私と2019年とVR

2019年、それは私がバーチャルキャストという会社に正式に入って最初の1年だった。前にも書いたが私は能力的に大きく目立つところのない人間だと自覚している。特に弊社には業界トップクラスのエンジニアがわんさかいる上、良い意味でも悪い意味でも普通とは程遠い尖った人間ばかりなため、より強くその思いを抱いている。

そんな自分からすれば学ぶべきものばかりの環境の中、実は私は会社全体、あるいはVR界全体を左右する判断に影響を及ぼしうる立ち位置にいた。

もちろん、直接的な裁量権があったわけではないし、お金を動かしていたわけでもない。それでも、一昨年の年末にねこますさんによってVRへの道を決め、気づけばプラットフォーマーの立場にいた1人のVR市民として、判断者と周りの人間に意見を伝え続け影響を及ぼしていたのだ。

正直、私では役者不足だと感じるその立場によって振り回された部分もあった。VRの世界では多くの人がそれぞれ一芸を持っていて、そこでの考えをもとに新しいものをつくりだし続けている。そんな中、それらのどれも私はその人たちより出来るわけではないのに、そのことについて見て、考え、知らない人にも伝わるように意見を述べる。コンテンツを客観的に評価し伝えるために、ただ何も考えず楽しむのでなく出来るだけ穿った見方で捉えようとする。そうやってフラットであることを考え、配慮していく内に一時期はだんだんと動きにくくなり自縄自縛に近い状態になっていることもあった。

そして、その状況を脱する糸口になったのもまたVRだった。
もともと私は何もなければ基本的に家に引きこもりがちであり、他人との交流も得意ではない。そうやって過ごしてきたので正直対人能力もあまり高くはないだろう。そんな私であってもVRの世界によって今まででは考えられないほど多くの人と知り合い、話すことが出来た。

VR、特にVRソーシャルの世界は現状自分で何をするかを決めなければ何もないところだが、何かをしようと思ったならば距離を廃し、表現を拡張し、人と人の出会いの場となる可能性の空間である。だから、自縄自縛の考えに縛られていれば何も出来なくなるし、そこから抜け出したいと少しでも動けばいくらでも活用できる世界なのである。

例え新しく入ってきた人に対してでも、それまでのコンテキストに関わらず共に話し、遊び、関係を広げていってくれる、それが私にとってのVRの世界である。もちろん、これは私が出会った人たちが私を受け入れてくれる良い人たちだったというのが前提としてあるだろう。それでも、私は多くの人にとってVRの世界がそうであって欲しいと願っている。

人を形作るのは経験であり、経験は人と人の出会いによって紡がれ、出会いは行動によって生み出される。

今年一年で私にどれだけのことが出来たかはまだ今は分からない
それでも今年一年に良き出会いがあったとは胸を張って言おう

今年一年の出会いと関わった全ての人達に感謝を込めて
来年もまた良き出会いがありますよう

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