2022年9月12日の日記
「空気入れ換えたい感じしてきたね」
母ちゃんのご意見があり、すぐさま父にLINE。
「明日の午後、遊びに行けたりしますか」
「大丈夫です」
「ありがとう。12時30分でお迎えお願いします」
「ハーイ。お昼は?」
「ください!」
「はーい」
昼、時間ピッタリに来てくれた。午前中に一緒に買った内祝いを「どうぞ~」と、父に渡している仙豆の、事前練習通りの声が玄関から聞こえた。嬉しくなった。そういう嬉しくなる瞬間を仙豆は頻繁にくれる。「自慢の息子」ってこういう感覚から湧き出る表現だよねと思う。
外出する時や食事の時には部屋をできる限り片づけたい僕の性分は、たぶん家族には迷惑なんだけど、とにかく今日もそれをやってから、みんなが待っている車に乗った。
僕はたぶん思春期の頃から父と目を合わせるのが苦手で、いまだに克服できていない。特にその日最初の挨拶の時なんかは絶対に無理で、こうして車で迎えに来てもらう時なんかは(うちには車が無い)、左手で閉めるドアの方に顔を向けながら「ありがとー」と言うのをお決まりにしている。
そしてそういう瞬間があるたびに、長男の仙豆も、次男のオズも、僕に対してそんな風になるのかなという不安が必ずよぎる。「目をみて話すんだよ」と仙豆に言うことが多い理由の1つは、その予防策なんだけど、そういやこれは誰にも言ったことがなかったな。
日記を書くと、そういうことを可視化できるからいい。可視化によって、思考が一歩前進する。
実家までは車で20分。母ちゃんの実家はもっと近い。この環境にこれまでどれだけ助けられたことか。オズの出産の時はタクシーを呼ぶ計画だったのが、よし今だというタイミングで電話をしたら、どこの会社にも連続で断られるというまさかの大ピンチに陥って、父に連絡してみたら来てもらえて。実家がそばになかったらどうなっていたんだろう…。
ともかく今日も安全運転20分で実家に着いて、美味しいおっきい手作りコロッケとお赤飯の贅沢なお昼ご飯をもらった後、仙豆はいつも通り、和室で新幹線や機関車トーマスの玩具を存分に広げ、じいじ(父さん)と遊びだした。
今日は思ったより気温が上がってしまったので、外出はじいじと仙豆と3人で、短時間だけ。その短時間でも父はトンボを捕まえるし(仙豆は突然の出来事にびっくり)、帰宅したら、天井から吊るされてぐるぐる回る、故障していた赤ちゃん用のアレもすぐ直すしで、まさに父の鑑。
そういえば、耳鳴りがあると言っていたのでいつからなのかと聞いたら30代からだと言われてびっくりした。親が子供に伝えないことって山ほどあるんだなと思う。僕が覚えてないだけで聞いたことはあったのかもだけど。
仙豆にとってジジババの家が天国なのは、誰の目にも明らか。うちに比べて家は大きいし、リビングから見える空は広いし、玩具はたくさんあるし、近所は閑静でお散歩がしやすいし、だから虫取りもしやすいし、散歩から帰ればアイスもフルーツもあるし。心なしか、アイスをほおばる表情もいつにもまして輝いている。
帰宅後、母ちゃんも「仙豆のことを考えたら、頭を下げてでも週1で遊びに行かせてもらうのがいいのかな」と。同意見だし、母ちゃんにそう思わせてくれる両親には感謝しかない。
母は、仙豆の英語力にいつも感動を隠さない。今日は「マスコミに取材してもらった方がよくない?」と言っていた。仙豆が喋った英語を僕が通訳すると「え、今の一瞬でそんなことまで言ったの?」とも言っていた。国際結婚家庭のお子さんたちに比べれば全然に決まっているから、僕の中では「そこまでではない」けれど、感動してくれるのはありがたい。僕ら夫婦のやっていることを信じてくれているのだろうという嬉しさもある。
父も、「頭がいい」と言ってくれる。どのくらい客観性のある評価かは分からないけれど、多くの子供や孫を見てきている父がそう言っていると思うと嬉しいし、僕の父親ぶりを認めてくれているような感覚を覚えて、ホッとする気持ちにもなる。
スタジオアリスで家族写真を撮ったりするのはどうかと母が言っていた。それを聞いた瞬間は、僕の写真の評価が母の中では低めなのかなと0.01秒くらいだけ思った。そういうつまらないことを思ってしまう時間を完全に消滅させるのはなかなか無理に近いものがある。無理だから、邪推を邪推と自ら認知して対処したい。
今日、帰る前にはなんとケーキまでもらえた。一週間早い、仙豆の誕生日祝いをと、買ってくれたんだそう。キャンドルもしっかり3本。満面の笑みでふーっとやっていた。
コロナなんてものがなかったタイミングで生まれたあの日から、キャンドル3本分が経つのだ。今はもう、家族がもう一人増えている。
仙豆はほとんどお昼寝をしないけど、帰りは車(父運転)ですぐにスヤスヤ。だいぶ大きく立派になったねと言われたオズと一緒にスヤスヤ。いつも通り頭に汗をいっぱいかいて。息子の、寝息の向こうの夢の世界を覗き見たい。夢の中身を言葉でしっかり伝えらえれるようになるまでは、まだ数年かかる。その時をずっと楽しみにしている。
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