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ミニDRS撤去の影響はなし?: 壁にヒットした理由とオースティンで試される真価

ランド・ノリスの圧倒的な勝利で幕を閉じたシンガポールグランプリ。その背景には、アゼルバイジャングランプリから続く「ミニDRS」と呼ばれるマクラーレンのリアウィングに対する論争があった。しかし、ノリス自身は、このウィングが勝利の決定的な要因ではないと語っている。

ノリスはレース後、こう語った。「ここから前の週末やその前の週末まで、車に何も変更を加えていないんだ。他の人たちが文句を言ってきたことで、いくつかのウィングや他の部分を調整しなければならなかったけど、それでも素晴らしい週末を過ごせたし、おそらくここでの最も支配的な週末の一つだったと思う」

アゼルバイジャングランプリでは、マクラーレンのリアウィングが速度に応じてしなるとの指摘がライバルチームからあり、マクラーレンは設計変更に応じた。それにもかかわらず、ノリスはシンガポールでの勝利はウィングの影響ではなく、純粋に車のパフォーマンスが要因だったと強調する。「正直、それが違いを生んだとは思わない。ただ、車が素晴らしい状態だったんだ」

この言葉は、マクラーレンの強さを示すだけでなく、ノリス自身がチームと車への信頼を持っていることを示している。彼は、「ペースもあって、できる能力もあったのに、なかなか結果を出せなかったレースが何度かあった。それは自分自身のせいでもあるし、うまく物事を処理できなかったんだ」と自己反省も交えつつ語る。この発言から、彼のプロフェッショナルとしての姿勢が垣間見える。

また、レース中のミスについても彼は率直だ。
「ターン10とターン14でバリアに接触したけど、チームが言うには、フロントウィングに何かあって、少しズレているかもしれないってことだったんだ。フロントウィングをバリアに当てたから、少し曲がってるかもしれないけど、多分それほど大きな変化はなかったと思う」

「でも、正確には分からない。この車は、ほんの少しでも何かをいじると、大きな影響が出ることがあるけど、多分何も感じてなかったんだ」
これに対しても冷静な姿勢を見せ、シーズンを通して成長を続けるノリスの精神力が際立っている。

さらに、彼は周回遅れの車による乱気流の影響を受けたことも明かし、それが壁にヒットしたひとつの原因ではないかと伺わせた。「(周回遅れのマシンの後を走ると)グリップが少し減って、ダウンフォースも少し落ちる。タイヤも少し傷んでいた。それが僕を驚かせたんだ」

「だから、集中力が欠けていたわけではなく、ただ少し驚いたんだ」と冷静に振り返る。

ランド・ノリスの今回の勝利は、彼の成長と冷静さ、そしてマクラーレンの技術的な進化が結実した結果だ。たとえリアウィングを巡る論争があったとしても、彼はそれに動じることなく、チームの力を信じて走り切った。

ただ確かにノリスの言うとおり、ミニDRSがなくても彼はシンガポールGPで圧勝した。しかし、ヤス・マリーナ・ベイ・ストリートは空力性能の占める割合が相対的に低い低速のサーキットレイアウトだ。だから、ミニDRSを失った本当の影響を見るには、オースティンのレースまで待ちたいところだ。

オースティンでは、この「ミニDRS」問題がどのように影響するか、さらなる注目が集まるだろう。

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