【改めまして】4周年を迎えた銭湯ぐらしの自己紹介と現在地
株式会社銭湯ぐらしは、昨年の10月10日(銭湯の日)に創業4周年を迎えることができました!私たちは、高円寺の老舗銭湯「小杉湯」のお客さんとして出会い、年齢も職業も住んでいる場所も異なるメンバーが”銭湯が好き”という気持ちを原動力に、銭湯やまちと関わりながら、様々な活動に取り組んでいます。現在、主に活動しているメンバーは20~80代の約40名。ほとんどが、別の仕事に就きながら、兼業で銭湯ぐらしに所属しています。
この記事では、株式会社銭湯ぐらしがどのように作られてきたか、そして日々メンバーたちがどのような想いで事業に取り組み、運営を続けているかを紐解いていきます。
風呂なしアパートから始まった。銭湯ぐらしの成り立ち
2017年、小杉湯の隣には、解体を1年後に控えて空き家となった一棟の風呂なしの木造アパート(通称「湯パート」)がありました。建築家で銭湯ぐらし代表の加藤優一と小杉湯三代目の平松佑介さんの出会いから、この湯パートに、小杉湯の常連客が住み込み、1年間でくらしの実験を行うプロジェクト「銭湯ぐらし」が始まります。
イラストレーターやミュージシャンなど、多様なメンバーが住民となったアパートでは、銭湯の浴室でのライブやアート展、銭湯つきの民泊を始めたりと、「各々の興味やスキル」と「銭湯」をかけ合わせたプロジェクトを展開していきます。
日々仕事に多忙で、心身共に疲れ気味だったメンバーたちは、毎日銭湯に入り、ほどよいご近所感で生活の一部をシェアするこの「銭湯ぐらし」が心地よく、生活がちょっぴり豊かになる実感を抱きました。
アパートは1年後に解体されましたが、活動名をそのまま法人化し、アパート跡地に立つ、後の「小杉湯となり」の企画運営に挑みます。
銭湯好きの仲間が集い、プロジェクトを進めるにあたって、コミュニティやNPO法人ではなく、なぜ法人化したのでしょうか?
そこには2つの理由があります。ひとつは、一過性のプロジェクトではなく事業として継続的に成立させていくことが、銭湯のあるくらし、ひいては銭湯文化に貢献することにつながると考えたからです。
2つめは、持続可能な組織をつくるためです。利益だけを追及したビジネスも、交流だけを目的にしたコミュニティも、いつか限界が来てしまうのでは?という考えのもと、みんながスキルを持ち寄って「暮らし」の延長で「仕事」をつくっていくことで、その両方が豊かになるようなチームを目指すことにしました。長期的な目線で銭湯文化を守り、関わる人の人生を豊かにできるような組織づくりに挑戦しようという気持ちで、法人化に至りました。
このビジネスとコミュニティバランスに関しては、いまでも実現させることが難しく、「やりたい仕事」と「やらなければいけない仕事」の両立、「楽しくやるけど、しっかり稼ごう」を日々試行錯誤しながら、追求しています。
銭湯ぐらしは、小杉湯となりを中心に、拠点を拡大しながら、いまではこんなにたくさんの人数が関わっています!
創業から4年。小杉湯の脱衣所の掲示板や、SNSをみてメンバーが少しずつ拡大してきました。様々なスキルをもったメンバーたちに共通するのは「銭湯が好き」、そして自身の体験から「銭湯のあるくらしの豊かさを広げていきたい」という想いです。
日々の仕事だけではなく、一緒に銭湯や全国の温泉に行ったり、高円寺で飲み歩いたりと、多くの時間を共有していて、新しいメンバーでも、銭湯好きの共通項があることでぐっと距離が近づきます。オンとオフがゆるやかに混じりあう人間関係は、銭湯ぐらしの魅力だと思います。
こんな事業をしています-「銭湯のあるくらしを広げる」
現在、銭湯ぐらしは「銭湯のあるくらしを広げる」をテーマに3つの取り組みを行っています。
ひとつは、小杉湯となりをメインとする「まちづくり」。湯パート跡地に立てた会員制シェアスペース「小杉湯となり」の企画運営をしています。小杉湯となりは住居ではありませんが、ご飯を食べたり、仕事をしたり、小杉湯に入ったりと、一日を小杉湯となりで過ごすことで私たちが実感した銭湯のあるくらしの魅力を体験できる場所になっています。
お月見やお正月などの季節のイベント、軒先でのマルシェや商店街のお店を招いてのコラボイベントなど、まちとのかかわりも多く広がっています。また、最近では空き家を再生して拠点を増やしており、2021年には小杉湯となりのサテライトスペース「小杉湯となり-はなれ」、2022年には銭湯つきアパート第二号である「湯パートやまざき」が誕生しました。
昨今の光熱費の高騰による影響など、経営的な困難は多々ありますが、会員さんに支えられて、私たちの想像を超える新しい景色が日々生まれています。(小杉湯となりについては、ぜひ過去の記事もご参照ください)
二つ目は、全国に銭湯のあるくらしの魅力を届けるEC事業=「ものづくり」です。コロナ禍で一時的に銭湯から足が遠のいた人がいたことをきっかけに生まれた事業で、自宅でも銭湯気分を味わえるようなアイテムをお届けしています。全国の農家などの生産者さんから、本来なら捨てられてしまう農作物や生産過程の残滓などを、自宅の湯船に浮かべる「お風呂のもと」として生まれ変わらせ、生産者さんのこだわりと共に毎月お届けしています。
昨年は大阪・阪急うめだ本店でのポップアップイベントにも出展し、みんなで出張販売をしたところ、大盛況!さらに、3月にはECサイトや商品を大きくリニューアル予定なのでご期待ください!
三つ目は、銭湯・お風呂まわりの「ことづくり」として、新しい銭湯の立ち上げ支援やコミュニケーションデザインなどの業務を行っています。銭湯好きの視点を活かして、他の銭湯でもその個性を活かしつつ、採用やイベント、サイト制作など、魅力を伝えるお手伝いをしています。高円寺だけではなく、思い入れのある銭湯が全国に広がっていくことは、私たちもやりがいがあり、今後もご相談・お問い合わせをお待ちしております!
メンバーたちは、なぜ銭湯ぐらしを続けているのか?
銭湯ぐらしには、現在専業メンバーがいません。自身のスキルを持ち寄り、それぞれの希望する距離感でプロジェクトに関わっています。例えば出産や転居などライフステージの変化で一時的に関われなくなったとしても、いつでも戻ってきてもらえるような組織を目指しています。
年齢も仕事のやり方もバラバラだからこそ、日常的にコミュニケーションを重視して、MTGの開催や定期合宿などを開催しています。
それぞれが忙しい中、なぜ余剰時間を使って銭湯ぐらしの活動を行っているのでしょうか?メンバーに改めてアンケートをとったところ、銭湯ぐらしを続ける上で様々なモチベーションが存在していることがわかりました。
モチベーションや銭湯ぐらしの位置づけは人それぞれですが、自分の力を持ち寄り、貢献したいと主体的に思えるチームになっていることで、会社として成立しています。
また、銭湯ぐらしのメンバーは全国に点在しています。例えば、高円寺から長野県松本市に移住したこばちゃんは、長野でも銭湯のあるくらしを広げたいという思いで、ゲストハウスを立ち上げ「小杉湯となり-別荘」として高円寺とのネットワークをつくっています。転勤や移住などで、住む場所はバラバラでも、自身のペースで関わりを続けており、高円寺に帰ってきたときは「おかえり!」と温かく迎えています。
銭湯ぐらしの現在地。健やかで、持続可能な組織であるために
拡大している銭湯ぐらしですが、一方で、メンバーが増えてきたからこそ、生まれた悩みもあります。それぞれの仕事のやり方が違うため、ミスコミュニケーションが生まれたり、会社として数字を追うことと仲間としての在り方のバランスなど、ちょっとした「モヤり」がメンバーから聞こえてくることも。ベンチャー企業で語られる「30人の壁」と似た課題かもしれません。
「銭湯が好きだ」という気持ちから、せっかく出会えたメンバーが、違和感を抱えたままモチベーションを失ったり、フェードアウトしてしまうのは、メンバーとしても組織としても全く本意ではありません。今年は銭湯ぐらしに、新たに「HRチーム」が立ち上がり、メンバーとの1on1やアンケートから見えてきた「モヤり」を全員で話し合い、銭湯ぐらしとして心がけたい「行動指針」を作成しています。また日頃は、オンラインコミュニケーションが中心ですが、対面で話し合う場や交流の機会も増やしています。
カリスマがひとりで引っ張っていくような、属人的組織ではないからこそ、メンバー一人一人が納得感をもって、健康的に心地よく続けられるよう、共通の意識をつくっていきます。
わたしたちが目指すのは、銭湯が好きという共通した価値観をもったメンバーが、スキルを持ち寄り、収益を生む事業を展開するサステナブルで自律的な組織。
ハードルが高いチャレンジですが、仕事と生活と余暇が混ざりあったようなチームをつくれるように、5期も試行錯誤しながら頑張っていきます!
最後にお知らせ
①銭湯ぐらしのWEBサイトがリニューアルしました!👏🎉
手前味噌ですが、WEBチームが細部までこだわり抜いて作った力作となっています。ぜひメンバーのプロフィールやこれまでの歴史をチェックしてみてください。
②小杉湯となり、運営スタッフを募集しております!
募集要項等は下記のツイッター投稿のリンクよりご確認ください!
三寒四温の日々ですので、みなさま、銭湯に入ってどうかご自愛くださいね🛀