『ザ・メニュー』

映画を観た。
『ザ・メニュー』。
孤島の高級レストランで、狂ったシェフが信念を持って客を殺す話。

あらすじをちゃんと読まずに観たため、なんか人が死にそうだな〜と思っていたら人が死にそうとかの次元じゃなくそういう映画だった。

富裕層と貧困層、享受側と接客側とに分かれていて、富裕層の傲慢さを"悪"と捉えつつストーリーが進んでいく。富裕層は皆何かしらの悪事を働いているから罰せられるらしかったが、悪の程度はバラバラで、結局はシェフがただただ積年の恨みを晴らしたいだけ。

シェフはめちゃくちゃ狂っているが変に共感できるし、とても哀れ。可哀想なシェフの狂い(狂わされ?)に客も鑑賞者も受け入れ始める妙な一体感が「狂いの伝播」という感じでかなり良かった。

主演はアニャ・テイラー=ジョイで、彼女が客側か接客側かが話の起点になる。
個人的にアニャが好きなので、この映画はアニャ目的で観たがやっぱり可愛かった。最高。
ドレス似合ってる。
アニャのあの口で食べ物をどうやって頬張るのかと注目していたが、へぇ〜そうなるんだ〜という感じ。もぐアニャ良い。

シェフはレイフ・ファインズ。めっちゃヴォルデモート感があった。全然瞬きをしないのが怖かった。
狂ってるけど儚いという不思議な感覚を呼び起こさせる演技のうまさ。

アニャの彼氏が終始狂っていてよかった。すっごい食べるね。薬を盛られているのかな?そういうくだりが出てくるのかな?と思ったけど、普通に狂っているだけだった。やばい男。

シェフの人生、シェフとシェフの部下たち、シェフの部下と客など、どの人間もどの人間関係も明確には描かれていなかった。なぜこんなに狂っているのか、なぜ狂わせる側に回ったのか、全ては憶測でしか語れないのもまたこの映画の良さな気がする。

シェフの太ももを刺したあの女性は客に居た料理評論家の女に店を潰されたのかなーとか、小指を落とされた旦那の妻は旦那の不貞に気付いていたけど黙認していたし旦那の他の悪事も黙認していたのかなーとか、案内役のアジア系の女性は殺されたんじゃなくてアニャを島に留めるためにわざと刃が向くように仕向けて死んだのかなーとか、シェフの母親はシェフを虐待していたかもしくはシェフの妻と子供を殺したのかなーとか。
色々考えちゃうし考えるのも楽しいね。

1番可愛かったのは俳優とマネージャーのペア。こいつら悪くなさすぎる。

スマート殺人劇場なので観ていて過度にビクッとしたりはしない。むしろちょっとしんみりするし、興奮する。
矛盾発生映画。

観てよかったな〜。

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