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スプリント予選の熱き戦い:競争力が再び試されたカタールGPスプリント予選

カタールGPのスプリント予選は、チーム間の競争力がきわめて僅差となる一戦となった。ルサイル・サーキットでのスリリングな予選セッションは、ドライバーたちが限界までマシンを攻め込み、そのパフォーマンスを最大限に引き出す姿を見せてくれた。今回のスプリント予選では、マクラーレンのランド・ノリスがトップタイムを叩き出し、メルセデスのジョージ・ラッセルが僅差で続いた。だが、これで終わらないのがF1の魅力であり、各チームが繰り広げたドラマを振り返ってみよう。

マクラーレンの快進撃とノリスの強さ

マクラーレンにとって、このスプリント予選は復活を印象付けるものだった。ラスベガスでの苦戦を経て、チームは再びトップ争いに返り咲き、特にランド・ノリスがその先頭に立った。ノリスは1回目のアタックで暫定ポールを獲得し、その後の2回目のアタックは改善が見込めないと判断して中断した。結果として、この決断は正しかったと言えるだろう。

ノリスは「週末の良いスタートを切れたし、今日の仕事は果たしたと言える。ここでのパフォーマンス向上を期待していて、昨年もこのサーキットでの成績は良かった。コース上では非常に速さを感じる。練習走行からスプリント予選にかけて大きく改善できたし、チームがクルマを素晴らしい状態に仕上げてくれたおかげで、自信を持って走れた」と満足感を滲ませている。彼の自信とマクラーレンのクルマの完成度が、このセッションでの結果に繋がったのだ。

一方で、オスカー・ピアストリも順調にSQ3に進出し、最終的には3位を獲得した。彼は第一セクターでパープルを記録しながらも、後半のわずかなミスでフロントローを逃してしまった。ピアストリは「今日の結果にはかなり満足している。全体的にはうまくまとまっていたし、明日のスタート位置としてP3は良いポジションだ。完璧なラップではなかったので活かせるチャンスはまだあるが、このトリッキーなコンディションではグリッド上のほとんどの人が同じように感じているだろう」と語り、さらなる成長の余地を残している。参戦2年目にも関わらず、ピアストリがここまでの結果を出していることは、マクラーレンの強力なラインナップを証明している。

またチーム代表のアンドレア・ステラも、「ラスベガスでの苦戦を経て、再びフロントローに戻れて良かった。ランドとオスカーがスプリント予選を通して素晴らしいラップをまとめてくれたことで、我々のパフォーマンスが競争力を持っていることが確認できた。ただし、メルセデスが同じ1/10秒以内にいるし、フェラーリもすぐ後ろからスタートするので、再び非常に接戦になるだろう」と万足感を見せつつも、スプリント決勝に向けて、気を引き締めている。

メルセデスの驚異的なパフォーマンス

メルセデスもまた、このカタールGPで意外なほど競争力を見せた。特にジョージ・ラッセルは、最後のフライングラップでタイムを改善し、見事にフロントローを確保した。ラッセルは「今日はSQ3で本当に強いセッションを過ごせた。クルマの感触は素晴らしく、このサーキットの高速コーナーは最高だ。今週末初めて、最終ラップでそれらを全開で通過することができたが、その結果エンジンが少し混乱し、出口でわずかにタイムを失った。最終的にはランドがほんの僅か手の届かない位置にいて、今回の軽微なタイムロスがなかったとしてもP1は難しかったと思う」と語り、自信に満ちたパフォーマンスを披露している。

一方、ルイス・ハミルトンはP7とやや厳しい結果に終わったが、それでもロングランペースの強さに手応えを感じており、「今日のクルマの感触は悪くなかったし、ポジティブな点としては、このコンディションで速いクルマを持っていることだ。今日のロングランペースは良かったから、明日はそれが活かせるはずだ。P7からスタートする僕にとっては勝利を争うのは難しいけど、全力を尽くしてみるよ」と、巻き返しに期待を寄せている。

メルセデスのアンドリュー・ショヴリンも「我々の最初のパフォーマンスでは、1周の速さが少し足りないことが示されていたが、ロングランペースはより競争力があるように見えた。そのため、必要な変更を学び、スプリント予選に向けて正しい方向に進むことができた。今週末に楽観的な気持ちで臨んでいたが、ラスベガスで見たようなパフォーマンスウィンドウに近いものを再現できるとは思っていなかった。それだけにジョージのP2はチームにとって励みになる結果だ。トップ4チーム間のペースは非常に接近しているので、スプリントレースをフロントローからスタートできるのは有利だ」と述べ、今後の展望に希望を持っている。メルセデスが再びフロント争いに絡んでいる状況は、ファンにとっても喜ばしいサプライズとなった。

フェラーリの失速と課題

一方で、フェラーリは期待を抱かせながらも結果には結びつかなかった。シャルル・ルクレールとカルロス・サインツは、唯一の練習走行で好調なパフォーマンスを見せたが、スプリント予選でルクレールはミディアムタイヤで非常に速かったが、SQ3でソフトタイヤを装着した際には両者とも失速した。風の影響もあり、サインツは後半のグリップを失ったが、それでもルクレールを上回る結果を出した。

ルクレールは「FP1でのパフォーマンスは予想以上に良く、この週末が重要なものであることを考えると、スプリント予選を良いポジションで終えることを期待していた。しかし、今日はそれが叶わず、P4とP5が限界だった」と語り、失望感を隠せない様子だ。特にソフトタイヤでの速さを活かせなかった点は、フェラーリにとって大きな課題となった。

カルロス・サインツもアンダーステアに苦しみながら、なんとか4位を確保。「ちょっと変わった予選セッションだった。バランス面では正しい方向に進み、フリープラクティスからクルマは改善された。しかし、SQ3ではかなりのアンダーステアがあり、より良いラップをまとめる助けにはならなかった。それでも、セカンドローからのスタートはまだ良い結果を持ち帰れる可能性を残しているし、前方のマクラーレンの1台を狙ってポイントを稼ぎつつ、日曜日に向けたデータ収集ができればと思う」と述べ、レースでの巻き返しに意欲を燃やしている。

フェラーリのフレデリック・バスールも、午後のFP1では良いパフォーマンスを見せていたと評価しつつも、「SQ3ではアンダーステアが強く、非常に苦労することになった。スプリントレース後はパルクフェルメが解除されるので、その後でメイン予選に向けた変更が可能になる。ペースに関しては実際のところ把握が難しい。練習走行では誰も本格的なロングスティントを行っていないため、どれほどのグレイニングが発生するか確信が持てない。スプリントレースは日中の気温が高い時間帯に行われるため、グレイニングは少なくなると予想される」と慎重な姿勢を見せている。

レッドブルの苦悩とフェルスタッペンの挑戦

レッドブルにとっては、まさに明暗が分かれるスプリント予選となった。マックス・フェルスタッペンは6位に終わり、セルジオ・ペレスはまさかのSQ1敗退。フェルスタッペンは「進入からコーナー中盤にかけて攻めるためのバランスがない感じで、高速セクションはまあまあ良いけど、全体的にクルマが少し足りない感じだ。P6は望んでいたポジションではないけど、今日の最大限だった」と述べ、クルマのセットアップに苦戦していることを明かしている。それでも彼は、スプリントレースでの巻き返しに望みをつなぎ、「周囲のクルマと戦うのは難しいけど、スプリントではもう少し押し上げられることを願っている。予選に向けて状況を改善するつもりだけど、明日のトラック状況次第だね」と語った。

一方、ペレスはルクレールに邪魔されて、それがタイムロスに繋がり、失望の結果となった。彼は「最後のラップを走る際、全員がギャップを開けていたんだけど、シャルル(ルクレール)が前に出てきて、1コーナーに向かう途中でスペースを巡って競り合うことになった。そのせいで0.2秒ほど失い、それが致命的になった。残念だよ、P1からスプリント予選にかけてクルマは大いに進化したと感じていただけに、もっと可能性があったはずなんだ。明日の短いレースではやれることは限られるけど、全力を尽くすよ。週末を通じて集中して、巻き返しを図りたい」と悔しさを滲ませ、週末を通しての巻き返しを誓った。レッドブルの2台が揃って苦戦するのは珍しいが、この状況こそがF1の不確実性と面白さを象徴していると言えるだろう。

熱きスプリント予選の結末

今回のカタールGPスプリント予選は、トップチーム間のわずかな差が結果を大きく左右した。マクラーレンのランド・ノリスがポールポジションを獲得し、メルセデスのジョージ・ラッセルが僅差で続き、フェラーリとレッドブルがそれに追随する形となった。このスプリント予選は、ドライバーたちの集中力と判断力が求められる非常にタイトな戦いだったと言える。

スプリントレース本番に向けて、各チームは限られた時間の中でどれだけクルマのポテンシャルを引き出せるかがカギとなる。メルセデスやマクラーレンがこの勢いを維持できるのか、それともレッドブルやフェラーリが巻き返すのか。カタールの熱き砂漠で繰り広げられる次なるドラマに、目が離せない。

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