逮捕状却下
この事案、本部鑑識課当時、当時の刑事部捜査二課、今の組対の応援に行かされていた当時の話。
ご存じのことと思いますが当時の刑事部には強行・盗犯専門の捜査一課、暴力団・知能犯(詐欺)専門の捜査二課、あと鑑識課と科学捜査研究所という構成。
まだ、暴力団対策法が出来る前と記憶する。
年に一・二回〇〇組壊滅作戦等と銘打って暴力団がらみの事件を何とか上げろとやるわけ、それで同じ刑事部の鑑識課も協力して人員を出すということでお鉢が回ってくる。
鑑識課でデスクワークやらされていた本職にお呼びが掛かる次第。
派遣されたのは瀬戸内海に面する県内じゃ比較的大きい警察署、今でいう反社会集団の周辺者が法外な利子で金貸しをしているという情報を掘り下げ、突き上げ反社の構成員まで行こうと相成った次第。
そこで本部捜査二課のエキスパート刑事さんの応援を得て、やりだす訳。
今では違うかもしれないが当時の警察署刑事二課長は警部さんになりたての新米警部。
ここの警察署二課長も機動捜査と知能犯刑事の経験が若干あるくらいの新米。悪いことにここの署長、刑事部では誰もが知る、行く末は警察本部刑事部長になるであろう、刑事部内の重鎮であり、粗相があれば駄目の烙印を押されるという刑事関係には厳しい環境。
そんな状況で表題の件が起きました。実際、当時の二課長却下の連絡が入り、真っ青な顔色、文字通り顔面蒼白とはこのことかと得心した。
署長様の憤怒の表情もすごかったよ。
わしの出世の邪魔しやがってみたいなね。
逮捕状却下の原因は単なる利率計算のミス、犯罪事実に記載される数字が間違っていた訳。
巡査刑事や部長刑事が事実を組んで作るわけだが皆、算数が苦手なものが多いのか、誰も気づかず、署長も本部捜査二課も目かすりしてました。
裁判所の事務官が電卓はじいてミスを見つけたと。
逮捕状請求に行った刑事からの連絡、逮捕状却下事案は重大な事案であとの始末は大変でした。
とにかく、あれやこれやでグダグダなりながら再び、逮捕状を取り、周辺者を逮捕となりました。
その後日談はまたの機会に。
その間、何をしていたかというと応援捜査員の仕事は主に雑用と取り調べの補助でした。