serenadefor_tom

27歳会社員 趣味は酒、音楽、キャンプ、映画 I’m a creep, social misfits and an outcast YOLO.

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最近の記事

サンタの靴下

この時期になると、思い出すものがある。 皆さんは、サンタの靴下に入ったプレゼントを貰ったことはあるだろうか? あの大きくて、赤くて、安そうな化学繊維の別珍のような生地で作られたアレである。 私は、かつて一度だけ、それを手にしたことを覚えている。 アレは3歳くらいの時だろうか? もう四半世紀も前のことになるので、記憶が定かではないが、亡くなった父方の祖父からそれを受け取った。 祖父は、父の家系にしてはとても良くできた人で、酒も飲まなければ、タバコも吸わず、賭け事だって一切しな

    • Knock On Woodを意訳してみる

      先週の土曜日に”Summer of Love- the revolution not televised”を映画館で見てから気分はSoul一色なので今日はEddie Floyd作の掲題の曲を意訳してみたい。今日もいつも通りの意訳なので、大意が合ってればよしとするスタイルで。 因みに、Knock on woodとはアメリカ、古くはアイルランドやドイツ系移民のおまじないで、木をコンコンとKnockして、自身の願いが上手く行くようにと言う願掛け的意味があるようだ。 Floydはそこ

      • Purple Rainを意訳してみる

        この曲の歌詞には映画のストーリーが大いに関係してるらしいが、僕はそもそもそんなものを見てなどいないので、この歌詞はその筋を無視しての意訳としてみる。 どうしてPurple Rainなのかといえばプリンス本人のイメージカラーが紫ということに始まり、彼曰く、この世の終わりには、空の色と血の色が混じって紫色の雨が降るのだとか。 自分にはそんなに素晴らしい感性はないので、Purple Rainの解釈など無視して訳していく事にしたい。 とは言え、ここを飛ばして前段を終えることは出来ない

        • ファッションとTシャツと私

          ファッションについて、何か書くのであればなににしようか?そう思っていた時に川久保玲さんのこの言葉を思い出した。 「ファッションで成功できる人間は3種類、ブルジョワかゲイ、もしくはユダヤ人のいずれかでなければいけない。」 今のご時世だったら、完全にアウトな発言の気もしてるが、長年ファッションのそれも、世界の最前線で活躍してきた彼女が言うのだから間違いない。ただ、僕はこの発言には4番目と5番目の回答が隠されている気がしている。それは、圧倒的なセンスを持っている人と飽くなき好奇心と

          鳩の撃退法/佐藤正午

          伊坂幸太郎がLSDやりながら書いたような文章。 伊坂幸太郎の文章だけでも好き嫌いがはっきり別れるのに、そいつがラリって書いたんだから、尚たちが悪い。 これは、中島らもの受け売りだが、ドラッグにも貴賎があり、貴いドラッグは摂取から酩酊までの間に人間としての尊厳が残され、徐々に酩酊に至る物を良しとするらしい。つまりはドラッグにも風情があり、その風情から外れるものは賤しいドラッグなのだそう。 そういう意味では、この小説はドラッグの最高峰たる物で、読み始めてから、無意味な伏線回収

          鳩の撃退法/佐藤正午

          成仏する何か

          他の言い方で言えば、浮かばれる、召される、死ぬ。仏教的に言えば、涅槃、悟る、ニルバーナetc... あまり日常的には、使わない言葉であるのは間違いないし、中々そういう場面が訪れてほしくもない言葉の一つである。 冒頭に載せた画報を見て三宅一生さんの言葉を思い出し、今回この記事を書くに至ったわけだが、彼の名言の中にこんなにも成仏という表現にしっくりくるものはないと思うので紹介したい。 「パンツには、成仏する丈がある。」 これは、中々に言い得て妙で、ここしかあり得ないという丈が存

          成仏する何か

          Moanin’

          最近、知って自分の節穴ぶりを改めて痛感したのだが、僕は今までこの曲の綴りを”Mornin’”だとばかり思っていた。 今になって思えば、同じ朝という単語がつく名曲、”Softly as the morning sun”と比べるとどこか重苦しい曲と思っていた。なんなら、朝がやってくる気だるさと、1日の始まりに対する漠然とした期待を表現した曲くらいに考えて、友達からジャズのおすすめを聞かれた際には鼻高々と、まずは”mornin’”聴いとけよ、と答えていた。 一体、それではMoa

          春の雨と吐瀉物

          どうやら飲みすぎてしまったらしい。 嗚呼、頭が重い。地球の重力に引っ張られてどうにも持ち上がらない。 布団からは、鼻にツンっとつくような酸っぱい匂い。どうやら、やってしまったようだ。 なんでも、私は昨晩、一緒に暮らしている女に「無縁葬でも、良いから殺してくれ」と酔っ払って怒鳴りつけ、一通り騒いだあとに静かになったと思って、女が部屋の扉を開けたときには、今朝の有様だったようである。 布団をめくって、雑巾と箒で土曜日の朝からせっせと仕事。この年にもなって自分の吐瀉物を掃除しよ

          春の雨と吐瀉物

          ワンナイトモーニング

          めちゃくちゃ良い。 エモいなんて簡単に使うまいと思っていたが、これをエモいと言わずして、何をエモいと言えるのか。 これはエモいの教科書、いやもはや経典だ。 全員が読んで然るべき、そして後世に残されるべき作品だ。 映像化?馬鹿いっちゃいけねえよ、これは動いて喋らないから良いのだよ。 全員が持っている、恥ずかしい思い出も、青春も、キラキラしたあの日々も、全部が詰まったワンナイトとモーニングを是非、体験してください。 何卒、よしなに。

          ワンナイトモーニング

          山に登れば

          肩で息をしている。両方のふくらはぎと太ももが悲鳴をあげる。寒い、辛い、帰りたい。それでも足は上へ上へと向かうことをやめようとしない。 「どうして、こんなところへ来てしまったのだろうか?」 私は、丹沢山地最高峰の山、蛭ヶ岳にいた。 私が何かをしようと思う時は、いつも突然だ。 旅行に行くのも、何かを始めることも、そして何かを止めることも。 その日もいつもと同じように、布団の中でスマートフォンをいじっていた。 仕事がうまくいかず、付き合ってる彼女との関係も、もう5年目を迎えて倦

          山に登れば

          愛とは何か

          嗚呼、寒い。 この消化不良のクリスマスの雰囲気に飲まれて赤玉のお湯割りなんかかっくらっている。 少しばかり洒落っ気なんて出してシナモンスティックなんて入れてしまってる。 柄にもなく浮かれてるなぁなんて思ったて年末なんだからまあ良いだろう。 こうしてホットワインなんて飲んでると僕は6年前の六本木の光景が思い出す。 キラキラしていて、それでも歪んでいたあのクリスマス。ホットワインを飲んで、2人で歩いたけやき坂。素敵だったな、今でも思い出すクリスマスはこれだけだ。 僕は当時、出

          愛とは何か

          『灰色の北壁』真保裕一

          Great things are happened when the men and the mountains met- William Blake この名言が話の内容にぴったりなを3作品を収録した真保裕一の短編集。 収録作品は、『黒部の羆』、タイトルにもなっている『灰色の北壁』、『雪の慰霊碑』の3作品を収録。 以下はそれぞれの話の感想まとめ。 『黒部の羆』 山小屋に勤める男が、遭難した学生を助ける話。 僕がアホだからかもしれないが、時系列がごちゃごちゃしていて読みに

          『灰色の北壁』真保裕一

          『斜陽』太宰治

          20歳の頃以来に読んだ。 悲しい気持ちの時に読む太宰は良い。 彼の書く文章は優しい。 キザで、かっこつけで、だけどどこか恥ずかしそうにはにかんでてるのが目に浮かんで。 この男は人の弱さを、そして人間を心底愛していたんだと思う。人生が充実して、楽しくて仕方がなくてそんな時に太宰治が面白いと言うやつがいたら、そいつはペテン師だ。 そいつに太宰のなんたるかなんて一生分からない。わからないで結構。お前とは、友達になどなるものか。 あぁ、いけない。 また酒になんか酔って好き勝手に書い

          『斜陽』太宰治

          『神々の山嶺』夢枕獏

          「なぜ、山に登るのか。」あまりにも有名過ぎる答えを持つこの質問に、自分ならどう答えるだろうか。そう自分に問いながら、読み切った。 この小説は登山に似ている。ぼくの登ってきた山なんてたかが知れているが、楽々登れるところもあれば、自分の命の危機を感じるようなヒヤヒヤするところもあり、頂上付近で自問自答しながら歩くような場面もある。 すごく穿った言い方をすれば、人生は山だとこの小説は語っているように思う。 何故。どうして。何のために。 これをしてどうなる。何が得られる。何物にな

          『神々の山嶺』夢枕獏

          服福人々

          今、自分の中で、一番に誰かに勧めたい作品。 『潔癖男子!青山くん』の作者でもある、坂本拓さんの作品。正直にいえば、この作者も前作についても全く知らないが、この『服福人々』は最高、そう言わしていただきたい。 ひょんなことから出会った主人公の佐久間(サク)と𢌞谷が洋服を通して、お互いの人生を知り、今まで消極的な生活を送っていた佐久間が𢌞谷さんや洋服との出会いを通して、勇気を出して人生や周りの人との関係に前向きになっていく様子を描いている。もちろん洋服の知識もよく調べ込まれていて

          Tom Waitsにセレナーデを

          唐突だが、Tom Waitsの”San Diego Serenade”と言う曲をご存知だろうか?彼のセカンドアルバム、”The Hearts of Saturday Night”に収録されている曲だ。 歌詞は全て”Never...,till I...”「...するまで、決して...することはなかった。」という過去を振り返り回想していく歌詞になっている。これはあくまで僕の勝手なイメージだが、恋人や大切な人を失った男(=Tom)が自分の過ちや後悔を思い出しながら、1人酒を片手に

          Tom Waitsにセレナーデを