Doveの炎上と風俗における「スペ」の話

最近、ボディケア用品「Dove」の広告が炎上した。

「顔の大きさ17cm」
「中顔面6.5cm」
「スペ110」
などの、読んだだけで気分が悪くなるような、ルッキズムを助長する単語が並ぶ。


この中で少し話題になったのが
「スペって何?」ということだった。

風俗業界では、「身長(cm)マイナス体重(kg)」で求められる数値を「スペ」と呼ぶ。
「スペ」の数値は高いほど良い。
一般的に風俗業界ではスペ115〜120が細身と言われている。
居住地から離れた土地の風俗店で働くことを「出稼ぎ」と言うが、出稼ぎにおいて店から風俗嬢に「スペ105以上」など条件がある場合もある。(出稼ぎではなく在籍でも求められることがある)


私は風俗業界で言うところの「低スペ」で、数値は100以下だ。
要するに、かなりデブ。
だだ、よく考えてみて頂きたい。
スペ120というと、身長165cmなら45kg。
それでも細すぎるくらいだと思うのだが、
これが身長155cmなら35kg。
そう、低身長の方が圧倒的に不利になるのだ。
ちなみに私は身長155cm以下の低身長である。

今から身長を伸ばすことは不可能なので、体重を落として「スペ上げ」をしている。
ここ半月の私の1日の食事内容は、おにぎり1個、どうしてもお腹が空く日はそれプラスゆで卵1個。
多い日でも1日に250キロカロリーほどだろうか。
風俗の仕事は肉体労働だ。とくに私は低スペのためとにかくプレイのテクニック売りをしているので、一人接客するだけでかなり体力とカロリーを消費する。
当然1日250キロカロリーではもたない。毎日めまいやふらつきに耐えながら接客している。
夏に人生最大値になっていた体重は2ヶ月で8キロ落ちた。
それでもまだ「スペ100以下」の「低スペ」なのである。


人間の骨格や体型はひとりひとり違うので、身長、体重、スペが同じでも痩せて見える人と太って見える人がいるのは当たり前のことだ。
4年前に摂食障害を患い激痩せした時はスペ113だったが、肋骨や骨盤や尾てい骨が浮き出て、とても不健康な細さだった。
その時は階段を昇るのも5段ごとに休憩しなければいけないほど体力がなかったし、入浴の際に硬い浴槽の底に骨が当たり痛くて座れなかった。
スペ120になるには、あの時の状態から更に7キロ痩せなければいけないのだ。
たぶん、そこまでいくと「ただ生きているだけ」で、動くこともままならないと思う。
それでも風俗嬢にとっては「スペ120」が絶対的な正義なのだ。


Doveの広告によって世の中に、10代の若い女の子に、「スペ」始め、知らなくてよかった単語が広まってしまったことが本当に悲しく恐ろしい。

ユニリーバのお客様相談フォームに本名とメールアドレスを入力した上で、件の広告の取り下げについて意見したが返信はもちろんないし、炎上についてのコメントも現時点(2024年10月14日)では全くない。

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