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長女 vs 次女 色鉛筆戦争
「またケンカ?」
リビングから聞こえる怒鳴り声にため息をつく。今日は何が原因だろう。覗いてみると、長女と次女が色鉛筆を奪い合っていた。
「パパ!なっちゃんが赤色取った!」
「ちがう!ねーねが勝手に持っていった!」
どっちも譲らず、顔を真っ赤にして怒っている。
正直、親からすると「そんなことで?」と思ってしまう。でも、彼女たちにとっては大問題なのだ。
「じゃあ、なんでその色がいいの?」と聞くと、長女は「この絵にぴったりなの!」と言い、次女は「赤でおはな描きたいの!」と泣きながら訴える。
なるほど、それぞれにちゃんと理由がある。でも、同じ色鉛筆は一本しかない。
「順番に使おうか?」
「やだ!今すぐ使いたいの!」
こうなると、親の「順番にね」という提案はあまり効果がない。ふたりとも、“今” 必要だからこそ揉めている。
◆ 子どもにとっての「大事なこと」
大人からすれば「後で使えばいい」と思うけれど、子どもにとっては今その瞬間が大切なのだ。作品を完成させるために、長女にとっては「赤」が必要で、次女にとっては「お花の色」が重要だった。
つまり、これは単なる色鉛筆の争いではなく、「自分のやりたいことを実現したい!」という強い気持ちのぶつかり合い。お互いが「自分の思い」を大切にしてほしいと願っているのだ。
◆ どう向き合うか
だからこそ、親が「どっちが悪い」とジャッジするのではなく、まずは「そうか、それぞれに大事な理由があるんだね」と共感してあげることが大切だと思った。
「どっちも大事だね。じゃあ、一緒にいい方法を考えようか」
そう言うと、少し落ち着いた様子の長女が「じゃあ、なっちゃんが1分使ったら、次にわたしが使うのはどう?」と提案。次女も納得して、結果的にはすぐ解決した。
「最初からそれでよかったのに…」と思うが、大人の「解決策」ではなく、子ども自身が納得する方法を見つけることが大事なのだろう。
◆ 兄弟げんかは成長の一歩
正直、こういう小さなケンカは毎日だ。でも、ケンカの中で「相手の気持ちを知る」「折り合いをつける」という経験を積んでいるのかもしれない。
大人の感覚で「くだらない」と片付けるのではなく、彼女たちの世界では何が大事なのか、ちゃんと聞いてあげること。
それが、親にできるサポートなのかなと思った。
今日もまた、明日もきっと、色鉛筆戦争は続く。けれど、そんなやりとりの中で、少しずつ成長しているのかもしれない。