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そこ、もうちょっとどうにかできないかな?!

あやうくその人のことを、嫌いになるところでした。

ちょっと前のことです。
「その人」(Aさん)が、すごく自分中心で、私の思いなど、
まったく考えてくれない、と感じる出来事がありました。

私の方は協力し、尊重し、理解しているつもり。
それなのに、私が苦しい時に、Aさんは歩み寄ってもくれない。

怒らされ、落胆させられ、虚しくさせられ、
今まで気づかなかったけど、こんなに悪い人だったんだ。
もう一緒にはやってられない。

詳しくは書けませんが、こんなことがあったのです。
でもそこから、Aさんへの嫌な気持ちを止めることができました。

Aさんが私の思いに気づき、歩み寄ってくれたわけではありません。
2人で話して、理解し合ったわけでもありません。
修行して、人を許せる精神を身につけた、ということもありません。

私がやったのは「相手への期待の調整」です。

対人関係療法という心理療法があります。
日本では認知行動療法ほど知られてないかもしれませんが、
アメリカでは、うつ病の治療ガイドラインで有効性が
確認されている技法です。

その対人関係療法では、対人関係のストレスを、
「役割期待のずれ」と読み解いていきます。

人は無意識に、他の人に対して、
「こう考えてくれる人」「こう動いてくれる人」と、
役割(期待)を設定しています。

でも当然、相手が期待通りに動いてくれる時ばかりではありません。
そこで、「もう少しこうして欲しい」と、演技指導(?)できたら
良いですが、それをする気にもならないものです。

なぜなら、自分の思いを察してくれることも、役割期待のひとつだから。

それで思い通りに行かない気持ちが募り、ストレスを高めるのです。
ワンマンな監督、演出家みたいなものですね。

本物の役者さんなら、無茶ぶりに応えざるを得ない時もありましょう。
が、私たちが普段接する相手は、そこまでする義理もナシ。

そこで、「役割期待のずれ」を解消する(=ストレスを減らす)ために、
相手に求めている役割(やって欲しいこと、やって欲しくないこと)を
整理する必要が出てくるわけです。

そうすると、応えてくれる見込みがないこと、
そこにこだわらなくてもやっていけそうなことが、
見えてきます。

また、
「自分が誰かの期待に応えられない時、それはどんな理由からか?」
を振り返るのも、有効な視点になります。

相手の性格や得手不得手、関係性などによっては、
期待する役割を変えたり下げたりした方が、
気持ちが楽になる時もあります。

たとえば、
「協力的で優しく接してくれる同僚」という役割から、
「業務的な情報交換が過不足なくできればOKの、同じ部署の人」
という役割に変えるような感じです。

ただこれを、寂しく思う方もおいでかもしれません。
「期待しても、しかたがないこともある」
と言ってるようなものですから。

でも、勝手に期待して、勝手に怒って、勝手に失望して、
勝手に悪者を増やすよりも、まだマシと言えなくもない。
「期待する役割を見直す」方が、
その後の発展につながることもあると思います。

最後に、私の勝手な期待のとばっちりで、
理不尽にも悪役を振られそうになったAさん。
本当にすみませんでした!

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