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静かに穏やかに



たとえ近くにいても
気づかないものは気づかない
何にも見ようとしてないから、ずっと見えない

たとえ近くにいなくても
見てる人は見てる 気づいてる
目の前にあるものの
その向こうにあるものを


疲れてるだなんてはっきり分かってなくて
ただひたすらやってた
下手くそだけど、余計なことに見向きせず
たどたどしいけど、道を外れず
クタクタになって居眠りしてた


「お疲れ様」

横に座ってた人が言った
名前も知らない、顔もちゃんと覚えてない

あの人、本当にそこにいたのかな

何となく穏やかそうな表情
ちゃんと顔、見てないのに


本当に見てる人って
空気みたいに静か
残り香すらない


ただ、随分と前の記憶なのに
あの場面、誇り一つかぶってない
ふと蘇ってスッと消えてく

あの時も今も
あの人は決して立ち入ることなく
ただそこにいて
見えてるものの向こう側だけを
見ていたのかなと思う

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