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母になる前
小さい頃から赤ちゃんが大好きだった。
ふわふわで、手を差し伸べるとぎゅっとしてくれるあの愛しさ溢れる存在。
本当に大切なものなんだと、こどもながらに思っていた。
大好きだからこそ、自分が大人になってもお母さんになったら『子育てを楽しめる、いいお母さんになるんだ』っという変な自信があった。
母になった日
実際その時が来た時…
大海原にボチャーン!っと投げ込まれたようなそんな感覚になった。不安しかない。
もしかしたらこれがマタニティブルーというやつかもしれない。
二日酔いのような何とも言えない気持ち悪さと働きに出ている社会人としてのプライドと…とりあえず葛藤しながらも、『いつ終わるの?』って毎日携帯で“つわり終わり 何ヶ月”とか調べていた。
「しんどいね」「寝てていいよ」と優しくされればされるほどまた何か複雑な想いが溢れて…
『じゃあ止めて…もう解放してくれ…』っと思った。
そう、そんなに人の命を育てるのは甘くなかった。
でも、何でそういう気持ちになったのか?
今だったら少し緩和する手立てを考えていけるのに。
その時は、ただただ時が過ぎるのを待っていた。
出産を目前にも『いつ来るのか?陣痛はどんな痛みなのか?』ってずっと不安だった。
私のはじめてのお産は2日間に渡った。
娘と私の挑戦、辛かった、でも必死だった。
何としても乗り越えなきゃいけなかったから笑
今だに、授乳室の仲間たち(心の友)にはこの勇姿を讃えてもらってる!
そんな武士のような私の姿。
我ながらよく頑張ったと褒めてやりたい。
でも、不思議といざ産まれるって時には面白い経験もあった。
“いきむ”と言われて、『あれ?いきむってなに?』ってここではじめて自分の身体に集中。
それでも冷静に、『いや、知らんがな笑』ってツッコミを入れようと思った時、自然と身体がいきんでた!
その神秘的な力と“終わりの見えた安心感”で、娘と対面した時にはアドレナリンが放出されまくっていてすこぶる元気になった!
『よーしここからが本番だ!子育てやるぞー』とやる気満々だったのに!
のに!
聞いてない!!
『…授乳めちゃくちゃ大変…』
そして産後の身体のボロボロさ。
身体が砂袋のように重い。
『おかしいぞ…』
そして、おっぱいが出てるのかも、わが子に足りているのかも全く未知だった。
教えてくれるのは体重計と、助産師さん(愛のスパルタ)だけ。
乳性炎になって発熱して、ガタガタ身体が震えて、『おかしい…なんだこれ?』と日が経つ度に壁にぶつかってばかり!
自信を持ってできていたのはオムツ替えだけ笑
そんな自分にガッカリしてた。
育児スタート
少しずつ、少しずつ自信をつけて退院した後。
みんな家族が優しくしてくれるのに、何だか浮かぬ気分は自分だけ。
何かあった時に答えを導いてくれる人も、勇気づけてくれる同志もそばに居ない。
とっても気持ちが不安定だった。
そんな私の不安が娘を不安にさせて、“夜泣き”が生後1ヶ月で始まった。
何か軍隊にでも入団したかのような、壮絶な日々だった。
すごい愛しいのに、夜が怖い。
それが次第に、夕方が怖くなり…。
『子育て最高!赤ちゃんとの生活は絶対楽しい』っと思っていた、幼き頃からの私の自信は、一気に崩れ落ちた。
でも今考えたら…当たり前。
だって私は何も学んでいたわけでも、学ぼうとしていたわけでもなかったのだから…。
ただただ『踏ん張って』『我慢して』『大丈夫、絶対いいお母さんになれる』ってそう自分自身に言い聞かせて苦しんでた。
変わるとき!
育児には正解はない。
もちろん、誰かがくれる言葉に救われることもある。
だけど、根本的な解決にはつながらない。
気持ちはすごく満たされるけど、そのストックが無くなった時の反動がすごい。
それはこどもが大きくなった今でも変わらない。
でもそんな気持ちになるのは自分だけではないと、保育の現場に入って気づいた。
『同じ思いしている人沢山いるんだ』と急に仲間が沢山いるんだ!っとわたしの方が勇気付けられる事が本当に多かった。
でも、次第に根本的な解決できない課題にモヤモヤする気持ちが、仕事でも家庭でも膨らんで、今にも大爆発を起こそうとした時。
山野井えみさんに出逢った。
『それ知りたかった!』『なるほど!』の連続。衝撃だった笑
目の前の霧がスーーっと引いていくのがわかった。
自分自身の“余裕のない母”のレッテルは、ここで剥がされた。
発達を知って、私は少しずつ変わる事ができた。
発達を知れて、冷静にこの子と向き合うことができるようになった。
本当の意味での寄り添いを知る事ができた。
自分の気持ちを整理して、素直になる事もできるようになった。
こどもとも、今までよりもずっとずっと深い所で絆ができた。
何よりもこどもがすごく変わった。
今は一緒に成長出来ている実感がある。
そんなこどもの姿にすごく嬉しい気持ちになる。幸せだってそう心底思える。
でも、私の以前の心の葛藤はきっとこれは私の元をこどもが巣立っていくまで続く事。
成長と共に何度も壁にぶつかると思う。
でももう1人じゃない。
こどもが最大の仲間で、師なのだ。
そうやって互いの成長を称え合えるそんな存在でありたいし、こどもたちにもそんな存在になってほしい。
発達を知ってるって本当すごい!
だからこそ伝えたい事
実際わたしだってこんなに拗らせてる子育て。
今の時代、周囲に親族がいなくて本当核家族が増えてる中、同じように苦しんでいる方はいると思う。
『お母さんだって、お父さんだって、怒りたいわけじゃない』って思ってる人たくさんいると思う。
毎日反省して、寝ている子どもの頭を撫でて謝ってるかもしれない。
毎日毎日、全身に力入れて一生懸命子育てしてるかもしれない。
もう十分頑張ってる事知ってます。
私だって頑張ってる!
だから少し。もうすこーし。
肩の力抜いて、ふぅーっと深呼吸出来る時間。
一緒に作ってみませんか。
難しい事もあるかもしれない。
一筋縄では変わらない事もあるかもしれない。
でもそしたらまた一緒にどうしたら変わっていくのか考えましょう。
私と一緒に。
絶え間なく続いていく、こどもの健やかなる育ちのために。