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レッドブルの2024シーズン:アップグレード成功と課題を探る
2024年シーズン、レッドブルは前半戦で他を圧倒するパフォーマンスを見せながらも、後半戦に向けて幾つかの課題を浮き彫りにしました。特にモンツァでの不振を契機に、同チームのアップグレード戦略が再評価されることになりました。テクニカルディレクターのピエール・ワシェが語るコメントを紐解きながら、その成功と失敗の背景に迫ります。
モンツァの衝撃:露わになった課題
9月初めに行われたモンツァで、レッドブルは6位と8位という結果に終わりました。この週末が、RB20が直面する問題を浮き彫りにする契機となったとワシェは振り返ります。
「バランスに問題がある場合に、ダウンフォースを減らすと、根本的なバランスがさらに悪化します。そうすると、マックスのようなドライバーでも対応が難しくなります」とピエール・ワシェは語りました。
マックス・フェルスタッペンの卓越したドライビングスキルでも隠しきれないRB20の欠点。それは、低ダウンフォーストラックでのバランスの欠如でした。ワシェは、この問題が明確になったことを「ポジティブ」と表現し、改善の第一歩として位置づけています。
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アップグレードの停止と再出発
モンツァでの不振を受け、レッドブルは開発方向を転換しました。フェルスタッペン自身も、予定されていた開発を「捨てる」と語っており、チーム全体が方針転換を余儀なくされました。その一方で、ワシェはオースティンでのアップグレードが状況を大きく改善したと自信を見せています。
「我々はフロアを変更し、いくつかの相関性の問題を解決することができました。その結果、絶対的な車のポテンシャルは失われましたが、相関性を大きく改善し、バランス特性も大幅に向上しました」と ピエール・ワシェは語ります。
オースティンで導入されたフロアの変更は、絶対的なダウンフォース量が減り、マシン全体のポテンシャルを犠牲にしながらも、バランスの問題を解消し、安定したパフォーマンスを提供しました。ワシェは、このトレードオフを「正しい方向への一歩」と位置づけています。
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他チームの進化への驚き
2024年シーズン後半、マクラーレンを筆頭とする他チームの進化がレッドブルにとって新たな脅威となりました。特にマイアミGPでは、ランド・ノリスが勝利を収める結果となり、レッドブルは他チームとの差を実感することとなります。
「我々は車を大きく変更していません。他のチームが大きく変化を遂げたように見えます」ピエール・ワシェが語ります。
特にマクラーレンのMCL38は、タイヤのデグラデーションを抑えた効率的なパフォーマンスを発揮し、レッドブルが抱える課題を浮き彫りにしました。ワシェは、この状況を「驚き」としつつも、他チームの細かなアップデートがマシンバランスの改善を生んだことを認めています。
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見えた可能性と残る課題
2024年シーズンを通じて、レッドブルは一貫してトップパフォーマンスを発揮したものの、後半戦での他チームの台頭により、完璧な独走を維持することはできませんでした。ワシェは、空力部門の成果を評価しつつも、「まだ十分ではない」と述べ、さらなる改善の必要性を認めています。
「空力部門は素晴らしい仕事をしましたが、まだ全てが解決したわけではありません」ピエール・ワシェと語りました。
RB20のバランス問題や相関性の課題は、シーズン後半で徐々に解決に向かっていましたが、これらの教訓をどのように2025年シーズンに活かすかが鍵となります。他チームの進化に対応するためには、さらなる柔軟性と革新が求められるでしょう。
2024年シーズンは、レッドブルにとって成功と課題が交錯した一年でした。前半戦での圧倒的な強さは、開発戦略の成果を物語るものでしたが、後半戦に向けての課題解消と他チームの台頭が、新たな挑戦を突きつけました。
ピエール・ワシェのコメントから浮かび上がるのは、課題を認識しつつも未来への可能性を見据える姿勢です。2025年シーズン、レッドブルは再びトップを目指すべく、さらなる進化を遂げる必要があります。その成否は、2024年の教訓をいかに活かすかにかかっていると言えるでしょう。