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相棒の外身を手放した

現在の印刷を学ぶ上で、Macは欠かせない道具である。

AdobeとApple中心に進められてきたDTP(desktop prepress)ツールの中心がMacintoshだったからだ。

そのため、私も購入するマシンは全てMacで、その中でも「eMac」が大好きだった。

平面ブラウン管の発色の良さ、白で統一されたデザイン、一体型の利点。なにより、フォルムが可愛かった。

買ってから仕事やプライベートで愛用して、でもスペック的にどうしても通用しなくなって、それでもずーっとずーっと使い続けていたが、Mac miniが発売され、私はそちらに乗り換え、eMacを手放した。

その際、あまりにも名残惜しく、個別で破棄できるよう分解し、1番の「外身」だけを物置にしまっていた。

相棒だった奴の一部をせめて残しておきたかった。



それから十数年経ち、様々な事情が変わり、私は部屋の断捨離を始めた。

その際に、物置の奥からその「外身」を見つけた。

しまいこんでいて、保管してた事さえ忘れていた。

これはあまりにも、相棒に対して扱いがぞんざいではないか?とかパソコン相手に勝手に思った。

なので、写真を撮ってから、粗大ゴミシールを貼って、「ありがとね」と呟いて、私は相棒の外身を手放した。

それから、思い出せるようになった事がある。

eMacのブラウン管に映し出された、青い壁紙だ。

あの青をキチンと思い出に仕舞い込む事ができて、ようやく、私は相棒に向き合えた気がする。

あの頃、いろんなものを一緒に作ってくれてありがとう。

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