2024年富士ヒル DNF雑記(11)
◆違和感を感じつつも進む
(1)早々に感じた違和感
サイコンのスタートボタンを押し、
いざ計測スタート!
というような話を、よく耳にする。
昨年の私でも一応そのことは知っていたくらい、
よく耳にする話。
下手したら、居酒屋のトイレの壁にも貼ってあるような、
「親父の小言」
の中にも混じっている可能性すらある。
的な?
(的なと言われても困るか)
そんな昨年の私。
親父の小言を思い出し、
踏むのをセーブしたつもりが、
しばらく三本ローラーで練習したはずの
回すペダリングのやり方をすっかり忘れていて、
(いや、ヒルクライムで
私がそれを出来るのかは分かりませんが)
なんやかんやでしっかり踏んでしまい、
結果的に、
ふくらはぎと太ももあたりを中心にダメージを食らっていた。
昨年、2023年の話である。
今年はといえば、
「序盤はセーブする必要がある」とわかっていつつも、
敢えて、それなりに回し、それなりに踏んだ。
それは昨年の「結果的に踏んでしまった」とは異なる、
「意図的なもの」である。
試走した結果、それを実感し、
この二週間ほどは、
zwiftレースなどをやりつつ、
ある程度の(私にとっての)高強度で
ペダリングする練習を、
少しではあるがやったつもりだ。
(全体的なトレーニング不足は否めないが)
そういうこともあって、
全開ではないものの、
最初から、それなりな感じでペダリングした。
ちなみに、
ただ「踏む」というと語弊があるかも知れない。
あの「ふくらはぎ」と「大腿四頭筋(太ももの上側)」
に、がっつり100%近く負荷がくる踏み方とは少し違く、
なるべく
「ハムストリングや尻にも
負荷を分散してくれまいか
よろしく頼むよ」
と思うような踏み方(何それ)を心掛けた。
(上手く出来ていたか、
誰に頼んでいるんだかは、別の話)
パワーメーターが無いので、
具体的な数値はわからなかったものの、
いくらかのzwiftレースを通して、
自分の身体がある程度覚えていたように思う。
どのくらい脚に、太ももに、
そして尻に負荷がかかった状態だと、
どのくらいのPWR(パワーウエイトレシオ)なのかを。
(ちなみに、5月後半の私のPWRは2.7 W/kg)
「ぬおー!」
そう思いつつ、料金所へ向かっていたその時、
ふいに
「スカっ」
とクランクが空転した。
「んんん!?」
チェーンが外れたのかと思った。
フロントのチェーンが外れた時に、
急にトルクがかからなくなって、
スカっとなる、あのような感覚だったからだ。
本意ではないとはいえ、
結果的に、
一旦クランクを踏んでない状態になるのだから、
今思えば、本当は
それを後続に知らせないといけなかった。
せめて
「これから、ダンシングしますよ」
という合図の
「肘パタパタ」
くらい、とっさにやらなくてはいけなかったと思うが、
実際のところ、そんな余裕はなかった。
申し訳ない。。
反省デス。。。
さて、
フロントのチェーン落ちであれば、
経験上、脚をついて一旦止まらずとも、
ライドしながら、
フロントディレイラー操作で直すことが出来ることも多い。
(調整が出来ていなかったら、繰り返すかもだが)
「フロントのチェーン落ちは、
たいていインナー側・・・」
そう思い、
チラッと目をやってみたが、
チェーン落ちしているようには見えない。
そしてペダリングしてみると、
普通にトルクがかかるではないか。
普段であれば一旦止まって
とりあえずチェックしてみることもあろうが、
今は
一分一秒を無駄に出来ない富士ヒル本番
の最中。
変だなと思いつつも、そのまま進むことにした。
序盤はおおよそ、皆さんまだ元気である。
走行ラインは、例年通り(?)
大体3つの走行ラインに分かれていて、
といったところ。
速度差がある参加者が、
ごちゃごちゃに混ざった状態で
一緒にスタートしている関係上、
速い人は「とにかく速い」ため、
実質この3ラインでは足りず、
追い越したいのに追い越せず
仕方なく、センターラインぎりぎり、
若しくは、
一時的にセンターラインを越えた第四のライン
で追い越していくのが実情のようだった。
富士ヒル後、
大会の感想をチラ見した感じ、
的な感想を、
ちらほら目にしたような気がする。
私の場合に関しては、
基本、大抵は
真ん中の走行ラインを走り、
前走者に追いついてしまいそうになったら、
なるべくハンドサインを出してから、
右側の追い越しラインへ。
速い人は遠くの後ろからでも
あっという間にグイグイ登ってくるので、
邪魔にならないように、
あらかじめ、
また真ん中の走行ラインへ戻る、
ということを繰り返して進んでいった。
正直、結構面倒ではある。
さすがに、
一番左のゆっくりラインは、
ゆっくり過ぎて、ペースが合わないので、
序盤、そのラインを走行することはなかった。
リアのギアも、常に1~2枚は必ず残っていたし、
トレーニング不足の私とて
昨年に比べればいくらか成長していたように感じた。
そうして、
そこそこのペースで進んでいた序盤であったが、
ふいに、
また、あの「スカっ」というトルク抜けが。
「ええっ!?
また!?」
一瞬であり、
クランクを回していると、
それはわりとすぐに元通りになるため、
クリティカルな影響こそまだ無いが、
地味に嫌なものだ。
試しに
「登り坂でペダルを止めること」
を想像してみて欲しい。
速度は急に落ち、また踏み直さないといけない。
物理的にも(パワーやタイム)、
気持ち的にも、結構なロスである。
「なんなんだー!
マジで!」
心の底からの叫びである。
そんな「スカっ」が数分に1回起こり始めていた。
区間は、まだ一合目にも達していないところである。
前兆はなかった。
何故に当日、しかも本番の最中に起こるかな。
何、このタイミング。
もはや「前世で悪いことをした」としか思えない。
いや、今世でもしてきたか。(汗)
そんな違和感を感じつつも、
今は騙し騙し進むしか無かった。
(2)昨年の足つき箇所を通過!
そうして進んでいると、
前方にとても色鮮やかなロードバイクが目に留まった。
これだけの参加者がいるだけあって、
色々な自転車と出会える機会でもある。
あまりにもヴィヴィットで、
格好良かったので、
「めちゃくちゃ、鮮やかですねー!」
と、
走りながら一言二言だけ会話させてもらった。
「自転車は自慢なんです。
私自身は全然ダメですが」
みたいに、
謙遜されておられたが、
一期一会。
「頑張っていきましょー!」
とお互い声をかけあい、
更に前へと進んだ。
ヒルクライムの最中、
しんどいはずなのに、
会話をすると、
一瞬でも疲れが吹き飛ぶのは何故だろう。
きっと皆、大なり小なり、
そんな経験があるのではないだろうか。
そうこうしていると、
やや斜度高めのカーブを過ぎ、
左手に、一合目下駐車場が見えてきた。
「おお!もうここか!
あっちゅう間だな。」
昨年、
太ももがピキピキきてしまい、
あまりに序盤のため、
なんだか恥ずかしかったのだが、
勇気をもって足つきをして休憩をすることになった、
あの駐車場。
地図によると計測開始地点から約3.4km地点らしい。
サクっとその駐車場を通過した。
駐車場を越えると、
その直前が斜度キツめだったこともあり、
斜度もなんだか落ち着いた感じがしたので(錯覚?)
速度を上げてタイムを稼ぐ。
昨年、脚をかばいながら休憩し、
駐車場から、
スイスイと登って行く人たちを
遠巻きに見ていたから。
今年は自分がスイスイ側だ。
駐車場を過ぎ、
しばらくして、5km地点を通過した。
サイコンの5kmラップのアラートが知らせてくれる。
そういえばトップチューブに、
1km単位でブロンズ目安タイムを貼り付けていたが、
思えば、なんだかんだで見ていなかった。
(おい)
5km時点のタイムは
貼り付けていた目安タイムでは
「00:20:10」
よくネットで見かける5km毎の目安タイムでも
「00:20:23」
だから、
約1分ちょいの遅れ。
身体や呼吸はまだまだ大丈夫。
あわよくばブロンズ。
この時点では、まだイケる気がしていた。
(3)二合目の手前で足つき
1合目~2合目というか、
5km~10kmあたりは、
体感的に、
斜度緩めなゾーンがちょいちょい登場するため、
わりと速度を上げられる区間のように思う。
(参考:富士ヒルのサイト コース・アクセス)
そんな感じで二合目へ向けて、
主に下ハンを握って、
上げられるところでは、やや速度上げ気味に登っていた。
そう、下ハン。
下ハンなんよ。
下ハンに関しては、
もちろん、斜度が緩くなった時に、
「ここだ!」
と平坦のようにくるくる回すペダリングで
速度を上げる目的もあるのだが、
登りとはいえ、不思議と下ハンの方がしっくりきていた。
重心が、ややバイクの前方にズレるからだろうか?
感覚的に
ハムストリングや、大殿筋(お尻ね)も、
下ハンの方が使いやすいような?
(実際に上手く使えているかは別として)
サイコンの記録を見ると、
7km地点をちょっと過ぎたあたりでは、
斜度が少し緩やかになるのか、
(300m程度の距離の模様)
一時的にだが、
私にしては速い25~26km/hくらいの速度が出ている区間があった。
身体がしんどい時は、
斜度が緩やかになると、休憩したくなりがちだが、
そこで速度を上げる余裕がまだあった、
ということだと思う。
相変わらず、
たまに「スカっ」とトルクが抜ける現象は発生していたが、
ダマしダマし進むことは出来ていた。
だがしかし。
ボクたかし。
がちょーん。
ここへきて、また別の問題が。
昨日、受付へ向かう途中にセッティングを直した、
サドルの固定が明らかに緩んできた。
上下の角度が動いてしまう。
前日にいじったサドル。
まあまあな強さで締めつけ固定したつもりだし、
普段の作業で、
トルクレンチを使わずに、
手トルクで作業して、
サドルがライド中に緩んでくるなんて
そうそう経験にない。
ヒルクライム。
そこそこの強度でライドしてきたということか?
(いや、それでも緩んじゃダメか)
若しくは・・・
実際にたった1日で緩んできているあたり、
単純に、
私のメンテナンス精度の低さが露呈したのかも知れないな、
とも思った。
「くそー!
次から次へと、なんちゅーこっちゃ!」
二合目にもう少しでさしかかろうか
という辺りだっただろうか。
サドルの上下ぐらつきが、
かなり気になりだした。
「むむぅ・・・。」
それに加えて
相変わらず、たまに「スコッ」と
トルク抜けが発生するので、
この先を考えたら、
一度ここで仕切り直す必要がありそうだと思った。
「あわよくばブロンズ、
もはやここまでか・・・」
と、覚悟を決め、
サドルの再固定がてら、
何が起こっているかもチラ見してみようと思い、
周りの状況を見つつ、道の左端に寄った。
「ふぅ・・・。」
そう。
昨年に引き続き、
今年も見事に足つきする羽目に
なってしまったのであった。
ーーーつづくーーー