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Ⅰ.要点

国際生活機能分類ICF

■International Classification of Functioning、Disability and Healthの略
■2001年にWHOより発表された。
■表のような項目を用いて人の全体像をとらえる。(そのままの文章で出されることもあるのであえて要約せずに書いてます)
健康状態の構成要素として生活機能背景因子がある。
生活機能心身機能・身体構造、活動、参加からなる。
背景因子環境因子個人因子からなる。

国際障害分類 ICIDH

■International Classification of Impairments Disability and Handicapsの略
■ICFができる前に用いられていた
■1980年にWHOから発表された。
■「疾患Disease」により「機能障害Impairment(身体の構造、生理的機能、心理的機能の障害)」が生じ、「能力障害Disability(ADLなどの障害)」が起き、「社会的不利Handicap(社会生活上の不利益)」につながるという考えであった。
病気→機能障害→能力障害・社会的不利と障害をマイナスで一方向的にとらえるのがICIDHの考えかたであった。

ICF➡ICIDHの比較


疾病→健康状態機能障害→心身機能・身体構造能力障害→活動社会的不利→参加というように肯定的側面も含んだ名称へ変化している。
▫ICFでは、背景因子(環境因子・個人因子)も考慮することになった。
▫ICFでは、矢印が双方向になり、相互に関連性があることを考慮することになった。

国際疾病分類ICD

■International Classification of Diseases and related health problemsの略
■コードによる疾病の分類
■例えば、上図のように百日咳はA37でコード分類され、さらに詳細にコード分類されている。
■世界保健機関WHOが作成し、1893年から用いられ10年毎に改定が行われている。

Ⅱ.過去問

★レベル1

▢48回専門基礎午前問題82
国際生活機能分類(ICF)で「活動」に含まれる項目はどれか。2つ選べ。
1.入浴       
2.移乗    
3.嚥下
4.呼吸機能 
5.関節可動域

答え:1と2

▢45回専門基礎午前問題82
国際生活機能分類(ICF)で「活動」に含まれる項目はどれか。2つ選べ。
1.更衣       2.嚥下    3.入浴 
4.呼吸機能          5.関節可動域

答え:1と3

▢50回専門基礎午前問題82
国際生活機能分類(ICF)で活動に含まれるのはどれか。
1.嚥下   
2.歩行      
3.言語表出 
4.呼吸機能  
5.関節の可動性

答え:2

▢43回専門基礎問題66
国際生活機能分類(ICF)で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.ICDの後継分類として生まれた。
2.活動とは課題や行為の個人による遂行のことである。
3.個人因子は環境因子の一つである。
4.活動と参加の領域は単一のリストとして示されている。
5.能力とはある課題や行為を遂行する個人の実行状況を表す。

1.ICDの後継分類として生まれた。→×国際障害分類ICIDHの後継分類である。2.活動とは課題や行為の個人による遂行のことである。→〇3.個人因子は環境因子の一つである。→×背景因子の一つ。別々の項目である。4.活動と参加の領域は単一のリストとして示されている。→〇5.能力はある課題や行為を遂行する個人の実行状況を表す。→×「実行状況」とは別の概念である.

▢51回専門基礎午後問題82
ICFについて正しいのはどれか。
1.障害の分類である。   
2.活動は個人因子の1つである。
3.参加は環境因子の1つである。 
4.機能障害という用語は使用されない。
5.参加とは生活場面への関わりのことである。

答え:5

▢45回専門基礎午後問題82
国際生活機能分類(ICF)で正しいのはどれか。
1.対象範囲を障害者としている。
2.参加制約という用語は使用しない。
3.環境因子は生活機能に大きく影響する。
4.活動とは生活へのかかわりあいを指す。
5.病因論的な枠組みから健康状態を分類している。

1.対象範囲を障害者としている。→×対象範囲をすべての人としている。2.参加制約という用語は使用しない。→×使う。3.環境因子は生活機能に大きく影響する。→〇4.活動とは生活へのかかわりあいを指す。→×参加5.病因論的な枠組みから健康状態を分類している。→×これはICDの説明

▢56回PT午後問題21
ICFで正しいのはどれか。2つ選べ。
1.各構成要素は相互に関連している。
2.障害を有した人のみが対象である。
3. ICFコアセットでは全コードを評価する。
4.ライフスタイルは環境因子の1つである。
5.活動と参加の第一評価点は実行状況を表す。

1.各構成要素は相互に関連している。→〇2.障害を有した人のみが対象である。→×健常者も対象である。3. ICFコアセットでは全コードを評価する。→×疾患に応じた関連コードを評価する。4.ライフスタイルは環境因子の1つである。→×ライフスタイルは個人因子の1つである。5.活動と参加の第一評価点は実行状況を表す。→〇
 

★★レベル2

▢44回PT問題94
国際生活機能分類(ICF)における環境因子はどれか。
1.対人関係
2.支援と関係
3.運動・移動
4.学習と知識の応用
5.コミュニケーション

答え:2(他はすべて活動と参加)

▢第53回午前問題48
脳卒中後の在宅高齢者について、ICFにおける活動の評価に最も関連する情報はどれか。
1.住環境
2.家族関係
3.認知機能
4.外出時の交通手段
5.活用可能なインフォーマルサービスの有無

答え:4(1.2.5は環境因子の評価、3は心身機能・身体構造の評価)

▢58回PT午後問題87
ICFにおける「参加」の評価に最も関連する情報はどれか。
1.教育歴
2.住環境
3.職業適性
4.認知機能
5.セルフケア能力

答え:3(1は個人因子、2.は環境因子、4は心身機能・身体構造、5は活動の評価)

▢44回専門基礎問題63
活動制限に対する治療場面を示すのはどれか。2つ選べ。

答え:2.5(1はバランス機能、3は筋機能、4は関節機能へのアプローチ)

▢43回PT問題54
国際生活機能分類(ICF)の活動制限に対するアプローチとして正しいのはどれか。2つ選べ。
1.ミルウォーキー装具装着
2.障害筋の筋力増強
3.利き手交換
4.関節可動域拡大
5.車椅子の練習

答え:3と51は環境因子、2と4は機能面へのアプローチ

▢59回午前26
ICFの環境因子はどれか。
1.職業歴
2.屋外の移動
3.本人の性別
4.信仰する宗教
5.利用可能な保健サービス 

答え:5

★★★レベル3

▢44回PT問題8
80歳の女性。3か月前に居間で尻もちをついた。1か月前に第5腰椎圧迫骨折と診断され、腰痛が持続している。現在は促せば1km以上の歩行が可能だが、日ごろは転びそうな感じがするため自宅内での生活を送っている。ICF(国際生活機能分類)に基づく記載の組合せで誤っているのはどれか。
1.個人因子―外向性の中等度の障害
2.心身機能―転倒感の中等度の機能障害
3.身体構造―腰部脊柱の中等度の構造障害
4.活動―自宅内の移動(能力)が可能(困難なし)
5.活動―長距離歩行(能力)が可能(困難なし)

答え:1 ICFで個人因子の詳しい分類は存在しない。

▢59回PT午前問題29
ICFで正しいのはどれか。
1.障害のある人を対象とした分類である。
2.ICIDHとは相互補完的な分類である。
3.健康状態は構成要素のひとつである。
4.社会モデルに依拠している。
5.倫理的ガイドラインがある。 

こんなん知らなくてもいいだろ・・・って感じの問題です
1.障害のある人を対象とした分類である。→×障害がない人も対象
2.ICIDHとは相互補完的な分類である。→×補うような形ではない。
3.健康状態は構成要素のひとつである。→×
4.社会モデルに依拠している。→×社会モデルだけをよりどころにはしていない。
5.倫理的ガイドラインがある。 →〇
健康状態の構成要素として生活機能(心身機能・身体構造、活動・参加)と背景因子(環境因子・個人因子)がある。

Ⅲ.参考になる本やサイト

ICFイラストライブラリー


ICFの詳細な分類まで図解されてて勉強に役立ちます。
コピーライト:国際医療福祉大学高橋泰先生

マンガと図説で見てわかるICF(国際生活機能分類)の使いかた: 回復期リハスタッフの“わからない”が“わかる”に変わる!(メディカ出版)



ICF国際生活機能分類: 国際障害分類改定版

ICFコアセット臨床実践のためのマニュアルCD-ROM付


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