非実在無名戦士の墓を定期的に建ててる気がする

ゲームで感動した時。「civ2」
自国の辺境都市にせまる蛮族の騎兵軍。防衛隊はすでに全滅。
新造した防衛ユニットの完成までどうしても1ターン足りない
だが近くで開墾していた開拓団ユニットが進路上に立ちふさがり
そのわずか1ターンを稼ぐ為全滅したその彼らと連中の決意を思う時だ。
『進め!聖学電脳研究部』

・Ultimate General: Civil War

 時はアメリカ南北戦争の頃。
 バージニア軍の第1軍団第2師団で散兵連隊の指揮を執り。
 第二次ブルランの戦いで戦死したオーウェン大佐の事をご存知だろうか?
 いいや、誰も知らないだろう。知っててたまるか。
「知っている」などと答えた者は嘘つきだ。

 第二次ブルランの戦い二日目となる8月30日。
 北軍前線部隊は南軍ロングストリート将軍率いる部隊による北軍左翼側を突いた反撃の対処に手一杯となっていた。

 そんな中オーウェン大佐率いる散兵連隊(およそ800人程の兵員数)は、前日の戦いで多大に消耗しつつもストーニーリッジに未だ存在するジャクソン将軍率いる南軍主力部隊の動きの警戒のため右翼側で突出し、半ば孤立する形で陣を張り警戒態勢を敷いていた。
 ジャクソン軍に攻勢の気配があればオーウェン隊がすかさずその情報を総司令部に伝え、北軍は第二線であるヘンリーハウスヒルまで撤退する。
 ……その予定であった。

 ジャクソン軍の複数連隊による迂回攻撃は行われた。
 その情報をオーウェン大佐は確かに伝えていた。
 だがしかし。ロングストリート軍への対処に手一杯だった司令部は、その情報を受け取って処理することが出来なかった。

 北軍主力部隊が必死の思いでロングストリート軍を撃退した後。
「そういえば」とストーニーリッジ方面に目を向けた司令官の目に入ったのは、ジャクソン軍の複数連隊に包囲されたたった一個の散兵連隊。
 完全に包囲され、弾薬も付きかけ、ほぼ全滅と言っていい程に兵は減り、友軍にも見捨てられ。
 されど降伏せずに戦い続けたオーウェン連隊の姿であった。

 その連隊に選択し表示された部隊情報はこう囁いていた、
オーウェン大佐は貴様のせいでとっくに死んだぞ」と。

 急いで隊に後退を指示したものの、騎兵の追撃により部隊は全滅した。
 マヌケな指揮官がオーウェン大佐と彼の部下を揃って皆殺しにしたのだ。

 それ以来というもの、僕は今でも悔い続けている。
 たった一人の、ただのランダム生成コモン将校の事を。

 ……そう、これはビデオゲームの話だ。
 僕の大好きなUltimate General : Civil War。
 北軍キャンペーン4周目の出来事である。

・WarGame: Red Dragon

 そしてこれはまた別の話。時は第三次世界大戦の頃。
 NATO(日韓豪を含む)とワルシャワPACT(中国と北朝鮮を含む)の間で行われた4V4の大規模戦闘。

 制限時間到達時にポイントが高い陣営が勝利するルール設定。
 タイムアップは近い、ポイントは敵軍であるPACT側がリード。
 とはいえNATO側はひたすらに決戦を避けての遅滞戦闘に徹し敵軍の戦力を削り続ける作戦を事前に示し合わせていたのでおよそ作戦通りの進行。

 そして機は熟す。攻勢限界に達した敵軍向けてNATOは反撃を開始した。
 1つまた1つとポイントゾーンを奪取し続けていった。
 その過程で彼我は残っていた主な戦力をほぼ使い切ることとなったが。

 PACT側にもはや機動戦を行える戦力はほぼ残っていない。
 これは敵後方へ浸透し情報収集と破壊活動を行っていたSASR(オーストラリアSAS)らの偵察情報からも明らかであった。

 一方NATOにはそれでもなんとか温存し続けた機甲部隊(これらは二線級のユニットばかりであり。かつ新鮮な隊はほぼ居なかった)が存在していた。
 これにより脆弱な敵急増防衛線を突破。
 2つある敵本拠地の片方に突撃することで逆転勝利を成し遂げる。
 これにはスピードが必要だった。
 一度も止まらず振り返りもせずに目的地まで突っ切るスピードが。

 だが、最終攻勢開始直後に問題発生。敵本拠地へ機甲部隊を誘導するために先行していたSASRからの偵察情報が届く。
 敵本拠地のすぐ近くの市街地に、高級戦車が潜んでいたのである。

 これが森なら今すぐにでも何とかなった。少なくともSASRが発見できているのだからNATO側に残っていた数少ない航空戦力F-117 NIGHTHAWKによるペイブウェイ3誘導爆弾x2の投下で今すぐ破壊することが出来る。
 問題は、その戦車は市街地を根城にしていたことだ。
 建物と建物の間の限られた射線から攻撃を行い、建物と建物の間を移動し続ける戦車。SASRからの偵察情報は戦車の移動するその度にぶつ切りとなり、空爆を強行したとてペイブウェイの誘導は途切れてハズレてしまう。

 機甲部隊は緊急停止する。迂回するべきか?
 だが、その脅威を迂回して他を叩ける時間の猶予はもう無かった。

 だから……SASRに攻撃禁止命令を出して(彼らが持つ対戦兵器の弾が残っていたなら彼らに撃破させたさ、勿論ね)。
 敵戦車の真横のビルに潜伏させて。
 至近距離からペイブウェイの誘導に必要な偵察情報を送らせ続けた。

 そしてF-117が2発の2000ポンド誘導爆弾を投下。
 精密に誘導されたそれらは狙い過たず戦車に直撃。
 そのまま数m横に居たSASRもろともに市街ブロックを吹き飛す

 爆発を見届けた我々は唯一残った最後の抵抗を排除し前進。
 そのまま見事に逆転勝利を収めた、めでたしめでたし。
 
 で?故に彼らの義務と忠誠は報われた、などと言えるのか?
 で?きっと彼らはこの勝利を誇りに思うのだろう。などと言えるのか?

 この犠牲を僕は今でも悔い続けている。

・Rising Storm

 さて。また別の話だ。 
 時は第二次世界大戦の頃。1944年の太平洋戦線はニューギニア。
 日本軍による反攻『猛作戦』。迎え撃つのは米軍の防御陣地。

 僕は常にランダムjoinを選ぶ。そのマッチは米軍側joinになった。
 そしてなんとなくで、第三分隊の狙撃兵を選んだ。

 日本側プレイヤーは結構統制が取れていて、A拠点とB拠点は持ちこたえられず素早く陥落した。とはいえ、その過程で米軍側プレイヤーの連携も徐々に発達していったのでC拠点が即座に落ちることはなかった。
 MAPを見た所、左翼側と正面には結構な数のプレイヤーが配置についていたので、僕はC拠点の右翼側にポジションを取った。
 陣地の両側面は遮蔽物が少なめの湿地帯になっており、日本側が全力で突破するのは難しく、基本的に少数による探り探りの散兵戦が展開しがち。
 時と場合によっては迂回した戦力が中央を脅かすシチュエーションが発生することになるが、正直言ってその可能性はけっこう低い。
 そう考えると狙撃兵である僕が右翼の守りにつくのは正しい選択だった。

 右翼側を固定的に守っていたのは僕ともう一人のプレイヤー。
 そのプレイヤーは、機関銃兵を選択していた。
 彼の制圧射撃で敵を足止めし、彼を死角から狙う者を僕が狙い撃つ。
 急増ながらも良いコンビネーションを構築できていたと思う。
 敵が右翼側の突破を試みず散発戦しか発生しなかったのは幸運だった。

 互いの意図を理解し、戦線をカバーし合えていた。
 定期的に彼に弾薬補充を行い弾幕が途切れないようにもしていた。
 意思疎通はかなり出来ていたと思う。
 野良プレイヤー同士の息のあった連携。
 うん、戦友とはこのような関係を言い表すのだと思う。

 さて。戦線が膠着した時に攻め側が行う寄せの手は限られる。
 煙幕等を遮蔽にし徐々に徐々に寄せる我慢のゴルフか。
 または砲弾の雨を降らせ防衛側を吹き飛ばし、死亡者のリスポンまでの僅かな時に向け一気呵成に突撃を敢行するか、である。
 基本的には後者が選択される。この時も勿論そうだった。

 シュルシュル……

 僕らの耳にも砲弾が落下してくる風切り音が確かに聞こえた。
 殆どのプレイヤーは反射的に遮蔽物や塹壕に身を隠すよう実戦で訓練されている。
 だから僕も、いや僕らも反射的にその場から駆け出した。
 けれどここは陣地の外側にあるちょっとした茂みだ、土嚢も塹壕も無い。
 陣地内のバンカーに走って間に合うわけもないし、そもそも砲撃は陣地に向かって撃ち込まれるのだろうからむしろ走ったら危険なのだろうが。

 それでも開けた場所には絶対に居たくなかった。
 それでも走った、それほどに怖いのだ。マジで怖い。
 というか、そういう戦場心理を上手く呼び起こすゲームデザインなのだ。今考えてもマジで秀逸だよRed Orchestraシリーズのそこら辺のシステム。

 駆け出してすぐに見つけた。安全な場所を。
 地面に、細長いちょっとした窪みがあった。
 人ひとり分のスペースしか無い窪みが。

 だから何も考えずに即座にそこに滑り込んで伏せた。
 譲り合いの精神なんて綺麗事は余裕のある時にだけ発揮すればいい。
 砲撃の後に来る敵軍の突撃に狙撃兵がどれだけ役に立つだろうか?とか
 この唯一の退避場所を得るべきは機関銃兵である彼でないか?とか
 そんな事は砲弾の風切り音と共に頭から吹き飛ばされる。
 でなければ、僕自身が吹き飛んでしまうからだ。

 だから……窪みに伏せた僕の目の前で彼がこちらをちらりと見た瞬間にだって罪悪感なんて決して湧かない湧きようもない。
 伏せて。じっとする。
 モニターの前の自分も身を固くして、肘に力を入れて、
炸裂する砲弾による鉄の嵐と、爆風と轟音に対する心の準備をして。
 窪みに飛び込むラッキーショットが無いことを祈るしか出来なかった。

 爆音。

 まぁ確かに砲弾が飛び込んでくることは無かった、無事に乗り切れた。
 ……ただまぁ、なんと言いますか。

 爆風。

 最初の砲弾がすぐ側で炸裂した直後に、飛び込んできた。
 爆風で千切れ飛んだ、何者かの左腕が。

 画面が揺れる。

 自分の周囲には自分と彼以外の人が居なかった陣地外の窪みの中に。
 ごろんゴロゴロと転がって。わざわざ断面をこちらに向けて止まる。

 爆音。爆風。画面が揺れる。

「嗚呼!自分がこの窪みを奪ってしまったから!」
 なーんて、瞬間的に脚色して格好つけられたら良かったんですがね。
 その瞬間どう思ったかって?

 爆音。爆風。画面が揺れる。

「うわ。やめろ。汚い。こんなもん。怖い」ですよ。
 他でもない、戦友の一部分に向かって。ホント嫌になる。

 爆音!爆風!画面が揺れる!

 んで。一旦そんな感じで全力で否定した後に、やっと気が回って。
あれ?これ彼の手では?」って思ってサーっと血の気が引くわけです。
 そしたら突然に、砲弾以上に自分のしでかした事が恐ろしく思えてきて。

 爆音!爆風!画面が揺れる!

 どうしようもない位に目の前が真っ暗になって、
 視界の彩度が下がるような感覚。
 まぁ実際にゲーム画面の彩度は砲弾の制圧効果で下がってるんだけど。

 爆音!爆風!彩度が下がる!

 目の前にある物を見たくないなら向きを変えればいい?
 狭い窪みに伏せた状態で向きを変えたら脚がはみ出て吹き飛ばされる。

 爆音!爆風!画面が揺れる!爆音!爆風!彩度が下がる!

 画面から目を背ければいい?
 だけど、決してその骨が飛び出た手首から眼が離せなくて。
 目を見開きモニターを凝視してしまい。その光景が焼き付いてしまって。

 爆音!爆風!画面が揺れる!爆音!爆風!彩度が下がる!
 爆音!爆風!画面が揺れる!爆音!爆風!彩度が下がる!

 ずーっと、砲弾の嵐が収まるまで。ずーっと。
 ずーっと彼のものであろう手首に無言の怨念を勝手に見出しながら。

 爆音!!爆風!!

 それから今に至るまで、ずーっとずーっと何度もその事を思い出して。
 何か、恐ろしいモノに、身体を掴まれて。
 安全なところから引きずり出されて、引きずり込まれるような。

 画面が!揺れる!!
 彩度が!下がる!!

 そんな気分に、定期的に陥っている。のだなぁ……

 その後のゲーム展開がどうなったかなんてすっかり忘れた。
 そこで記憶が途切れてるので。
 つかね?当たり前ながらそのすぐ直後に彼はリスポンするわけだから、別にどうってこと無いだろうよ?って言ってしまえばそれまでなのだが。

 だけれども……
 けれど……

 彩度が下がる。

 爆音もしないのに、爆風で画面が揺れもしていないのに。

 彩度が下がる。
 彩度が下がる。


2017年の僕は毎日のように文章を書き続けていた(何故か書き続けることが出来ていた)時期だったのでこのツイートがタイムラインに表示された時。
特に悩むこともなくスムーズにRising Stormの事をスラスラ書いて送った。
 確か送った文は8000字位になってしまっていたと思う。やり過ぎだバカ。


・DEFCON

一人の死は悲劇だが、集団の死は統計上の数字に過ぎない

 わはは。かのスターリンの言葉は正しい。
 なんというか、ただただウケる。
 なんの感傷もわかねぇんだわ。
 笑える。


…………
……


……何が一番笑えるって。
スケベ文章作業が一文字も進まなくて嫌になって現実逃避で書いてるコレの為に三時間ぶっ通しで集中し続けてしまった事が一番笑えるよ。

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