的にはなにも残らない関係。
これが次世代のためになるかどうかはわからないが、
2人で話し合って決めた、絆なのだ。
肺がんのあと、いちどだけ、
保険のおばちゃんに受取人の変更手続きについて
きいたことがある。
きいただけで、やるつもりはなかった。
案の定、ほけんのおばちゃんから、いい感じの返事はなかった。
やっぱりなぁ。とおもったことだけ覚えている。