見出し画像

【参考書はいりません】応用情報技術者試験

基本情報技術者試験に受かったので、ミーハー的に応用情報技術者試験を目指しました。その軌跡を以下の記します。

2024年7月追記:合格していました!試験結果を追記しました。

目次の前に、他記事の紹介を。


1.私の事前知識(=このNoteが役立つ人)

  • 学部は文系、仕事は非IT職。

  • テクノロジー分野
    資格:基本情報技術者、情報セキュリティマネジメントを取得済み。
    言語:Pythonを独学でいじる程度。
    実務:VBAでRPA作ってラクする程度

  • ストラテジー・マネジメント分野
    資格:米国公認会計士、日商簿記1級
    実務:かなりタッチしている。

文系受験者の中では事前知識はある方かなと。

2.スケジュールと結果

2024年2月7日  試験申込
2024年3月2-3日 試験の分析
2024年3月3日  過去問道場(午前)の演習開始
2024年4月6日  午前対策を並行しつつ過去問道場(午後)の演習開始
2024年4月21日   試験本番
2024年7月4日  合格発表
(総勉強時間:約59時間)

3.なぜ応用情報?

会社から手当がもらえる(基本情報より高額)。以上。

4.試験の分析と勉強方法の設計

2日間かけて、過去問に目を通したり、インターネッツで情報収集したりして、以下のとおり分析しました。

試験分析

  • 試験は午前と午後があり、それぞれ合格基準は60%であること。
    (=そこまで高くない)

  • 午前

    • 80問四択。

    • 基本情報よろしく60%程度が過去問から出題。直近2~6年からの焼き増しが多い(前年からの焼き増しはない)。

    • 会計・監査はノー勉で全問正解が狙える。

    • 上記以外の分野でも自身の現有知識でも解ける問題が散見される。

  • 午後

    • 大問5問、各問に10~30文字程度の論述あり。

    • 出題形式にクセがあり慣れる必要があるが、問われているレベルは午前と大差がない。

    • 情報セキュリティ分野は必須だが、その他4科目は10科目の中から当日選択出来る。

    • 選択科目には、「経営戦略」「プロジェクトマネジメント」「サービスマネジメント」「システム監査」という文系ハッピーセットがあり、ITの素養が薄くても合格は出来る。「組み込み型システム」は年によっては前提知識なし初見で完答可。

    • 試験時間は短く(1問30分)、問題を見て選ぶヒマはない。

    • どの科目にも決まった型がある。(コナンのように、ありえない手口で人が死に、コナンが証拠をつかみ、おっちゃんが眠らせられてと型があるように)。

    • 時事問題がトピックになりやすいこと。

以上から、過去問中心の勉強方法を行うことにしました。

勉強方法

  • 午前

    • 対策として、2~6年前の過去問の演習のみを行う。

    • 理論が分からない問題のうち午後試験に役立たない問題は、解答自体を暗記する。

    • 過去問以外は、会計・監査を中心とした現有知識で対応。

    • 教材は買わない。

    • 2周回せば合格点に到達すると思われる。安全を見て3周が必要。基本情報の経験から、1.5か月かかる。

  • 午後

    • 対策として、出題形式に慣れるため過去問を演習。(新しい知識を覚えるのではない)

    • 知識(特に単語)は午前対策でカバー。

    • 教材は買わない。

    • 選択科目は文系ハッピーセットで決め打ち。

    • 何周回しても効果は変わらなさそうだから過去5年分を1周する。

5.午前試験対策(進め方)

(4もあわせて参照のこと)

  • 使用教材:過去問道場
    応用情報技術者過去問道場|応用情報技術者試験.com (ap-siken.com)
    →書籍は使用しない。

  • 通勤電車(計算問題は飛ばす)の中と自宅(計算問題も含む)で勉強。

  • 3周したが、各周の終わりにまとめノートを作成し、寝る前に見た。

  • まずは一周(71.9%)
    いきなり過去問演習から入る。基本情報がITパスポートの深堀りだったことよろしく、応用情報もまた基本情報の深堀りであった。しかし、勉強している範囲は変わらないので、基本情報をパスしていれば初見で60%程度は取れると思う。応用情報からだと40%程度な印象。誤った問題は、きちんと概念を理解することに努める。

  • 二周目(86.9%)
    二週目でも、誤った問題はきちんと概念を理解することに努める。

  • 三週目(91.6%)
    試験前日にちょうど三週目が終わるようにスケジューリング。ここで誤った問題は、解答を丸暗記することに変更。

勉強記録(午前)

6.午後試験対策(というか各科目の概略)

(4もあわせて参照のこと)

  • 使用教材:過去問道場
    応用情報技術者過去問道場【午後版】|応用情報技術者試験.com (ap-siken.com)

  • ↓にどんな問題が多いか書くが、正直対策しようがない。午後にしか必要のない学習内容はないので。出来るのは、出題形式に慣れること。どの問題も本文は長いが、不要な情報はない。読み飛ばしは禁物。

  • 絶対どこかに根拠がある。対応策を答える問題なら、現状分析に答えがある等。そういった根拠の見つけ方を身に付けたらもうやることはないと思う。

  • 【情報セキュリティ】IPAが毎年発行する「情報セキュリティ10大脅威」にある脅威(時事ネタ)が出る可能性大。今回もテレワークを題材にした時事ネタだった。ネットワーク(FWやルーター)や暗号のやり取りといったIT色の強い知識が前提となる場合もあり、年によっては鬼ムズイ。文系受験生にはきつい。

  • 【経営戦略】時事ネタが多く、今年は物流の2024年問題が取り上げられていた。だいたい、とある企業の現状が与えられ、各種フレームワーク(SWOT等)に当てはめ分析し、どういった戦略を立てるかみたいな型がある。たまに計算(会計)が出るのでボーナス化(今回は出なかった)。

  • 【プロジェクトマネジメント】本来、システム開発・導入プロジェクトがあり、どうプロジェクトを管理するかが問われるべきだが、一般的な国語の問題が出題される。でも、実務では国語が出来ない人もいるので侮れない。たまに工数見積もり問題(計算)が出るが、簡単だからボーナス問題。

  • 【サービスマネジメント】だいたいシステム導入・変更を契機に、どのように合意済みのサービス水準に合致したサービス提供を継続していくかといった問題が出る。ITILをベースにしているとはよく聞くが、読んだことはない。

  • 【システム監査】システムであっても、監査理論は変わらない。監査を学んだことがある人はノー勉でもOK。どの帳票・データを突合すれば良いか問題と、監査目的を満たすために必要な追加の監査手続(or漏れている監査手続)を答えさせる問題が多い。

勉強記録(午後)

7.他資格試験との関連

  • 基本情報技術者:基礎知識として午前試験・午後試験ともに役立つ。勉強時間は3割減。

  • ITパスポート:流石に効果なし。

  • 米国公認会計士:午前試験では、管理会計(投資意思決定や、固変分解しての損益分析等)とシステム監査分野がボーナス化する。午後試験では、経営戦略に貢献(各種分析フレームワーク(SWOT等)等が出題されるため、BECとオーバーラップ)。システム監査もオーバーラップするが、AUDレベルの問題も散見されるから油断は出来ない。

  • 日商簿記1級:管理会計はボーナス化。但し、出題レベルはかなり低いのでtoo much。2級では投資意思決定が出題されないから効果半減。3級は管理会計そのものが対象外だから効果なし。

  • PMP:午前問題には多少役立つが、肝心の午後試験(プロジェクトマネジメント)には無力。全く役立たない。PMPを持っていることが唯一の理由でプロジェクトマネジメントを選択するのは止めた方がよい。

  • 英語(TOEIC等):単語力は、英文略語の意味を推測するのに役立つ。英語学習経験のあるなしで、正答・誤答が分かれる場面もあると思う。

8.試験本番

試験会場・持ち物・過ごし方

  • 試験会場はアクセスが悪いところが多い。私の場合は家から2時間、ターミナル駅から40個先のバス停にある試験会場を指定されガン萎え(近くに駐車場がなく公共交通機関の利用が必須だった)。

  • 試験前に昼食の購入が必須だった。近くにレストラン・コンビニがなかった。

  • 写真と受験票を忘れるな。身分証を持っていても救済措置はない。定規は持込可能だが、使うことはまずないので忘れても良い。

  • 朝はきちんと食べよう。昼は本項午前試験を参照。

  • 午前も午後も、試験開始前にチョコベビーを爆食い。脳をオーバークロックさせる。

  • 当日の欠席者が非常に多い。私が受験した部屋は約30人のタグがあったが、約10人しかいなかった。これは極端だったとしても、IPAの統計資料によれば3割は欠席するようだからやはり欠席者が多い試験であるのだろう。

  • 電卓が使えない。小数点ありの掛け算やらを筆算させられる。この試験で一番のストレス。ネット上では電卓が使えるようになると対数計算などもさせられて難化するとの見立てもあり、電卓解禁に向けて騒がない方がいいかもしれない。

  • 手が痛くなる。筆算、マークシート、論述と手を酷使する。

  • 受験番号・生年月日を解答用紙に記入するが、試験開始後に行う。この時間は、午後試験において地味に痛い。

  • 試験終了後はボヤボヤしていないでさっさと帰る。公共交通機関混むよ。バスしかない場合、数百人の列が出来ていた。

午前試験

  • 試験時間は9時30分から12時00分までだが、11時15分に退出。自慢ではなく最初から早く退出することを狙っていた。昼休みは12時00分から1時間、午後試験は13時00分から始まる。試験時間いっぱいを使うと、食後の眠い中、長文を読む羽目になる。どれだけ昼食を前倒し出来るかが勝負。副次的な理由として、エレベーター等の混雑回避があった。食後は午後試験に向けてリラックス。近くの公園で寛いでいた。

  • 試験開始後、まずは高速で過去問焼き増し問題を解く(1問あたり、計算なしなら5秒、計算ありなら50秒ペース)。解き終えたら、自信がある問題数を数え、あと何問正解すれば合格基準(48問)を上回るかを見積もる。

  • 次に、初出の問題を解く。知識問題は知らなければ解けないから粘らず飛ばす。但し、英文の略語は頑張れば閃く可能性があるから多少時間をかけて意味を推測する価値がある(脆弱性の評価システム?知らないよ…あれ、選択肢にあるCVSSのVってVulnerability[脆弱性]じゃない?とか。)。

  • 計算問題は、問題文から答えを導くより、選択肢にある数字が問題文を成立させられるか逆算する方が早いことがある(小数点を含む計算がある場合)。

  • 計算問題はだいたい乗算・除算。総量を求めるなら全部掛け算、単位当たりの量を求めるなら除算。問題文が全く理解出来なくても、これを意識すればのだいたい正答にたどり着ける。今回もあった。

  • バイトとビットの罠にハマるな。1バイト=8ビット。この変換を忘れるな。特に多少難しい問題の解法を閃いた時、嬉しさのあまり忘れることがある。

  • そうして、過去問焼き増し問題→初出問題を解いて一周したら、飛ばした問題を解く。時間があるからといって、過度に悩むな。分からないものは分からない、明らかに誤りの選択肢を排除した中で鉛筆転がしてマークして。時間かけて午前試験で点数を75から77に上げる必要はない、合格していればOK。そんな時間があるなら早く退出して午後試験に備える。

  • 最後に、マークシートへの転記。転記後、念のため問題冊子とマークシートを見比べて正しく転記されているか確認。さっさと退出。

午後試験

  • まずはどの問題を選択したかマークする。後でやろうとすると忘れるぞ。出来る人は最初に問題を見比べて選択問題を決めるプロセスがあるようだが、私は決め打ち。見比べる時間が惜しい。そもそも他の科目は勉強していないから選択出来ない。

  • とにかく時間がない。無理に各問で30分(150分/5問=30分)を使おうとするな。「あと1問が分からないけどまだ15分しか経っていないからもう少し粘るか…」はムダ。それより早く次の問題に行った方がいい。後でそこを見返す際にまた長文読込まなければならないじゃん…と思うかもしれないが、案外他の大問を解いた後に戻ってきても忘れていなかったし、時間が足りないから前の大問に戻ってくる時間などない。

  • 本番では勉強より解答に時間がかかる。勉強では、キーボードで解答案を作成するし文字数も画面に表示されていた。手で解答案を作成して、文字数を数えて、消しゴムで消して加筆修正したり…を手で行うのは非常に面倒だし時間も食う。

  • 【情報セキュリティ/15分】知らない単語(ゼロトラスト)と知っていたけどド忘れた単語(多要素認証)のせいでモヤモヤしたスタート。それ以外は簡単だった。

  • 【経営戦略/20分】内容としては読みやすかったから早めに終わった。しかし、解釈が分かれるであろう問題文もあり、ここで不合格がよぎり始める。ダメ押しで長めの論述問題を空欄とした時点で、心が折れる。

  • 【プロジェクトマネジメント/40分】見当が付かない問題と、知らない知識問題(ベースラインの種類)のオンパレードで、不合格率が90%を超える。

  • 【サービスマネジメント/40分】本文から解答を引用する問題で、どこから引用すれば良いか分からず時間をかけ過ぎた。適当に書いたものも多く、不合格率が95%を超える。

  • 【システム監査/25分】やはりどの書類やデータと突合すれば良いか問題が出た。この問題は、書類・データの流れを正確に理解する必要があり、40分くらい欲しいのだが、時計を見たら25分しか残っていなかった。2つ空欄、自信がない解答もあり、不合格率が99%を超える。

  • 試験終了後、試験を忘れるために一人で焼き鳥や、いきつけのBarへ行く。

2024年7月4日追記:不合格率99%を乗り越え受かったのは奇跡。

9.私の解答

午前試験
解答速報によれば、66/80(82.5%)で合格の模様。

午後試験
午後試験は添付の表のように提出しました。

私の回答

10.反省点

8で示したように、午後試験の点数が足らず不合格が濃厚なため、午後試験の反省点を書きます。

2024年7月4日追記:受かったから反省もくそもないね!

  • 単純な勉強不足
    知識問題が答えられなかったのは、勉強不足と思われる。シラバス等を見て、どんな単語を知っておかなければならない。書籍購入も検討すべきか?しかし、どんな書籍が良いのか分からない(教えて欲しい)。

  • タイムマネージメント
    プロジェクトマネジメント等の知識問題や、サービスマネジメントの本文引用問題で悩み時間を食った。そのしわ寄せがシステム監査に行った。

  • 試験本番を想定した勉強をしていなかった
    試験時間だけで計5時間、家を出てから試験終了まで8時間の試験は想定以上に疲れた。一方、勉強中は、午前から午後までの通しどころか、午前として80問を一気に解いたことも、午後として大問5個を通しで解いたこともなかった。試験後半はパフォーマンスが落ちることを前提に解く科目の順番も必要?最初に出来が悪かったらメンタルがやられそうだけど。

11.試験結果

合格していました。試験直後の出来は悪かった印象でしたが、ふたを開けたら午前試験は81.25点(上位3.8%以内)、午後試験は76.00点(上位19.9%以内)ということで、むしろオーバーキル気味でした。

試験結果
度数分布

以上で私の応用情報技術者試験の体験記は終わりです。これからこの資格を目指される皆様の参考になればと思います!

いいなと思ったら応援しよう!