フェラーリの躍進とレッドブルの苦悩:メキシコGP 金曜日の試練と展望
メキシコシティの高地に位置するアウトドロモ・エルマノス・ロドリゲスは、特殊な条件が重なることで、どのチームにとっても一筋縄ではいかないサーキットです。空気が薄い環境、長いストレート、そしてシケインが連続するレイアウトが、車のバランスとブレーキ管理を難しくさせます。2024年メキシコGPの金曜日には、各チームがFP1とFP2で調整を重ね、それぞれが異なる結果を残しました。以下、フェラーリ、メルセデス、マクラーレン、レッドブルの金曜日のセッションを振り返り、予選に向けた展望を見ていきましょう。
フェラーリの試練と手応え
フェラーリは、FP1で若手のオリバー・ベアマンが走行に臨み、貴重なデータを収集する予定でした。しかし、彼はウィリアムズのアレックス・アルボンと接触し、セッションを早々に中断しなければならなくなりました。ベアマンは「SF-24での走行を楽しみにしていた」と悔しさをにじませ、「こういうこともレースの一部だ」と冷静に状況を受け止める様子を見せました。彼にとってこの経験は成長の一歩であり、次回のチャンスに活かされるでしょう。
一方、カルロス・サインツは順調に調整を進め、FP1で2位に入り速さをアピールしました。そして、午後のFP2ではトップタイムを記録し、フェラーリのポテンシャルを改めて示しました。サインツは「全体的には良い一日だった。特にFP1で車のバランスやセットアップについてしっかり作業ができた」と満足げに語り、さらに「予選に向けて車を微調整するため、FP3が非常に重要になるが、今日は良いスタートを切れたと思う」と、予選へ向けた手応えを強調しました。サインツはこの安定感で予選でも上位進出を狙っていることでしょう。
また、シャルル・ルクレールもFP2で4位のタイムを記録し、フェラーリの強さを支えました。ルクレールは「僕にとってはトリッキーな一日だった。元々FP1を欠場する予定で、理論上は問題ないと判断していた」とコメントし、FP1の欠場によりリズムを掴むのが難しかったことを示唆しました。「FP2でその分を取り戻すつもりだったんだけど、セッションがいつもより30分長かったにもかかわらず、ジョージ(ラッセル)の事故による赤旗でその余分な走行時間を失ってしまった」と嘆きながらも、「ペースは初めから良かったし、車にも快適に感じている。明日どのポジションを確保できるか、楽しみにしている」と前向きに述べ、予選への自信をのぞかせました。
メルセデスの明暗
メルセデスでは、若手のキミ・アントネッリがFP1でW15を駆り、安定したデータをチームにもたらしました。彼は「初めて走るサーキットだったので、限界内で走り、周回ごとに自信を高めていった」と手応えを語り、「全体的には良い1時間で、赤旗にもかかわらず多くのデータを集めることができた」と冷静に振り返りました。アントネッリの成長を確認できたことは、メルセデスにとっても将来を見据えたプラス要素となったでしょう。
しかし、ジョージ・ラッセルにとってはFP2が思わぬ落とし穴となりました。FP1でトップタイムを叩き出しながらも、FP2の中盤でバリアに突っ込むクラッシュを喫しました。激しい衝撃に見舞われたラッセルは、「かなり激しい衝突だったので、最初は少し息が上がっていたけど、(自分自身は)大丈夫だ。でも車はそうではなかった」と無事を強調しつつ、マシンへの影響を認めました。「今夜はガレージでチームが忙しくなってしまったのは残念だ」とチームへの感謝と申し訳なさを述べ、「予選と日曜日のレースに向けてFP3でしっかり車を調整しなければならない」と決意を新たにしました。ラッセルのリカバリーがメルセデスの週末にどのような影響を与えるか注目されます。
ルイス・ハミルトンもFP2で2024年用のタイヤテストに臨み、7位でセッションを終えました。「タイヤテストがあったのでセッション中に車の設定を変更することはできなかったけど、ジョージのクラッシュによる赤旗で走行時間が削られる寸前だった」とハミルトンは述べ、「それでも良い情報が得られたので、夜のうちに解析して週末に向けて改良を進めていくつもりだ」とポジティブな姿勢を示しました。彼の経験がどのように予選に反映されるか、チームにとって重要な要素となるでしょう。
マクラーレンの挑戦と成長
地元メキシコのパトリシオ・オワードがFP1で出走し、観客を盛り上げました。オワードは「今日は本当に素晴らしい一日だった。メキシコでのFP1走行をとても楽しめた」と笑顔を見せ、「観客も信じられないほどの盛り上がりで、チームのプログラムから全てを引き出せたことがとても嬉しい」と、地元でのサポートに感謝しました。マクラーレンにとっても、オワードの走行は多くのデータを収集し、ポジティブな影響をもたらしました。
午後のFP2では、オスカー・ピアストリがフェラーリと接戦を繰り広げ、2位に入りました。彼は「変更がポジティブな影響をもたらした」と満足げに語り、「車のフィーリングも良くなった」とコメント。また「競争力もあるように見えるし、明日に向けて良い形だと思う」と意気込みを見せており、マクラーレンとしても予選に向けて自信を深めています。
ランド・ノリスもFP2で5位と健闘。ノリスは「メキシコでの週末はまずまずのスタートだったと思う」と振り返り、「自分には少しやるべきことが残っているが、今夜しっかり取り組むつもりだ」と述べており、さらなるパフォーマンス向上を目指しています。アンドレア・ステラ代表も「パフォーマンス面で良い位置にいるようだ。ただ、このトラックでは最適化するべき要素が常に多いので、今夜と明日でさらに調整を図っていくつもりだ」とコメントし、予選に向けた取り組みを強調しました。
レッドブルの苦戦
レッドブルは金曜日にトラブルを抱え、特にフェルスタッペンがパワーユニットに不満を感じていました。彼は「ここメキシコでの金曜日は理想的ではなかった」と悔しさをにじませ、「パワーユニットの問題を調査中で、そのためセッションが短縮されてしまった」と語りました。FP2でもトラブルが解消されず、わずか4周でピットに戻る結果となりました。「今日のセッションについてはあまり言えることはないけど、今夜のうちに進展があることを願っている」と、フェルスタッペンはチームが問題解決に尽力することを期待していました。
セルジオ・ペレスも思うようなパフォーマンスを発揮できず、「まだあまり良い感じではない。低速での乗り心地にいくつか問題があり、トップからはまだかなり離れている」と率直な感想を述べました。「観客の応援は本当に素晴らしいし、もっと競争力を見せたいところだけど、残念ながらまだそうはなっていない」と語るペレスの表情には、地元ファンへの強い思いが感じられました。「明日の予選で少しでもいいパフォーマンスを引き出して、観客をもっと盛り上げることができればと思っている」と、前向きな決意を示しており、ファンの期待に応えようと全力を尽くす姿勢が見受けられました。
予選に向けた展望
金曜日のセッションを経て、フェラーリがトップ争いの先頭に立ち、サインツとルクレールの二人が予選でのポールポジション争いに絡む準備が整っているように見えます。サインツは「予選に向けて車を微調整するため、FP3が非常に重要になる」と述べ、さらなる改良に取り組む姿勢を見せています。メルセデスもラッセルのクラッシュを乗り越え、ポテンシャルを秘めており、ハミルトンの経験とともに予選で上位進出を目指す構えです。
また、マクラーレンの進化も見逃せないポイントで、特にピアストリのパフォーマンスはこのレースで大きな武器となりそうです。レッドブルに関しては、フェルスタッペンが土曜日の予選までにトラブルを解消できるかがカギとなり、ファンの期待が集まるペレスの奮闘にも注目が集まります。
メキシコGPの予選は、各トップチームがプライドと実力を賭けた一戦になるでしょう。
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