七転び八起き
こけた。盛大にこけた。前回り受け身を取りながら格好良くこけた、はずである。
僕は「歩く男」と異名をとっても良いほどよく歩く。スマホのアプリで一週間の平均歩数を確認してみると1日あたり16000歩ほど歩いていた。
因みに仕事中は殆ど歩くことのない環境にいる。そのうえで16000歩という数字はなかなかなものだと自負している。
先日いつものように意気揚々とウォーキングに出かけた。仕事も夕食も終え、腹ごなしのタイミングでのウォーキングである。
大通りを選んで歩くのだが、それでも足元は暗い。
変わりかけている信号に間に合うように小走りになる。
アスファルトがめくれている部分がある。
足元は依然として暗い。
めくれ部分にすぽっ、からのぐきっ、からの前回り受け身びたんっ。
5メートルほど前を歩いていた外国人女性に、ダイジョブデスカァと声をかけられるも、ダイジョオブデェスと渾身の嘘をつく。
激痛によって乱れる呼吸、額に滲む脂汗、左耳から抜け落ちたワイヤレスイヤホン。そして渡れずに変わってしまった信号機。
歩道の縁石に腰を下ろし、いったん痛みからの回復を待つ。
信号が2回ほど変わったあたりでようやく立ち上がれるほどに回復した。
我が家までは1㎞余りというところか。
ひょっこひょっこと足を引きずりながらも25分ほどかけて帰宅。
頭の中では『負けないで』と『サライ』が交互にリピート再生されていた、ということにしておく方がドラマチックである。
これが、つい4日前に僕の身に起こった出来事である。まだ足首に痛みが残っているので今週は念のためウォーキングはお休みにしようと思う。
僕のウォーキングを日頃から応援してくれているファンのみんなには申し訳なく思うがもう少しの我慢だ。
読者の皆様方に置かれましては、アスファルトのめくれにはまった時のために日頃から前回り受け身の練習をしておくことを強くお勧めします。