アルピーヌ、ブラジルGPで驚異のダブル表彰台!結果を引き寄せた戦略と巧みなドライビング
アルピーヌはブラジルGPでエステバン・オコンが2位、ピエール・ガスリーが3位という予想外のダブル表彰台を達成し、コンストラクターズチャンピオンシップで3つ順位を上げて6位に浮上しました。しかし、今年これまでの最高位が9位だったチームとドライバーが、どのようにしてこの結果を達成したのでしょうか?
日曜のグランプリは全体を通してウェットコンディションで行われ、インターミディエイトまたはフルウェットタイヤのみが使用されました。最初のスティントでオコンは4位を維持しましたが、角田裕毅を抜くことはできませんでした。一方、ガスリーは上位陣のPU交換によるペナルティや予選でクラッシュしてスタートできなかったアレックス・アルボンと、フォーメーションラップでスピンしたランス・ストロールの影響で、スタート前に上位のポジションを獲得しました。
その後、バルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスを抜き、最初のスティントを9位で開始し、フェルスタッペンに1つ順位を譲りましたが、フェルナンド・アロンソを抜き9位をキープしました。
両ドライバーにとって大きな転機は最初のピットストップでした。レースの第1スティントでのラップタイムは21周目頃まで安定していましたが、その後サーキット周辺に小雨が接近し、10分ほど続く強い降雨がレーダーに映し出されました。
24周目時点で、チームとドライバーには重要な決断が求められました。現在のインターミディエイトタイヤがこの強い雨に耐えられるのか、新しいインターミディエイトに交換するか、それともフルウェットにするか。エンジニアから強い雨への対応について問われたオコンは「(今のインターで)大丈夫」と返答しました。最終的にオコンにはそのまま走行を続ける指示が出されました。
同様の会話がガスリー側でも行われ、10分間の雨が続くとの情報が伝えられました。27周目まで多くのドライバーがインターミディエイトやウェットタイヤへの交換をしませんでしたが、これはセーフティカーや赤旗の可能性を考慮したからです。
VSC(バーチャル・セーフティカー)が発動された際、多くのドライバーがピットインを行いましたが、オコンはポジションロスの懸念からピットインを見送りました。ガスリーも同様の指示を受け、そのまま走行を続けることにしました。
ランド・ノリスとジョージ・ラッセルがピットインした結果、オコンはレースリーダー、ガスリーは3位に浮上しました(角田もピットインし、ガスリーはその上に位置しました)。
降雨が激しくなり、29周目のラップタイムはレース序盤より約15秒も遅くなりました。それでもピットインせず前を走っていたオコン、フェルスタッペン、ガスリーはそのラップを無事に走り切り、1周後にセーフティカーが導入されました。
視界不良や路面コンディションへの不満が強まり、赤旗を求める声も出ましたが、ドライバーは(角田、ローソン、ペレス以外は)フルウェットタイヤに交換することはありませんでした。ガスリーは耐えられるなら走行を続け、セーフティカー中の雨の減少を待つよう指示されました。
32周目に赤旗が振られ、全ドライバーがタイムロスすることなく、インターミディエイトタイヤ(上位陣ではフェルスタッペンとガスリーだけ新品)に履き替え、再スタートに備えました。
再スタート後、オコンはフェルスタッペンに抜かれ順位を失いましたが、アルピーヌのペースは良好でした。ガスリーもラッセルの攻撃を防ぎ、シャルル・ルクレールとのギャップを広げました。
最終結果としてオコンは4位から2位に浮上、ガスリーは予選15位から3位へと大躍進しました。赤旗の影響も幸運でしたが、フルウェットが必要な中で古いインターミディエイトでの見事な車両コントロールがこの驚異的な結果の、もっとも大きな要因となりました。