『得意"不"忘言』に思うこと-アンデッドアンラック204話感想
アンデッドアンラック204話(週刊少年ジャンプ2024年21号掲載)、ネタバレ感想及び自分なりの解釈。204話以前のネタバレも含む。
主にニコイチについて。
※すでに最新話は更新されていますが、良すぎたのでたまらず吐き出し。
あまりに美し過ぎた。
ニコとイチコはすでに想いが通じ合っていたんだね。
そして全部終わるまでは言葉にしないことを約束していたと……なんだよそれ……頼むからそのやり取りしたときの話もっと詳しく教えて。
204話のサブタイは『得意不忘言』、私は恥ずかしながら存知なかったけど、博識者の方々によるとこれは得意忘言という四字熟語をもじった造語らしい。
得意忘言というのは「意」を「得」て「言」を「忘」るという荘子の教えだそう。
ようは「気持ちが伝わりさえすれば言葉はいらない(忘れてもいい)」という意味みたい。
そして204話サブタイは忘の前に"不"が付いて『得意不忘言』。
ニコとイチコはすでにお互いの気持ちをわかっていて、言葉がなくたって"意を得て"いたんですよ。
それでもイチコは「ニコならできるよ」と言い、ニコにその根拠を問われて言葉にして伝えます。
"根拠ならあるよ だって だってさ"
"科学しか興味なかった私が 初めて好きになったひとなんだから"
ニコと一緒に私も泣いた…。
科学にしか興味がなかったイチコの、非科学的な、けれども確信をもった根拠の言葉。
前ループでニコはイチコの死際に不忘が発現し、発現前の2人の思い出の記憶は積み重なる記憶に押し潰され、残ったのは脳に焼き付けられた最愛の存在の死に顔だけ…という悲劇が起こりました。それに対し今回はイチコの死際という状況は同じでも、このイチコの言葉、そして笑顔と共に不忘が発現します。
この対比がとても美しい。イチコの死とニコの不忘発現というシチュエーションは同じなのに、向かう先は全く違うものなんですね。
そしてこの瞬間を繋いだのは、出雲風子とアンディをはじめとしたユニオンのみんな。
"今までのループで1番幸せにしてみせます"
出雲風子のニコへの言葉が脳裏によぎる。
全てが繋がっていて………見たかったものを想像以上の形で見せてくれたよ。
そしてアポカリプスにより今までのループの記憶がニコに流れ込み、最強の全知、ニコ=フォーゲイルが爆誕しました。
途方もない質量の情報攻撃に耐えられたのもイチコの言葉があったからこそ。
"忘れろったって忘れねぇぞ その言葉も思い出も オレは魂に刻んじまったからな"
格好良過ぎるよニコ……!
『得意不忘言』はニコの"不忘"にかかっているかつ、通じ合っていてもなお相手を想う言葉には計り知れない力が宿り、その言葉は魂に刻み込んで忘れない、忘れたくない大事なものなんだということが込められていて、本当に204話のサブタイとしてこれ以上相応しいものはないと思う。戸塚先生すごいよ。
そして、この"言葉"をテーマにしたランゲージ戦において『死理取り』という語彙を使った戦闘の内容だけでなく、イチコの言葉で勝利への道を切り拓くという言葉の力で魅せる構成と展開、美し過ぎやしないかと。
最後のランゲージの「惚れ直したわニコ」に対するニコの「悪ぃな先約がいる」という返しも大大大好き。
もちろん先約というのはイチコのこと、204話はこのニコらしい皮肉っぽい口調で放ったイチコへの愛の言葉で締め括られるんですね。
そして……!「先約がいる」の続きがもう今週のジャンプに掲載されました。読みました。
(週刊って早いな)
結論から言うと、最高だった204話を上回る最高を突きつけられるとは思わなかった。
205話についてもまた語りたいな。
(ランゲージ戦大活躍のファン=クーロンに触れられてなくてごめん…ファンについてはまた別の機会に)
余談。
風子ちゃんとアンディはまだお互いにちゃんと相手に気持ちを伝えてないけど、片手ハイタッチで彗星を呼ぶ程になっていて(しかもアンディは本体じゃなく分身…)、もうこれ2人の想いを表現できる語彙はこの世にないんじゃないか?と思っていました。
が、今回戸塚慶文大先生に「気持ちが伝われば言葉は忘れていい?なわけあるかー!好きな人からの愛の言葉は、魂に刻んで忘れたくない程大切に決まってるだろ!」をお出しされたと思っているので…それ程に言葉というものは重要であるということを説かれたのだとも思っているので…期待してもいいのかなこれは。
「言わなくてもわかるだろ」にはならないってことでいいよね!?
アンディは力くんと春歌ちゃんに「好きな奴にははよ告れ」と先輩から渾身のアドバイスをしていましたしね…!泣
2020年8月1日をいつまでも待ってる……!