SENZU Science Lab.
サイエンスコラム
有料記事まとめ1
仮説と検証
「論理的におかしい」と言われると、ジ・エンド、出直してきなさい! という雰囲気になる。そんなパワーワード「論理的におかしい」は一体何を意味しているのだろう? 本マガジンでは、論理学の基礎について中学生レベルの知識で理解できるよう解説している。
アメリカのタイム誌は毎年 "Person of the Year"としてその一年で(良くも悪くも)最も影響を与えた人を選出し、特集記事とそのプロフィールを掲載している。1999年に ”Person of the Century” を企画し、20世紀に最も影響を与えた100人を選出した上で表紙にアインシュタインを掲載した。アインシュタインこそが20世紀を代表する偉人であると認めたのだ。 アインシュタインといえば相対性理論、相対性理論といえばアインシュタインである。その相対
前回の記事で、ブラックホールに突入する宇宙船は単独ではブラックホールによる時間の遅れを体感的に知ることができないことがわかりました。 https://note.com/senzu_science/n/n61bc3d3e4e88 では回避する手立ては無いのかというとそんなことはありません。協力者がいれば可能です。今回は通信を使って時間の遅れを検知する方法について述べていきます。 絶対的な時間の遅れはわからない 何もない空間は平坦ですが、質量によって空間は歪められま
あなたは宇宙船に乗って意気揚々と宇宙旅行にでかけました。ところが宇宙地図に未記載のブラックホールが航路上に存在していたのです。宇宙船はこのブラックホールを検知して回避することはできるのでしょうか? 事象の地平面を捉えよう ブラックホールは単に重力が大きいだけの天体ではありません。中性子星のように、超重力・超高密度でありながら何でも吸い込むわけではない天体もあります。ブラックホールをブラックホールたらしめているのは、事象の地平面と呼ばれるポイント・オブ・ノーリターンが存
海岸線の長さと木の葉一周の長さが一緒だというと驚くだろうか。 もちろん海岸線のほうが長いと答えるだろう。実はこの問にはひとつ大きな意地悪が隠れている。実は海岸線も木の葉も、厳密には周長を測ることができない。正確に言えば長さを定義できないのである。 一方で海岸線や木の葉よりはるかに大きい地球の周長は約40000kmと判明している。地球一周は測れるのに海岸線が測れないとはどういうことだろうか? 接しているはずなのに? 気象学者のリチャードソンは、互いに接している国境線の長
科学の役割って何だろう? 筆者は「真理の探求」と答える。 科学者は世界の理を探求し、真理を追い求めている。 「真理の探求」と言ったが、よくよく考えてみると"真理"などというものは果たして本当に存在するのだろうか? 現在正しいとされていることも、1000年後とかに「間違ってましたサーセン」なんてことになっているかもしれない。例えば鎌倉幕府の成立は筆者は1192年と教えられ「いい国作ろう鎌倉幕府」と覚えたものだ。だが今では1185年とされている。「いい箱つくろう 鎌倉
農薬は自然界で分解されず、植物や昆虫の体内に蓄積され、食物連鎖に従って生物濃縮されていくーーこのような認識はいまや「農薬の常識」とされている。有機農法や無農薬栽培に価値を見出すのも、農薬の害を重く見ているからだ。しかし、その常識の前提となる条件がもはや賞味期限を迎えていたら……。 レイチェル・カーソン 沈黙の春 「沈黙の春」は農薬の害を訴えた有名作である。科学を変えた一冊を選ぶとすれば間違いなくこの本だろう。製薬会社のみならず一般人までも農薬の害がいかに深刻であり撤廃す
前回の記事で、論理で重要な3つの接続詞「かつ」「または」「ならば」を含む判断について説明した。 この記事は論理学で重要な最後の接続詞「でない」について詳しく説明する。 「でない」は否定を意味する。 否定なんて簡単でしょ! 例えば「ボクは男である」の否定は「ボクは男でない」だし(ボクっ娘)、「かすみちゃんは俺のことが好きだ」の否定は「かすみちゃんは俺のことが好きでない」になる。単純な話「である」を「でない」に変えるだけでしょ? と思ったアナタ。間違っている可能性
モデルモデルと耳にはするが…… 科学の文脈で「モデル」という単語を聞かない日はなくなった。昨今のCOVID-19の感染者予測も、実効再生産数をコアとする数理モデルが用いられている。流行病を脇においても、日々の天気予報こそ数理モデルの集大成である。この頃の文明的な生活において、モデルなしに科学技術を語ることはできない。 そのモデルとは一体何なのか、はっきり説明してくださいといわれると意外と言葉に詰まるのではないだろうか? 本記事はいわゆる数理モデルと呼ばれるタイプの、数式を用
ちょっと計算してみてください 円周率$${\pi}$$と重力加速度定数$${g}$$、この2つには何の関係もないように思えます。ではちょっと計算してみてください。円周率の二乗、3.14×3.14はいくらになるでしょうか? 9.85くらいになりました。重力加速度定数はだいたい9.81です。 どうでしょう。非常に似ていると思いませんか? 実はこの結果は単なる偶然ではありません。円周率と重力加速度が、はるか昔浅からぬ関係にあったことの名残なのです。そこには単位系の改正と測
どれだけ勉強しても数学が苦手なまま マイナス×マイナスがプラスになるのはなぜだろう? こんなことで悩んだことはないでしょうか。 その意味に納得したとしても、因数分解に苦労したり、それを乗り越えても三角関数や微分積分が立ちはだかり……。ほとんどの人は高校を出るまでのどこかでつまづいてしまい、そこから先がわからなくなってしまいます。 一方で中には数学が得意な人もいます。軽々と計算をこなし、三角関数や微分積分を使いこなす。数学が得意な人は何が違うのか。その違いはたったひとつの
雨の中で濡れない走り方 やってしまった。今日に限って天気予報を見るのを忘れてしまった。いつもは家を出る前に確認するのに。しかもなかなか雨は止みそうにない。 いや、待てよ。駅から家まで歩いてもせいぜい10分。走って行けば数分ちょっと。しかも少し前傾姿勢で走れば濡れるのはたぶん頭のてっぺんと肩だけなはず。よし。「俺の考えた最強の移動方法」で家まで走ってしまおう。 人間は直方体であると仮定する
「SはPである」という、単に「〜である」と断定する最も単純な判断のことを単純判断や定言判断とよぶ。 主語と述語が「かつ」「または」などの接続詞で結合されて複数になっている場合がある。 加えて、判断そのものが接続詞で結合されている場合もある。これらの接続詞で複数の判断が連結された判断を複合判断とよぶ。 重要な接続詞は3つ 論理において重要な接続詞は3つだ。 「かつ」「または」「(もし〜)ならば」である。 なぜ3つだけなのかと言うと、定言判断pとqの基本的な関係は以下の
私たちの思考は「概念」を認識することから始まる。概念とは「木」や「大きい」などの、特定のモノを他のモノから区別するための名称のことである。 概念の認識の次の段階として、私たちは概念と概念との間に成り立つの関係を捉えるようになる。 私たちは木々を見たとき、それを「木」(概念)と認識すると同時に、それを「植物だ」とか「緑色だ」とか思うはずだ。これを言葉にするとこうなる。 植物や緑色もまた木と同様に概念なので、この文章は概念と概念の関係を述べたもの、ということになる。
私たち外界を認識するとき、みな意識せずともそれを体系的に行っている。 顔を上げて周りを見渡してみてほしい。何が見えるだろうか。筆者は今、郊外の喫茶店でこの記事を書いている。窓の外には「街路樹」「山を覆う木々」「道路を行き交うたくさんの車」など様々なものが見える。実はこの時点で私たちは体系的に外界を捉えている。 生まれたての赤ちゃんが同じ景色を見たらどう感じるだろう? 葉が茶色くなって落ちてしまった落葉樹と、緑に包まれた常緑樹を同じ「木」であると認識するだろうか。1台