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“プロフィットセンター”としての自立。開発組織としての覚悟と歩んだ10年間<FLINTERS設立10周年記念対談>
※本記事はFLINTERSによる寄稿記事です。
2014年にセプテーニ・オリジナルとして設立され、2024年で10周年を迎えるFLINTERS。セプテーニグループや電通グループ、その他外部の企業からも案件を請け負う、エンジニアを中心とした開発組織です。
設立10周年を記念して、2023年9月9日から2024年1月19日までの133日間、連続ブログリレーを実施しています。
今回は121日目の記事として、セプテーニ・ホールディングスの佐藤光紀 代表取締役と、セプテーニ・データ・ソリューションズ(※)およびFLINTERSの武藤政之 代表取締役社長との対談を行いました。
※セプテーニグループのデータ・ソリューション領域を統括する中間持株会社
「俺、今日からジーパン履くから」
ーーそもそも「セプテーニ・オリジナル」として、エンジニア組織を独立の会社にした経緯を教えてください。
佐藤:
セプテーニがデジタルマーケティング事業を始めたのは2000年頃。当時はまだインターネット広告事業と呼んでいたんですけど。その頃は、我々が業績を上げるために必要な能力って、主に営業だったんですよね。営業力が強いところが成長するのが、市場の環境だった。
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そこから少し時間が経って2010年頃から、今後市場が変化する中で生き残るには、必要な能力がこれまでとは変わってくるよね、と経営層で話していて。ではどうありたいのかを再定義する中で、インターネット広告事業をより価値ある事業として発展させるには、総合的に力のある組織をつくっていくことが重要だと。営業力以外に、運用力や制作力、オペレーション能力、加えて技術力。これら全てを満たせれば強いよね、という結論に至りました。
この時点ではまだ技術の部分を内製化していなかったので、まずは「事業開発本部」として、セプテーニ内に開発組織をつくったんです。最初の本部長には僕が。
武藤:
佐藤さん、初めてエンジニア組織をみるにあたって、「俺、今日からジーパン履くから」って言ってましたよね(笑)。
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佐藤:
そんなこと言ったっけ(笑)。
武藤:
エンジニアが親しみやすい組織とはこういうものだ、って言って、全社に向けて「俺は今日からジーパンを履く」と。
佐藤:
当時はお客さんのところに行くことが多くて、ずっとスーツを着ていたから、あえてそう言ったのかもしれないね(笑)。
それでエンジニア組織をつくったんですが、これまで営業系しかいなかった会社なので、エンジニアが活躍しやすい風土があるかというとそうではない。社内でのマジョリティはやはり営業系なので、エンジニアとしてのアイデンティティを感じづらい。
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一方で開発組織としては、もっとオリジナリティを磨き込んでいかないといけない。もっと面白い方向に変えていってほしいというのが、経営者としての願いでした。
エンジニアがいきいきと活躍するための組織風土をつくるには、もう法人化して、まっさらな状態から文化をつくってもらえば良いんじゃないかと思ったんです。
武藤:
当時の役員と僕とで20個くらい社名の案を出したんですけど、全部却下されて。佐藤さんの案で「セプテーニ・オリジナル」になりましたね。
佐藤:
社名にはこだわりが強いからね(笑)。
賄賂って、領収書もらえますか?
武藤:
でも実はセプテーニ・オリジナルを設立する1年前、ベトナムにオフショアのSEPTENI TECHNOLOGY CO., LTD.(現 FLINTERS VIETNAM)を先につくったんですよね。日本ではまだまだ自分たちがエンジニアを採用できるレベルの組織じゃなくて、誰も来てくれなかったので。
僕はベトナムに会社をつくることが決まってからその設立を任されたんですけど、何でベトナムだったのか、ずっと気になっていたんです。
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佐藤:
絶対にベトナムが良い!と決めた理由があったかは覚えていないんだけど、ただそのときは中国につくるか、それ以外の東南アジアにつくるかで検討していました。当時は中国にオフショアをつくるのがすごく流行っていて、その動きは良いなと思っていたんです。
一方で、中国はすでにGDPや所得が急激に伸び始めていて、今中国に参入するよりも、これから伸び始めるところが良いと思って、東南アジアに決めました。あとはコンピューターサイエンスに強い学部のある良い大学が近くにあって、優秀なエンジニアが巣立っていく先に拠点を構えたいなと。そういうのにマッチしたのが、ベトナムだったのかな。
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武藤:
ベトナムに会社を設立するためのいろんな手続きを現地でするわけですが、日本語、英語、ベトナム語と多言語でやり取りするので非常に大変でしたね。いちばん衝撃的だったのは、バックオフィスが法務局に書類を出しに行ったとき。手続きにはすごく時間がかかる、と言われたんです。その上で「アンダー・ザ・テーブルで早くなるよ」と。
アンダー・ザ・テーブルってなんだ?と話を聞いていると、賄賂のことで(笑)。帰って経理に相談したら、「それって領収書もらえるんですか?」とバシッ!と言われてしまいました(笑)。
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佐藤:
領収書がもらえたら、オン・ザ・テーブルだね(笑)!
武藤:
そうなんです(笑)。もらえるわけないので、ちゃんと待ちました。他にもいろいろありましたが、面白い経験でしたね。
真面目な話をすると、ベトナムでの拠点設立から10年経ってみて、早めに進出できたのは良かったなと思っています。当時もホーチミンには少し日本企業もあったんですが、ハノイにはまだ全然なくて。その分採用にはそこまで苦労しなかったんです。
今は社員や大学からの紹介だけでも採用が充分できていて、採用コストをかけずに人材が集まります。規模も大きくなり、認知もされていて、信用されているのを感じます。
10年の歩みを振り返る
ーー2014年にセプテーニ・オリジナルとして独立してから、どのような歩みがあったか教えてください。
武藤:
エンジニアの会社ではありつつ、もともと事業開発本部なので、事業もつくろうとチャレンジしていたのが「PAINA!」。個人間送金アプリだったんですが、軌道に乗らず2014年に撤退しました。
その後PayPayなどが流行るわけですが、時代が僕たちに追いついていなかったんですかね(笑)。
佐藤:
PayPayが2018年に始まったので、数年早かった。今思うと、QR決済もないときにずいぶん大胆なことをやろうとしていましたね。
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武藤:
PayPayが100億円キャンペーンを打つような事業を、▲5,000万円で撤退してますからね。ちょっと資金が、、いや、だいぶ足りなかったですね。
翌年からはエンジニアが働きやすい環境づくりに注力して、裁量労働制や年俸制を取り入れ、CTOを採用しました。技術者同士で評価し合うような仕組みに。独立したことで自由な環境づくりができて、人材が伸び始めましたね。
2017年には従業員数が100名を超えたのですが、その後グループ全体で、業績がガクッと落ちてしまって。うちも採用を中止せざるを得ませんでした。
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そこで、グループとして広告領域一本ではこわいなと。昔からわかっていたことではありましたが、改めて実感して。グループ内の広告領域だけをやるのではなく、データ・ソリューション領域で外部からも収益を得られる組織になり、グループ収益に貢献しようと話し始めました。
2019年にセプテーニグループと電通グループとの資本業務提携が決まり、協業が加速してきて収益も上がり、2021年にはセプテーニ・ホールディングスの中間持株会社として、セプテーニ・データ・ソリューションズ(SDS)を設立。その後、セプテーニ・オリジナルの社名をFLINTERSに変え、グループ外企業様へのDX支援を開始し、コストセンターからプロフィットセンター化しました。
2022年にはエンジニアを育成し派遣する「FLINTERS BASE」を設立。今年はFLINTERS、FLINTERS VIETNAM、FLINTERS BASEの連結従業員は276名となるまでに成長しました。
FLINTERSのユニークネスとは
佐藤:
ここまでの10年間で印象的だったのが、セプテーニ・オリジナルでよく勉強会をやっていたことで。そこでの知見を詰め込んで「技術読本」をつくって配布していましたよね。それがSNSで面白いと話題になって、エンジニア界隈で社名や企業風土が認知されていって。人から人に伝わっていくと早いな、と実感したんですよね。
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あれだけ採用に苦労していたのに、口コミが出てくると自然に広がって信頼される。今までとは違うカルチャーが発信されて、広まっていくことが新鮮でした。そのようなことは今もやっていますか?
武藤:
今は本ではなく、ブログを中心に続けています。採用媒体の記事として載せたり、はてなブログにも載せたり。そして今はちょうど、133日間のブログリレーを実施しているところで。土日も含めて、毎日投稿しています。
形は変われどカルチャーや技術向上の発信をしていることで、面接でも「ブログ見ました」と言ってくれる方も増えています。雰囲気がわかるんだそうです。
佐藤:
10年経って、FLINTERSとしての個性はどんなものになったと感じていますか?
武藤:
事業全体としてユニークなのは、3社に分かれていることかなと。技術力のある経験者を中心としたFLINTERS、オフショア拠点としてのFLINTERS VIETNAM、教育に力を入れ未経験エンジニアからチャレンジ出来るFLINTERS BASE。
それぞれ少しずつ違うやり方なので、全て同じ会社でやるのは難しいし抵抗もある。別会社にすることで良い方向に影響し合い、クライアントに対しても、これらを混ぜ合わせながら価値を提供できるのが強みですね。
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教育に興味がある方はBASEへ、海外に行きたい方はベトナムへ、など。グループ内で人材もうまく回っているなと思います。
次の10年に向けて
ーー中間持株会社として、セプテーニ・データ・ソリューションズ(SDS)を設立したのはなぜでしょうか?
佐藤:
事業開発本部をセプテーニ・オリジナルへと分社したときと同様、未来からバックキャストして、セプテーニグループを非広告領域で確かな存在を出していくものにしていきたいなと思ったんです。そこを目指すためには、より力を結集させないといけない。それならグループに点在していたデータ・ソリューション領域の企業群が、力を合わせて連携できる新たな枠組みがあると良いなと。
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またこうした事業ユニットをつくることで、経営として、データ・ソリューション領域に本気で力を入れる意思を示す目的もありました。
武藤:
SDSを設立するにあたってセプテーニ・オリジナルもFLINTERSに社名を変更することとなったのですが、その際に冠から「セプテーニ」を外したのもまた、覚悟の現れです。どうしても広告のイメージが強くなってしまうので、そこから独立して、テクノロジーの分野で再出発するというところ。そこでプロフィットセンター化する、という覚悟ですね。
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そういえばSDSの名前を佐藤さんに提案したときは、一発OKでしたね。「まあそうだよね」って(笑)。
FLINTERSのときも、すんなりとOKいただいて。「火打石」を意味する「flint」から取って、「火を灯すひとたち」という意味で「FLINTERS」と名付けました。
ーーSDSを設立し、FLINTERSとなって3年。佐藤さんはどんな手応えを感じていますか。
佐藤:
数字が物語っています。出発時点からわずか10年で人数が約3倍、売上が約5倍。立派な成長を遂げていますよね。
分社化した当初の目的通り、セプテーニではなくFLINTERSとしてのカルチャーも醸成され、発信し、仲間を集めてお客さまに貢献できていると思います。
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とはいえ期待するところとしては、これからもうひとつふたつ、桁を上げていってほしいですね。究極的にはビジョンに掲げた「データ活用でユーザー体験を豊かにする」の視点で、手段にも領域にもとらわれない活動をしていってほしいです。
ーー次の10年に向けて、武藤さんの意気込みを教えてください。
武藤:
従業員数も収益も利益も着実に伸ばし続けて、セプテーニグループ外からの収益比率は5年前の0%から現在は40%まで引き上げる事が出来ました。
とはいっても、まだまだセプテーニグループのシェアが大きい状態。もちろんこれからも、セプテーニグループの開発を担う立場として責務を果たしつつ、今後はセプテーニグループ以外のお客さまからも、もっと評価される会社になっていきたいと考えています。
そして、僕たちがマーケティングDXの好事例を残すことで、世の中の不便が便利になったり、不安が安心につながったり、不満が満足になったりと、ひとつでも多くの“不”を世の中から解消していく。そんな社会への貢献が出来れば良いなと思っています。
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