科学的例えば僕は死んでいて存在しない空を見ている 台風がもたらした大雨の最中にみーちゃんたちの朝ごはんをあげに行き怖くなって途中帰って来た 命あっての物種という先輩の言葉を思い出していた その瞬間気持ちは自分の事でいっぱいになっていた
ともすればかろきねたみのきざし来る日かなかなしくものなど縫はむ 岡本かの子 誰にでもある心持ちを素直にズバリと表現したから今でも心を奪われるんだと思います 漫画 by たけのこ
カタカタと足踏みミシン音がして母は子のない寂しさを抱く 子供を持たない人は日暮になると哀しいと祖母がいつも母を虐めていたのを思い出す イラスト by humegg lets support
食欲は湧かないけれど可愛さに思わず近寄り朝の会釈す 啄む鳥もないのは寂しいものだ この一帯にだけこの子たちは繁殖している 生命力の力強さを感じてしまう photo by marc ishiya
崩れたる不確かな愛あくまでも夢は夢だと言わねばならぬ 疑ったらキリがないのが人と人のつながりだ のり代(しろ)の部分を互いに割り引かなければとんでもないことが起こってしまう だから 愛を 愛を 愛を 愛を隙間なく埋めておかなければならない イラスト by humegg lets support
もし本の中から声が聞こえたら夢の国への入り口となる 本に書かれていることは大抵嘘が多い 物語という名の妄想なのだ 妄想は人を投獄して人を縛り付ける 私はそれが分かって そこからページをめくるのをやめた イラスト by humegg lets support
開けば芙蓉つぼめば芙蓉お洒落に咲いて秋の風呼ぶ 喩えようのない淑やかさに私は思わず振り返る 今年もまた
その子また生まれるのかな幾度目の人と生まれてまた泣くのかな 人に転生するとは限らない この夏に見たバッタや蝉かも知れない 人であれば再び辛いこともあるだろう また君と出会えるのかな どの確率で イラスト by humegg lets support
秋の気配で #短歌鬼検索 額田王 『 君待つと 我が恋ひすれば 我が宿の 簾動かし 秋の風吹く 』 SNSもメールもないから自分の霊感を信じるしかない 祖母もよく話していた サブロウ(ガンで亡くなったおじさん)が夕べ訪ねて来て一晩胸苦しめて眠らせてくれなかった 思い残すことがあったんだろう 額田の王は恋焦がれた相手の気配を感じてのことだけれど 祖母のは思いを残したものの霊力の話だ どちらも見えない世界のことである
ぼちぼち 【俳句の滅亡神雷CH】秋の雲芸術すぎる達筆よ 平室鯛松🐟🐗に取り上げていただきました俳句初心者の石屋ですが平室さんのユニークな世界をお楽しみ下さい
生還を期して眠ろう 宇宙船 家族のもとへ帰ってゆこう 冒険の時代はとうに過ぎた もう安心を得るために帰りの途につく時間だ 忘れていた帰還スイッチを取り付けるのを イラスト by humegg lets support
愛してる女が夢に現れて例の女はどうしたと聴く 女を思い出して夢を見るのはいいけれど追いかけられるのは辛い 脳内でストーカーになるのは女が多い いつも女(男)が妄想しているからかも知れない 怖いなら忘れるしかないのだと思う イラスト by humegg lets support
誰ひとりここまで渡った人はないだから話をしてはいけない 亡くなった方に会えるのは夢の中だけ それ以上望んではいけない その臨界線を超えてはならない 自分の肉体を放棄することには何の意味もないからだ 肉体を必要としている人々に近づいてしまうこともいけません イラスト by humegg lets support
ちぎれゆく夏の終わりの雲は夢見送りながら行く恐山 田舎には誰かが死ぬと巫女聞きに行くという風習があって 亡くなった長女を連れて母と出かけたことがある 読経の後で巫女は色々話してくれたけれどその後の長女の自死は教えてくれなかった イラスト by humegg lets support
「河野家は失せてしまへどわれひとり河野姓を名のり歌書き死なむ」 河野裕子 最後の歌集「蝉声(せんせい)」より かっこよすぎて痺れます 浮き足だったような歌集ばかり多く見受けます まずは一読すべきものと信じます 石屋まあく
夕暮れのゴルフコースを彷徨えば大切な事思い出したり いつも同じ夢を見て覚醒するのは辛いものだ 脳の中に女が開けた落とし穴があって (自我ボールがそこにスルスルストンと落ちてしまう) イラスト by humegg lets support