何ものにも勝る毒
何ものにも勝る毒
他のものを寄せ付けない
壮大な物語の伏線回収
気づいたその瞬間に
ぶぁっと広がってく無限の空間
その底知れない永遠さ
そのあまりにもわずかな一瞬さ
こんな涙を流したことがあったろうか
こんな感覚を覚えたことあったろうか
何て言い表したらいいんだろう
あまりにも偉大な物語
遠く深くに広がる物語
難解すぎるその物語
冷たく重い鋼鉄の表紙に
毒含有のシール付き
何度も何度も読み返すことになる
その物語の中毒者
物語を閉じようとするその手が
その手からその物語を消していく
深遠を見るその目から
その無限の世界を消していく
深遠に立つことのない正常者へと
また戻っていくことになる
何ものにも勝る毒
その毒の真価とは
中毒者自身が 自分の中に
その毒を持つことにある
その毒に侵されることのない
結局無傷の正常者に
二度と戻ってなんか いかないために
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