保健所で旧姓使用ができなかった話 ~住民基本台帳の壁~
本日も、旧姓使用できないことがありました。
忘れることはないと思うのですが、備忘録として残しておきます。
1. 発端 ~麻疹・風疹ワクチンの接種~
先日、職場の健康管理の規定が変わり、「麻疹・風疹ワクチンを2回接種すること」が義務付けられました。
母に母子手帳を確認してもらうと、過去に麻疹ワクチンは2回接種していたのですが、風疹ワクチンは1回しか接種していませんでした。
職場に相談したところ、風疹の抗体検査などでも証明の代わりになるとのことでした。
住んでいる自治体に確認したところ、無料で風疹の抗体検査ができそうでしたので、旧姓の「水落」で抗体検査を申し込みました。平日、窓口に持って行く時間がないので郵送で申請書を送りました。
すると、とんでもない電話がかかってきたのです。
2. 衝撃の電話「住民基本台帳の名前でないと受付できません」
先日のお昼ごろ、保健所から電話がかかってきました。
保「もしもし、水落さんですか?」
水「はい、水落です」
保「風疹の抗体検査の申し込みについて、住民基本台帳の方と照らし合わせて確認したのですが、水落さんは、今の名前は阿座上さんですか?」
水「(今も昔も水落だけど、)はい、戸籍上は阿座上です」
保「では、阿座上さんで受付してもよろしいですか?」
水「職場に旧姓使用を申し出ているので、できれば『水落』がいいんですけど」
保「でも、住民基本台帳の名前でないと、受付できないんですよ」
水「(選択肢ないじゃん、)じゃあ、仕方ないですね」
保「はい、では阿座上で確認書を送ります、失礼いたします」
ということで、やはり病院・保健関係では旧姓は使用できない、ということが確認できました。
職場では旧姓使用を申し出ているので、阿座上姓の抗体検査の結果を水落として提出することになります。
この名前の二重管理、なんとかならないのでしょうか?
あちらを立てればこちらが立たずで、どこかに絶対に2つの名前が同一人物であるということを照合する照合コストがかかってしまいます。
3. 「住民基本台帳」とは?
自分自身、住民基本台帳というものがよく分かっておらず、電話口で「住民基本台帳の名前でないと~」と言われたので、そういうものなのかと思ってしまったのですが、
Wikipediaによると、住民基本台帳とは、
「市町村長または特別区区長が、域内の住民全体の住民票(個人を単位として作成)を世帯ごとに編成し作成する公簿」
だそうです。
すなわち、元は住民票なのです。
総務省のHPにも、「住民票を編纂したもの」と書いてあります。
そして総務省は、住民票への旧姓併記を認めています。
一体、この旧姓併記の法改正にはどんな意味があったのでしょうか?
リンク先のHPには、
「住民票、マイナンバーカード等へ旧氏(きゅううじ)を併記できるようにするための住民基本台帳法施行令等の一部を改正する政令が平成31年4月17日に公布されました(平成31年11月5日施行。)。」
と堂々と書いてありますが、住民票に旧姓併記が可能なら、それを編纂した住民基本台帳にも旧姓併記が可能なのではないのでしょうか?
他にも、住民基本台帳の利用場面として総務省は「選挙人名簿への登録」を挙げていますが、
旧姓併記を申請してからこの方、一度も投票用紙が旧姓併記で届いたことがありません。
ということは、やはり住民基本台帳には旧姓が併記されていないのかもしれません。
もしかしたらされているのかもしれませんが、旧姓が利用可能な状態にはなっていません。
また、Wikipediaの住民基本台帳の頁には、
災害時には、最新の住民基本台帳情報に基づいて、安否確認・捜索がなされる。
と載っています。その根拠として、2021年7月5日、中日新聞公式Twitterの
“熱海・土石流、34人の無事確認 静岡県熱海市伊豆山で発生した大規模な土石流で、市は5日、所在が分からなかった147人のうち34人の無事を確認したと明らかにした。住民基本台帳に基づき、残り113人の確認を急ぐ。”
というツイートが引用されています。
もしこれが本当だとしたら、住民基本台帳上で旧姓が使用できない場合、災害時にとんでもなく個人同定のコストがかかってしまいます。
特に非常時はばたばたしますから、「水落さん?阿座上さん?それは同じ人なの?違う人なの?どの人なの?」と混乱する様子が目に浮かびます。
旧姓使用の拡大、旧姓使用の拡大、と声を大きくして政府関係者が言っていますが、民間に呼びかける前に、まずは自分の省庁から旧姓使用を拡大していきませんか?
というか、旧姓併記ができるように法改正したなら、自分のところの住民基本台帳に旧姓を併記し、使用可能な状態にしませんか?
世の中、本当に理不尽で筋が通っていないことが多いです。
備忘録迄
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